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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

シナリオで表現すること
映画『わたしのかあさん ―天使の詩―』脚本家 坂田俊子さん

映画『わたしのかあさん ―天使の詩―』脚本家 坂田俊子さん

3/30(土)より新宿K’s cinema 他で全国順次ロードショーとなる映画『わたしのかあさん ―天使の詩―』。

原作は菊地澄子さん著の児童文学『わたしの母さん』(北水 刊)。

監督は“国内現役最高齢の女性映画監督”である山田火砂子さん。山田監督と共同で脚本を手掛けたのが、シナリオ・センターの講師であり出身ライターでもある坂田俊子さん。

なお、これまでも山田監督とともに脚本を手掛けており、『母/小林多喜二の母の物語』(2017年)、『われ弱ければ 矢嶋楫子伝』(2022年)に続き、今回でタッグを組んだのは3作目。

『月刊シナリオ教室』(2024年4月号)では坂田さんのインタビューを掲載。それに先立ち、ブログ用にもコメントをいただきました。

その中で特に印象的だったのが、「シナリオは登場人物の葛藤を見せるものだから」という言葉。シナリオにおける表現の仕方でお悩みの方は、今回の映画と坂田さんのコメントを参考にしてください。

シナリオは登場人物の「葛藤」を見せるもの

*

©2024 現代ぷろだくしょん

【あらすじ】
障がい者特別支援施設の園長である山川高子はある日、親友から母・清子のことを本にしないかと声をかけられる。今でこそ福祉に従事する高子だが、かつては障がい者を疎み、憎んですらいた。高子は聡明な子だったが、両親は知的障がい者であり、それを恥じた時期があった。小学三年生の頃。他の母親とは少し違う清子を同級生に見られたくなくて、授業参観のお知らせを隠していた高子だったが、それを見つけた清子は授業参観に来てしまう。騒がしくおどけ、高子の同級生から失笑を買う清子。やがて高子は、両親が知的障がい者であることを知り、動揺する。だが、そんな高子の心を癒したのは清子の裏表のない姿。そして何より、高子を愛する清子の真っ直ぐな心だった――。

――山田監督との共同脚本について

〇坂田さん:まず私が初稿を書いて、そこに監督がアイデアを出されたり、加筆をされながら決定稿に向かうという流れです。

初稿では、原作で描かれている高子の子ども時代を書いたのですが、山田監督から「こういう体験をした高子がどういうふうに大人に成長したのか、そこまで描きたい」というご要望をいただきました。

そこで、福祉の道に進んだ現在の高子の姿から始まって、母・清子とのエピソードを通して子ども時代の高子を描き、そしてまた現在に戻る、というサンドイッチ回想法で描くことになりました。

――映画『わたしのかあさん ―天使の詩―』で伝えたかったこと

〇坂田さん:監督は、原作の核となる「障がいは、誰のところにくるか誰にもわからない。あなただったかもしれないし、私だったかもしれない。だから、その人たちを差別することなくともに生きる社会を作っていこう」というテーマを伝えたい!という強い想いをおもちでした。

そして私も、この原作のテーマを観る方に感じとっていただき、みんなで思い合える、助け合える社会になればいいなと思い脚色しました。

テーマだけでなく、登場人物の名前もキャラクターも原作をもとにしています。原作にはない大人の高子を描くときも、映画オリジナルのエピソードを加えるときも、原作にある登場人物のキャラクターに忠実に、このキャラクターならこう言うだろう、こうするだろうと考えて作っていきました。

――監督から学んだこと

〇坂田さん:監督ご自身がインタビューや上映会などでお話しされていますが、ご長女が障がいをもって生まれていらっしゃいます。今回、知的障がいの親をもった子どもの葛藤を描くうえで、もちろん資料は沢山読みましたが、大切なことは監督から教えていただいたように思います。

また、監督はどの作品にも「戦争反対」「弱者救済」という想いを強く込めていらっしゃいます。今回の作品でも、障がいをもった人だけでなく、戦争や老いなど、何かで困っている人は沢山いるんだ!というメッセージを表現するために、監督ご自身でいくつかシーンを加筆されました。今年92歳になられた監督からは、「映画作りの基盤となる自分の信念はしっかり見せる!」というブレない姿勢も教えていただきましたね。

――今回の作品にまつわるエピソード

〇坂田さん:高子の子ども時代を演じてくださった落井実結子さんは、完成披露舞台挨拶で「高子が抱いている“葛藤”と、どういうふうに変化していくかという“成長”をうまく演じられたらいいなと思いました」とコメントされていて。「私がやっていただきたかったことはそれ!」って(笑)。

というのは、シナリオは登場人物の「葛藤」を見せるものだから。作品が扱うテーマが社会問題であっても、恋愛モノであっても、どのような場合でも、登場人物のキャラクターがどんな問題に立ち向かって、どう葛藤していくのか。そして、その葛藤に対してどうリアクションし、次はどういった行動を起こしていくのか。これで物語が展開していくわけですからね。

だから、落井さんのコメントをお聞きして、すごい役者さんだなと感激したと同時に、脚本からそのことが伝わったんだなとすごく嬉しかったです。

©2024 現代ぷろだくしょん

――最後に、脚本家になりたい方へメッセージ

〇坂田さん:私がシナリオ・センターで学んでいた頃は、通常のゼミ以外にラジオドラマゼミもあって、両方で学ぶことができました。担当されたのは、日本にラジオドラマの礎を築かれた堀江史朗先生でした。

先生にラジオドラマの魅力を教えていただいてから、私もいつか書きたいと願っていて、いつも「ラジオドラマをやりたいやりたい!」と言っていたんです。そしたら、ラジオドラマを書く人を探しているという話がきたときに「どう?」って。それでNHKの連続ラジオドラマを書かせていただけるようになったんですね。

私が担当している研修科ゼミの生徒さんにもお伝えしているのですが、やりたいものがあるなら「こういうものを書きたい!」と周りにアピールしておいたほうがいいのかなと。「じゃあこういう話あるけどやってみる?」と声をかけてもらえることもあるかもしれません。

※その他、シナリオ・センター出身の脚本家・監督・小説家の方々のコメントもこちらでご紹介。
脚本や小説を書く とは/シナリオの技術を活かして

シナリオは、だれでもうまくなれます

「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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