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面白い出だしを書くには

面白い出だしで惹きつけるには

人と同じように、シナリオも第一印象が大事。シナリオの第一印象とは「出だし」のことです。今回は、この「出だし」を面白く書くにはどうしたらいいか、をご紹介。

このコーナーでは、「自分にはシナリオを書く才能がないかも……」と悩んでいるかたへ、面白いシナリオが書けるようになるちょっとした“術”を、シナリオ・センター講師・浅田直亮著『いきなりドラマを面白くする シナリオ錬金術』(言視舎)&『月刊シナリオ教室(連載「シナリオ錬金術」)』よりご紹介いたします。

出だしで惹きつけるには

初めて人に会う時の第一印象って大事ですよね。シナリオも同じ。第一印象、とても大事です。特にコンクールでは、最初の20枚が、とても重要なポイントになります。

たとえばプロデューサーが審査する場合、あらすじと(ほとんどのコンクールではシナリオの前にあらすじを添付する応募規定になっています)最初の20枚を読んで面白くなかったら落とすとまで言う人もいたりします。

「そんな、最後までよく読んで評価してくれよ!」と思いますが、現場のプロデューサーは出だしの10分で観客や視聴者を引きつけることに並々ならぬ力を注いでいます。出だしで面白くないと思われたら、テレビドラマなら、すぐにチャンネルを変えられてしまいます。映画のプロデューサーでも最初の10分どころか5分が勝負と言い切る方もいらっしゃいます。

もちろん、出だしさえよければそれでいいというわけではありませんが、最初の20枚を最重要ポイントと考えるプロデューサーも多いということです。

最後まできちんと読んでくれよ、ではなく、最初の20枚を読んだら最後まで読みたくなる、もっと言えば、お金を払ってでも読ませて下さいと頼みたくなるように書いてくれ、という感じでしょうか。

なので、普段の20枚シナリオを最初の20枚のつもりで、どれだけ読む人(ゼミの仲間など)を引きつけられるか、書いてみるのもいいでしょう。

じゃあ、どうすれば20枚で引きつけられるのでしょう?

主人公に、普通はやらないけど、このキャラクターならやりそうなことをやらせてみて下さい。普通やりそうなことを、やりそうに描いても、なかなか引きつけられません。だって、それは普通ですから。誰もが考えそうな、ありきたりなシーンになりがちです。

でも、普通やりそうにないことを描くと、今までにない新鮮なインパクトのあるシーンになりやすくなります。

また、そのキャラクターならではの行動を描くとキャラクターが伝わりやすくなります。キャラクターが伝われば、こんな主人公なら一体どんなドラマになるんだろう?と引きこまれますし、なるべく早くキャラクターが伝われば伝わるほど観客や視聴者は主人公に感情移入しやすくなります。

第一印象で主人公の個性を最大限に引き出して観客や視聴者の気持ちをグイッ!とわしづかみにして下さい。

というわけで、今回は「会ったとたんに一目惚れの術」です。

『男はつらいよ』の寅さん

映画『男はつらいよ』を観てみましょう。

全48作続いて世界最長作品数としてギネスブックにも認定された映画シリーズの第一作。渥美清さんが演じた主人公・車寅次郎、またの名をフーテンの寅さんについては、おそらく、みなさん、ご存じでしょう。

16歳の時に父親と大ゲンカをして家を飛び出し、テキ屋稼業で日本全国を渡り歩く渡世人となった寅さんが、家出から20年後突然、生まれ故郷の葛飾柴又に戻ってくるところから第一作は始まります。

江戸川の土手に寅さんが座っています。渥美清さんが歌う主題歌が流れ、河川敷のゴルフ場が映ります。グリーンではゴルファーがパットを打ち、ボールは上手く穴に向かって転がっていきます。

見事パットが成功したかと思ったら何者かの手がサッとボールを拾い上げます。寅さんです。得意げにボールをゴルファーに放って戻すと、うん!とうなずきます。まるで、危なく穴に落ちるところだったけど、大丈夫、私が拾ってあげたから、いやいや、礼はいらないよ、とでも言うように。(歌が流れているのでセリフはありませんが)。そして、意気揚々と去って行きます。

ゴルフのボールを穴に落ちそうだからと拾い上げるなんてことは普通はやりません。でも、おせっかいで、世間の常識ではなく自分の価値観で行動する寅さんなら、やりそうです。観客は、こんな主人公だったら一体どんな非常識な騒動を巻き起こしてくれるだろうと期待せずにはいられません。

『ピンポン』のペコ

『ピンポン』という映画では、ちょっと変わった始まり方をしています。松本大洋さんのマンガが原作。窪塚洋介さん演じる主人公・ペコ(星野裕)やARATA(現:井浦新)さん演じる幼なじみのスマイル(月本誠)を中心に、卓球で競い合う高校生たちを描いた青春スポーツドラマです。

ペコが大きな川(一級河川ぐらいの感じ)にかかった橋の欄干の上に立っているところから映画が始まります。通りかかった警官が自殺だと思って、やめるよう説得します。ペコは「空飛ぶんだ。月にタッチするなんてわけないよ。アイ・キャン・フライ!」と叫ぶと川に飛び降ります。

実は、このシーンは映画の途中のワンシーンです。ペコはインターハイの予選で、やはり幼なじみのアクマに負けてしまい、やる気をなくして練習をサボり始めます。さらに、アクマが練習中のスマイルに試合を申し込み負けてしまいます。

ペコは、ラケットを焼却炉で焼いて卓球をやめようとします。しかし、勝手な対外試合で負けて退部となった上に暴力事件を起こして退学となったアクマと再会、橋の上で卓球を続けろと叱咤されます。「じゃなきゃ、おまえに憧れたスマイルや俺が浮かばれねえ」と。

ここで、欄干の上から川に飛び降りるトップシーンになるわけです。

その後、ペコは伸ばしっぱなしにしていた髪をハサミで切り、幼いころから通い続けている街の卓球場のオババに「もう一回、握り方から教えてくれろ!」と新たな気持ちで卓球に取り組み始めるのです。

途中のシーンを、あえてトップにしている理由は、いくつか考えられると思いますが、その一つとして最も普通はやらないことで、この主人公ならやりそうなことを描いているシーンだからということがあるでしょう。そのため、とてもインパクトのあるトップシーンとなり観客がグイッと引きこまれます。

『結婚できない男』の偏屈ぶり

テレビドラマの例も観てみましょう。

『結婚できない男』の出だしは、まず阿部寛さん演じる主人公が高級マンションの部屋で料理しているところから始まります。アイスペールでワインを冷やし、ナイフとフォークを両脇に並べて。胸にナプキンをし満足気にニヤニヤしながら食事をしていると、助手から電話がかかってきます。顧客のパーティーに出席するはずだったのです。

パーティー会場で助手が女の子と楽しく話をしていると、主人公が現れます。外は雨だからでしょうがウールの帽子を目深にかぶりグレーのジャンバーという、まるで逃亡中の犯罪者のような、およそパーティーには似つかわしくない服装で。

主人公は女の子と会話を交わしますが、『ブレードランナー』という映画の話になり、女の子が「そのうち観ます」と言うと、つい「フン、そのうちなんて言って観た奴なんて、ほとんどいませんよ」と言ってしまいます。

さらに、気まずい雰囲気を変えようと女の子が「何か召し上がります?このスパゲッティ、美味しいですよ」と言うと、主人公は「スパゲッティというのは直径1.9ミリのものをいうんですよ。これはちょっと細いから厳密にはスパゲッティーニ。本当はスパゲッティーニ美味しいよと言うべきなんですよ」などと語って女の子に逃げられます。

このあと主人公はマンションの隣室に住むOLや義弟の病院の女医さんと出会い、ラブストーリーが展開していくわけですが、こんな偏屈で皮肉屋な主人公のラブストーリーって一体どうなるの?と思わせてくれます。

このように行動だけでなく、普通は言わないけど、この主人公だったら言いそうなセリフを考えるのも一つの手です。

普通はやらないけど、この主人公ならやりそうなことにしても、普通は言わないけど、この主人公なら言いそうなセリフにしても、普通はやらないことや言わないことなので身の周りを見回しても、なかなか見つからないかもしれません。想像力をフル回転させて発想してみて下さい。

出典:『月刊シナリオ教室』(2010年10月号)掲載の「シナリオ錬金術/浅田直亮」より

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