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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

やさしさ

図書館のお夜食(ポプラ社刊)

沖縄慰霊の日

シナリオ・センター代表の小林です。今日6月23日は、沖縄慰霊の日です。
20万人の命が沖縄で散りました。散らなくてもいい命が。

全戦没者追悼式で、高校3年生の平安名秋さんの詩「今、平和は問いかける」が朗読されました。
「私は過去から学び そして未来へと語り継いでいきたい
おばぁの涙を 沖縄の想いを
かけがえのない人達を 決して失いたくはないから」
詩の一部ですが、高校生でも過去から学ぶことの、未来へ語り継ぐことの大切さを知っています。

なのに、この国のお上は、過去も振り返りません。
79年前沖縄にどんなことをしたのか、今なお米軍基地の70%が沖縄にあることも、そして遺骨の埋まった土を平気で基地埋め立てにつかう・・・未来に語り継ぐ気持ちももっていません。
どういう神経をしているのでしょうか。
しかも、再び沖縄を犠牲にすることに躊躇もありません。
防衛計画は、沖縄をまた戦地に、日本の砦にしようとしています。
反撃能力をもつミサイルの沖縄配備は、まさに、沖縄の人々に再び犠牲になれと言っているのと同じだということをお上は感じないのでしょうか。
バイデン大統領の言いなりではないというなら、戦争放棄の日本なのだから、沖縄に米軍基地はいらないと、反撃能力を持つ武器等どんなものもひとつも必要はないときちんと言えばいい。言ってみなさい!
お上であるならば、人としての真心、「ちむぐくる」を持って欲しいと、心から訴えたいです。
天皇陛下皇后さまは、インドネシアの地で糸満に向かって黙とうを捧げたそうです。

図書館のお夜食

腹立つことばかり多い世の中ですが、そんな荒ぶる心を休め、慰めてくれました。
出身作家原田ひ香さんの新刊が出ました。
「図書館のお夜食」(ポプラ社刊)

東北の書店で働いていた本好きの樋口乙葉は、ある事情で書店を辞め、SNSで知った「夜の図書館」で働くことになる。
「夜の図書館」は19:00~24:00が開館時間で、亡くなった作家の蔵書だけを置いてある本の博物館のような、貸し出しもできない特殊な図書館。
古いがこぎれいな寮に住みながら、本が好きな同僚と、実際の本に登場するまかない料理を楽しむ乙葉だったが・・・。

5話に分かれており、料理と、そこに働く人々のキャラクター、過去が語られ、そのひとつひとつが深い人間模様となって、ドラマを織りなしています。
第1話は、しろばんばのカレー、第2話「ままや」の人参ご飯、第3話赤毛のアンのパンとバタとキュウリ、第4話田辺聖子さんのイワシのたいたんとおからのたいたん、最終話森瑤子の缶詰料理。
タイトルを見ると料理の話しかと思われますが、料理はアクセントというか、なんという存在でしょうか、そこから紡ぎ出てくる図書館で働く人々と過去、キャラクターが深い。そんな人々と乙葉との交流が、乙葉に、読者の心にも安らぎを与えてくれます。
顔も見せない誰一人会ったことがない図書館のオーナー、ちょっとミステリアスな構成がまたたまらなくうまいです。

私の遥か昔の文学少女心をくすぐり、胃袋をやさしく慰撫し、心を解き放ち、優しい気持ちにさせてくれました。
なんと1日で重版がかかったそうです。さすが!

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