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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

伝える

ドラマ誌12月号

想像力

11月18日、シナリオ・センター代表の小林です。昨日は「国際子ども平和賞」に終始しました。
子どもの力って本当に侮れないのです。キッズシナリオの出前授業やセンターで行っている「考える部屋」の子どもたちと出会うたびに、子どものエネルギーもそうですが、その想像力のすごさに驚かされます。
ところが、ところがです。
成長するにつれエネルギーも想像力の貧困になる、大学生になるとあまりのまともさに、悲しいくらいです。
もちろんすべての子どもがそうだというわけではありませんが、教育すればするほど想像力のない大人になるとしたら、教育の仕方そのものを変えた方がいいのではと思います。

で、ろくでもない大人は支持率を落としています。(笑)
ついにNHKで33%、FNNで38%になりました。不支持率は46%、半数の国民が支持していない。
国葬も旧統一教会問題も、聞く力はあると本人はおっしゃっているのですが聞く耳を持たないので、国民がどう思うのかなどの想像力がありません。
勉強はできたのかもしれませんが、一番大事な人を想う心、想像力が欠けてしまっている社会に適応しない大人に育ってしまっています。
過日ご紹介した倉本聰さんの「脚本力」という本の中で
「昔はね、作品というのは感動が目的だったような気がするのね。ところが、今は快感になっちゃってんじゃないか。
確かに面白いんだけど、残らない。
感動というのはやっぱり心に確実に残る、心の財産になるぐらいのものですよね。
快感にはね、暴力があり、殺戮があり、残虐があり、恐怖があり、スリルがあって、だけど刹那的なんですよ。
感動みたいに心に恒久的に残るものはない。
でね、感動を呼ぶものの原点って何なんだろうって、これを、ずいぶんいろいろ長いこと考えてんだけど、結局集約するとね、愛ってことに突き当たっちゃうんだよね。
恋愛を含めて、兄弟愛、家族愛、友人愛、その愛というものがやっぱり永遠のテーマだって気がして。」(「脚本力」から)

「愛」のないところに想像力はうまれません。
あなたが愛を持って国民のことを想像しないと、愛されることはありえません。

創作テレビドラマ大賞

「創作テレビドラマ大賞」大賞の森野マッシュさん、佳作二席の中村謙一さん、おめでとうございます。
月刊シナリオ教室でも掲載させていただきますが、いち早くドラマ誌12月号に大賞作品「ケの日のケケケ」と審査座談会も掲載されています。

佳作の中村さんの作品は「二人の劇団」。
主宰の亡くなった後の劇団を何とか続けている劇団員2人のドラマです。
審査員の皆さんがそろっておっしゃっているのは、セリフのうまさ。キャラクターが個性的ではないのだが味わいのあることでセリフが映えたようです。
ただ、二人がどんな芝居をしたいのか、何を目指しているのかを具体的に見せてもらうと共感ができたという指摘もありました。

大賞の森野マッシュさんの作品は「ケの日のケケケ」。
感覚過敏を抱えた女子学生が、人生を休憩したい人のための「ケケケ同好会」を学校の中に造って、高校に反抗していくというドラマです。
こちらはダントツという声がほとんどで、設定もセリフのチョイスからキャラクターの描き分け、すごく練られていて完成度が高く、キャラクターとして動いている人たちを全員みたいと思わせてくれたと絶賛されました。
一方で物語の構成や構造を考えると、校則や先生が立ちふさがる存在になるのはわかるけど、そこまで先生が感覚過敏症に無理解なのか、やりすぎると記号的になるという指摘も。

おふたりの作品をきちんと読ませていただきたいと思うわかりやすい審査評でした。
こうした審査評は、審査される方によっていろいろ違いますが、それぞれのご意見をしっかりと受け止めることが肝要です。
褒められたところはそれをどんどん伸ばしていき、自信を持って欲しいと思います。
反対に指摘されたことは、どうしてそういう風に指摘されたのかということをよく考えて欲しいです。
作者と観客、見せる側と見せられ側、作り手側でしかみていないものを、観客の立場で見たらどう伝えていけばいいのか、観客に伝わるには何が必要なのかを考えてください。
コンクールは、プロへの登竜門でもありますが、自分の作品を知る、自分の作品がどうみられるかを知ることができます。
客観的な視点を知ることは、これからの作者としての伝え方に繋がっていきます。

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