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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

生と死をテーマにした物語を書くとき
嶋田うれ葉さん脚本『天間荘の三姉妹』に学ぶ

「人は、大きな悲しみにどう寄り添うべきなのか。
家族とは、生命とは、生きるとは、いかなるものなのか?」

これは、映画『天間荘の三姉妹』公式サイトのトップページに掲載されている言葉。

原作は髙橋ツトムさんの漫画『天間荘の三姉妹 ―スカイハイ―』。『スカイハイ』と聞いて「あっ!」と思われた方も多いのでは。2003年にドラマ化され、ドラマとともに “怨みの門”の門番であるイズコの「おいきなさい」というセリフも話題になりました。本作は『スカイハイ』のスピンオフ。

==あらすじ==
天界と地上の間にある街・三ツ瀬。美しい海を見下ろす山の上にある老舗旅館「天間荘」。切り盛りするのは若女将の天間のぞみ。のぞみの妹・かなえはイルカのトレーナー。ふたりの母親で大女将の恵子は逃げた夫をいまだに恨んでいる。ある日、小川たまえという少女がイズコに連れられて天間荘にやってきた。たまえはのぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故に遭い、臨死状態に陥っていた。「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」。そうイズコに言われたたまえだったが、客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る――

「私自身が生きること、死ぬことについて深く描いたテーマの作品が書きたいと思っていました」という、脚本を担当された嶋田うれ葉さんにコメントをいただきましたのでご紹介。「生と死をテーマにした物語を書きたい」というかた、是非参考にしてください。

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東映映画チャンネル
映画『天間荘の三姉妹』インターナショナルトレーラー解禁!
《2022年10月28日(金)ロードショー》

「やるなら今しかないという使命感も感じました」

――原作の漫画『天間荘の三姉妹 スカイハイ』から感じたこと

嶋田さん:私自身が生きること、死ぬことについて深く描いたテーマの作品が書きたいと思っていたので、運命的な思いがしました。また、原作では震災で被害にあった町と人々を描いていますが、私自身もこの話をやる前に何度か被災地に足を運び取材をしてきたので、やるなら今しかないという使命感も感じました。まさにビビビ!という出会いです。

3年前にこの原作を読んでみてほしいと言ってくれたのは、他でもない北村龍平監督でした。まだ映画化とかドラマ化とか全然決まっていない時でした。原作を読んで、すでに三姉妹の姿が映像イメージとなって浮かびました。それぐらい一人一人の背負っているものが色濃く描かれていたからです。

鉄は熱いうちに打てとばかりに、それからすぐに映像化を目指し、売り込むための企画書とプロットを作りました。そして賛同してくれるプロデューサーさんと出会い、映画化までこぎつけたときの喜びは言葉では言い表せないほどでした。映画脚本のオファーを制作会社さんからいただく、という通常の流れではなく、企画段階から携われたことが嬉しいです。

――脚色する上で特に気をつけたこと

嶋田さん:原作の世界観を損なわずに、地に足のついた人々の生活や心を描くということです。舞台が“あの世とこの世のはざまの世界”なので、全てが絵空事に思われてしまわぬよう、人物の心情は丁寧に描こうと思いました。

――三姉妹の描き方で特に心掛けたこと

嶋田さん:三姉妹それぞれの性格の違いや言うことの違いには、それぞれの生き様が関係してきます。ストーリーの都合にならないよう、三姉妹それぞれの人生に思いを馳せながら描くことを心掛けました。

――「今回特に勉強になった!」と感じたこと

嶋田さん:今回のように設定が特殊だとその説明をどうするのか、という問題が立ちはだかります。原作では小出しになっていた秘密を、映画ではあえて頭で明かしてしまい、観る人を設定のあやふやさで惑わさずに人間ドラマに集中してもらえるように書くことの重要さに改めて気づきました。

「この世界に入ったおかげで沢山の原作と出会い、人生の糧に」

――最後に、「脚本を書きたい」「脚本家になりたい」という皆さんへ、メッセージをいただきました!

〇嶋田さん: 映像化されるのは原作ものばかり、と憂いの声を聴きますが、私は原作との出会いは素晴らしいものだと思っています。その時の自分が悩んでいることや関心のあることにつながる原作と出会うこともあれば、全く知らなかった世界に足を踏み入れることもある……大きなやりがいを感じます。シナリオの勉強をし、この世界に入ったおかげで沢山の原作と出会い、人生の糧になっています。

そして、どんな悩みも苦しみも、シナリオを書く上でのネタになる。人生をとことん味わうことが活かされる仕事なんて、そうそうありません。うまく書けなくてめちゃくちゃ苦しいときすら、創作で悩める自分はなんて幸せなんだろうと思います。Mッ気が強い方にはピッタリの仕事です 笑!

*     *     *

※『月刊シナリオ教室』2022年11月号(10/28発行)には、シナリオと嶋田さんのインタビューを掲載予定。是非ご覧ください。

※シナリオ・センター出身の脚本家・監督・小説家のコメント記事一覧はこちらで。

>>脚本や小説を書く とは/シナリオの技術を活かして 

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