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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

ひとりひとり

島守の塔(映画)

どうなる日本

シナリオ・センター代表の小林です。8月です。先週の土曜日8月1日からシナリオ・センターは、通学ゼミはzoomゼミとなりました。
オンライン&通学併用のシナリオ8週間講座と139期シナリオ作家養成講座でもおいでになる受講生の方は10人満たないという感じです。
今日の東京感染者数258人。もうすっかり数字を見るのも書くのも嫌になっています。
シナリオ・センターは身を削る思いで、通学にストップをかけたのに、GOTOトラベルをやめることなく、帰省はやめろ、休業要請を守らないと罰則するぞとか訳のわからないお達しばかりにほとほとうんざりです。
ドイツのメルケル首相や、ニュージーランドのアーダーン首相のように感染拡大の説明と具体的な対策、補償もしてくれることのないお上はどこかで変わってくれるのでしょうか。。
いつまでもこうした状態であるならば、収束するまで、シナリオ・センターはシナリオ・センターでちゃんと受講生の皆さん、講師・スタッフすべての方々の安全安心と向き合いながら、その時々で決断をし続けようと思います。

折しも、8月は、戦争を忘れないための月です。
このコロナ禍にあって、現在の政府や報道が75年前と酷似している気がしています。私たちは自分で考え、心で想い、表現して、大本営発表に疑問を呈していかなければいけないと思うのです。
より戦争の歴史をきちんと見つめなければならないと真剣に思います。

8月6日広島原爆の日、9日長崎原爆の日、15日終戦(敗戦)の日、多く人々が戦争の犠牲になりました。
その方々すべてに愛する家族が、恋人や友人があり、未来があったと思うと本当にひどいことだと思います。
何万人とか数字ではないのです。
数字に表されたひとりひとりが生きている人間だということを心に刻んでいないと、その人々に生活があったということを想像できないと、また、同じことが起こりうるのです。
私は、このようなことを言い続けるかと思いますが、左とか右とかではなく一人の人間として、人間が生きるということは生かすということはどういうことなのだということを問い続けていきたいと思っています。

島守の塔

8月と同時に、6月23日沖縄戦のことは忘れてはいけません。
日本における唯一の地上戦、1945年沖縄県民の死者12万2278人、そのうち一般市民9万4000人。
沖縄摩文仁の丘には、沖縄県職員の戦没者を慰霊する「島守の塔」があります。
その奥には知事だったの島田叡、警察部長だった荒井退造の連名の終焉の地の碑があり、出身地である栃木県の慰霊塔「栃木の塔」、兵庫県の慰霊塔「のじぎくの塔」が建っています。
これらの3つの塔の配置は、「生きることの尊さ」を後世に伝えてほしいと、この地で生涯を閉じた島田と荒井の信念を継承し、3県の慰霊塔が寄り沿って立っているのだそうです。

映画「二宮金次郎」を創られたシナリオ・センター出身のおふたり五十嵐巧監督と脚本家の柏田道夫さんが、再びタッグを組んで、この島田知事と荒井警察部長を描いた映画「島守の塔」を創りました。

主人公の二人は、沖縄の人々の命を守ろうと最後まで力を振り絞った方です。
島田知事は県政の責任者として軍の命令を受けて鉄血勤皇隊やひめゆり学徒隊として多くの青少年を戦場へと向かわせた、荒井警察部長は県民の疎開を必死に推し進め、本土に向かっていた学童疎開船「対馬丸」を米軍の攻撃に遭わせてしまい、数多くの子供達が犠牲となったという大きな十字架を背負っていました。
それゆえに、戦争末期一億総玉砕が叫ばれる中、敗走しながらも、島田知事は叫ぶのです。
「命どぅ宝、生き抜け!」と。

映画「島守の塔」は、第二次世界大戦の末期、長期にわたる日本国内唯一の地上戦があった沖縄を舞台に、軍の圧力に屈しながらも苦悩し、県民の命を守り抜こうとした島田知事と荒井警察部長、そして沖縄戦で戦火に翻弄されながらも必死に生きる沖縄県民、それぞれの生きる姿を描いています。

戦後75年の今年、日本人として、人間として、私たちの過去、現在を知るためにも観なければいけない映画だと思います。
「命(ぬち)どぅ宝」、命こそ宝というこの言葉は、多くの犠牲の上に絞り出た言葉だと思います。
コロナ禍の今、安易な言葉で語らずに、「命こそ宝」だということを頭に、心においていなくてはいけないと思うのです。。

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