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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

ものを知る

めおと相談屋奮闘記~なんて嫁だ~(集英社文庫刊行) 

生きている人間

シナリオ・センター代表の小林です。東京は、コロナ禍で盛り上がらない都知事選も終わり、102人の感染者が今日も増えました。
熊本始め九州地方の豪雨は、どうにかならないのでしょうか。長雨になる、九州のどこで災害がおきてもおかしくないとの気象庁の発表に、この先まだ終わらないのか、もっと増水したりするのかと思うと心が震えます。
コロナだけでも大変なのに、そのうえ、浸水、倒壊、避難も余儀なくされて・・・。
災害が起こるたびに想いを強くするのは、災害大国日本はまったく災害対策が機能していないということです。
氷点下60度以上夏でも20度以上しかならないシベリアで38度を超える暑さになったりと、異常気象の地球ですから想定外のことも起こりますが、反対に何が起こってもおかしくはないと想定することだってできるはずです。
豪雨は、昨年も各地で同じように起こっているのですから、想定外ではないはず。またかと思ってしまいます。
次から次へと問題が山積して、大変なことだとは思うのですが、赤字日本からボーナスも国民の数倍ももらったことですし、きっちりと下々の倍以上の働きをしてほしいです。
国民一人一人に命があり、家族があり、生活があることを、数字ではない生きている人間だということを常に想像して。

めおと相談屋奮闘記

生きている人を生き生きと描きます。
出身ライターの野口卓さんの時代小説、サイコーです。
野口さんはこれからデビューしたいと頑張っていらっしゃる方の希望の星でもあります。
シナリオ・センターに在籍中はラジオドラマ、戯曲を書かれて、1993年一人芝居「風の民」で菊池寛ドラマ賞を受賞されました。
その後、落語から競馬、シェークスピア、オペラなど、博識ぶりを発揮されて、評論を書かれていらっしゃいましたが、2011年、「軍鶏侍」で時代小説デビューされ、歴史時代作家新人賞を受賞されました。
しかも、それからの活躍ぶりが凄い。デビューから9年間で114冊の時代小説を書かれるという多作ぶり。シリーズ化されたものが多く、人気のほどが偲ばれるというものです。
デビュー作の「軍鶏侍」シリーズ。こちらは漫画化もされています。
「薫風堂シリーズ」「ご隠居さんシリーズ」「北町奉行朽組シリーズ」「よろず相談繁盛記シリーズ」のほか単発も多々。
新作のこれからご紹介させていただく「めおと相談屋奮闘記」は、新シリーズなんですけれど、実は「よろず相談屋繁盛記」シリーズの第二幕というちょっと変わった趣向です。
よろず相談屋の独り者だった主人公の信吾、前作で恋仲になった波乃さんと結婚したのです。
で、シリーズ名変わりました。「めおと相談屋奮闘記~なんて嫁だ~」(集英社文庫刊)
この発想もすごいです。こういう形でシリーズを変化させるなんて聞いたことがありません。
この類まれなる発想はどこか溢れてくるのかというと、野口さんインタビューで、こうおっしゃっています。
「時代小説はもちろんですが、いろいろな本を若い頃から読んでいただきたいですね。
本を読むと知識を得られるだけでなく、想像力がつく。想像力が欠けていると簡単に人を決めつけがちになって、非常に危険だと思うんです。(略)
いくつになっても人は変化するもの、成長するものという思いがあるんですね。それに何事もこうだと決めつけて見ると、微妙な差異に目が向かわなくなる。
たとえば、黒と白の間には灰色があるけれど、灰色にしても明度や彩度の違いで無数にバリエーションがあるわけです。
なのに、黒と白にしか反応しないような人が増えている。微妙な人の心を想像できるようにするという意味でも、ますます読書が大事になってくると思いますね。」
野口さんのおっしゃる通りだと思います。創作をする者にとって読書は、とても大事です。
野口さんが博識でいらっしゃるのは、落語はもちろんのこと、シェークスピアからオペラ、将棋、競馬にいたるまで色々なことを知っていらっしゃるからです。
今から読書家になれるだろうか、この歳でデビューできるだろうか・・・と思われる方、決して遅くはありません。
橋田賞の小泉理恵子さんもおっしゃっていらしたように「始めるのに遅いはない」のです。
野口卓さん1944年生まれ。2011年小説デビューは、御年67歳で。
だからこそ、色々な経験と知識教養をお持ちなので、多作作家として、ヒットを飛ばす快進撃ができるのです。希望の星でしょ。
うまく描けない、何を書けばいいのかと悩まれる方、ともかく本を読みましょう。

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