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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

願わくば…

千鳥ヶ淵の昨年の桜

開花

シナリオ・センター代表の小林です。寒の戻り?花冷え?
確か、日曜日に東京は開花宣言をしたばっかりなのに、つぼみはまたキュッと縮こまっちゃったのでしょうか。
花見も自粛傾向ですが、それでもきれいな花を見ることは心が洗われますから、今みたいな時こそ、お花見をしたい気がします。
「花見にと 群れつつ人の 来るのみぞ あたら桜の とがにありける」(西行法師)
大勢が押しかけて騒がしい、桜の花の罪だなと詠んでいますが、今年は「さくらのとが」は少なめになりそうです。
それもちょっと寂しい気がします。理由が理由ですからね。
私の家の周りは、四谷の土手、市ヶ谷の土手、千鳥ヶ淵、北の丸公園、靖国神社、靖国通りの街路樹は全部桜ですし、犬の散歩ロードは桜の名所です。
例年ですと、大きなゴミ箱と簡易トイレが置かれたり、下に落ちないようにか柵をこしらえたり、ライトアップとか、千代田区は桜祭りの準備に余念がありません。
今年は、本当に散歩がてら、桜の下を歩くって感じでしょうか。怪しいものが落ちていなくて、犬の散歩にはとてもありがたいです。(笑)
すごいのですよ。案外人は気が付かないのですが、外だというのに、四谷の土手などは、土手中がお酒臭くなるのですから。歩いているだけでもお酒に弱い方は酔っぱらちゃうかも。
今年の新宿御苑の桜は、忖度なくきれいな満開を桜を楽しめそうですが。

桜、桜~

桜って、散り際が潔い感じのせいか、すぐ散ることを詠んでいる短歌や俳句が多いように感じます。
一茶の「桜花 何が不足で 散り急ぐ」 
すぐに散ってしまうことへのむかつき、私も同じ気持ちです。
諦念しているのは「散る桜 残る桜も 散る桜」
さすが、良寛様です。
無常観、命のはかなさを桜に観ることが多いようです。
私の卒論は、小野小町でしたが、絶世の美女だからこその嘆きです。本当に小野小町って、六歌仙でありながら、気の毒なくらい老いさらばれる話が多いのです。美女で才能のある人は、その昔も妬まれていたのでしょうか。私も気をつけなくては。(大笑)
「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
普通ここまで嘆けません。
私の母は、20年前になりますが、4月、満開の桜に送られて亡くなりました。
そのせいでしょうか。桜というとすぐに出てくる短歌は、
西行の「願わくば 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃」
西行の気持ちがとてもよくわかります。
桜が散る中で静かに死ねたら、キレイですし、忘れられませんものね。
桜が咲くたびに、桜が散るごとに母の姿をやはり思い出します。

名歌、名句を詠んで思うのは、どの歌、どの句も絵が浮かぶ、ドラマを感じる、映像が見えるようです。
人の感情を揺さぶるのは、その人の中に情景が浮かぶ、その人なりのドラマが浮かぶからではないでしょうか。
短歌や俳句は、詠み手(作った人)の気持ち以上に、受け取った人の背景事情によって、感動は変わってきます。
ドラマや小説は短歌や俳句以上に具体的ですが、受け手(視聴者や読者)によって、感情移入のツボは違うものだと思います。
だからこそ、何を描くかとどう描くかは違うということを、作り手はわかって作らなければと思います。

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