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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

みる・しる

お江戸やすらぎ飯(角川文庫刊)

前例

シナリオ・センター代表の小林です。大寒はさほど寒くなかったのに、急に寒くなりました。
今年は、暖冬でしたのでダウンの売れ行きもいまいちのようですが、ここでグッと盛り上がりそうです。
季節らしい気候でないと色々と支障がおきます。
オリンピックの暑さ対策も雪を使うつもりだったようですが、お目当ての雪は未だ積もらずやきもきしているようですね。
オーストラリアの森林火災、フィリピンの火山噴火など、日本に限らず地球上で今までにないことが起こっています。
前例がないと動けない日本のお上の面々は、こうした事態に対処できるのでしょうか、心配です。
常日頃、自分の頭で考え、自分の心で想い、自分の責任で行動するということが、人としての本来の姿なのではないでしょうか。怠けないで、自身を切磋琢磨したいものです。

1月30日、2020年最初のシナリオ作家養成講座が開講となります。
前例のない事態でも対処できるように、2つのそうぞうりょく、想像力と創造力を鍛えていきましょう。
シナリオは、アクションとリアクションがすべてです。日常と違って、必ずアクションだけを考えるのではなく、常にリアクションも一緒に考えなくてはならないのがシナリオです。
アクションを起こしたら相手はどういうリアクションするのか、客観的に考えられる、他に類を見ない人間を見つめ、人間を磨ける技術だと思います。
シナリオの技術は、表現の技術ですが、人間関係に使える技術でもあるのです。

 

みえないものを見る

潜水艦にも女性が乗艦できるようになりました。女性の進出は言葉だけでなく実際の形にならないと進みません。これからどのように女性が増えていくのか楽しみです。
こちらも、江戸時代ですが、女性が頑張ります。
出身ライターの鷹井伶さんの書下ろし「お江戸やすらぎ飯」(角川文庫刊行)

江戸の大火で両親とはぐれ、吉原の遊郭の主人に育てられた佐保は、特殊な才能を持っていました。水穀の精微…食物から得られる滋養、養生の極意を生まれつき備えているのです。
吉原で花魁になるための修業を重ねている佐保ですが、具合の悪い人を見ると、これを食べさせると元気が出るのではと直感が働き、さっと作って食べさせるのが大きな喜びでした。
そんな病に利く食材を言い当たる佐保を目の当たりにして、幕府のお抱え医師の名家多紀家の瑞峰は、病人を救う料理人にすべく医学館に引き取り、漢方、薬膳を学ばせるのでした。

江戸時代の女性料理人の小説というと高田郁さんの「みをつくし料理帖」などありますし、グルメ時代小説は結構あるのですが、同じ料理ですが、切り口が全く違う新しい時代小説です。
漢方薬膳、美味しいことだけでなく身体によいもの、命を救う、命を育てる食事を作る主人公佐保が活躍するのですが、彼女の生い立ちなども謎のままで、どのように成長していくのか、次のシリーズが待ち遠しいです。

本の中にでてくる薬膳料理のレシピも巻末の添えられていて、早速、風邪、食欲不振、免疫力の低下、冷え性、倦怠感などによいとされる「山芋のふわふわ団子汁」を作ってみました。
美味しい、温まる、優しい味にほっとさせられました。
実は執筆にあたって、鷹井さんは漢方養生指導士の資格をとられたそうです。来週は上級試験を受講されるとか。そこまで努力される、きちんと学ばれる姿勢に頭が下がります。ネット検索だけで、小手先だけで調べたり書いたりしていては、いいものは書けないのですね。
また、この小説の舞台医学館は、徳川家に代々仕えた漢方医家の多紀家。現在もお医者様だそうです。
多紀家は、小説やドラマ(例えば「仁」とか)では、漢方にこだわる古い体質の医者というイメージで小石川養生所などの敵役にでてくることが多いのですが、本当は幕府のお抱え医師でありながら市井の人々を診たり、市井の医師のための塾を開いたりしているいい人なのです。(笑)
鷹井さんは、そんな悪役イメージも払しょくしたいとおっしゃっていました。
歴史は勝ち組の歴史なので、どうしても負け組は損な役まわりになりがちです。
大河ドラマ「八重の桜」を描かれた山本むつみさんも、負け組の会津は歴史上では悪役、そういうことではないことを伝えたかったとおっしゃっていらっしゃいました。
勝ち負け、正誤、一般的な見方ですべてを見るのではなく、さまざまな角度からみることで、今までにないドラマ、小説を生み出すことができるのだと思います。

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