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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

『舞妓さんちのまかないさん』/ 特別なことはないけど 面白い物語

アニメや漫画にはシナリオ創作に役立つヒントが満載。魅力的なキャラクターとはどんなものなのか。設定だけで面白いと思わせるにはどうしたらいいのか。その答えは話題のアニメや漫画にある!シナリオ・センターでマンガ原作講座やSFファンタジー講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』『サブカル総合研究所~マンガとアニメと、ときどきラノベ~』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
「主人公は必死で活躍しない」「葛藤も対立もほぼない」「ドラマチックな展開もない」「涙も笑いもあまりない」「うんちくもない」、こういった “特別なこと”をしなくても成立するドラマを書きたいと思っているかたには、『舞妓さんちのまかないさん』がオススメです。特別なことはしないからこそ生まれる独特な世界観を構築するには、どうしたらいいのか。この作品を教科書代わりに、そして仲村講師の視点を参考に、分析してみてください。

マンガ『舞妓さんちのまかないさん』(小学館)/小山愛子

注目ポイントは設定
京都の花街のとある屋形(舞妓さんたちが住む置屋)で「まかないさん」として食事を作る16歳の少女・キヨ。「日常のご飯」を通して花街の温かな人間模様が描かれる。

普通のご飯を、普通に家で食べる

2ヶ月程前に引越をした。いやはや、こんなにお金と時間と労力がかかるとは。当然、食事をつくる余力も余裕もない。そもそも調理器具は梱包してしまったし…ということで数日間ほど外食でしのぐことになった。やった!普段は罪悪感ある外食が心置きなくできる!

しかし、わーい寿司屋だ、ステーキハウスだと喜んだのは最初の3日だけ。4日目あたりから胃が重く、なんだか気力・体力も衰えた気がした。塩分や油分が過多なのか、あるいは店で食べるという行為自体、思っている以上にリラックスできぬものだったのか、とにかくあの時ほど「普通のご飯を普通に家で食べたい」と強烈に思ったことはない。「食」とはかように心と体にとって重要である。

さて、今回ご紹介するのはそんな「普通の食事」を題材にした作品。グルメうんちくや濃すぎるキャラ、ドラマチックすぎる展開に「お腹いっぱい」な人にはちょうどいい塩梅だ。

「特別なことはしない」からこそ生まれる独特な世界観

主人公・キヨは青森出身。舞妓さんに憧れ、同級生のすみれと共に京都のとある屋形で修業をつむことになった。だがめきめきと才能を開花させていくすみれとは対照的にキヨは何をやってもダメ。

とうとう舞妓になるのは諦めろと引導を渡されてしまう。その頃、とある事情で屋形では毎食を出来合のお弁当で済ませていた。次第に元気をなくしていくみんなを見かねてキヨは冷蔵庫の残り物でみんなのために親子丼を作る。それは絶品の美味しさ…ではなく、ごく普通の味。でもなぜかホッとする味だった……。こうしてキヨはこの屋形で「まかないさん」として生きていくことになる。

どのエピソードも日常のささやかな「ほっこり」が詰まっている。大きな窮地も葛藤もない。キヨは自分が落ちこぼれ、すみれだけが脚光を浴びても嫉妬ひとつせず心から応援し、先輩舞妓たちはそんなふたりを温かく見守る。

現実には京都の花街がこんなのどかなはずはないと思う。芸ひとつで生きる女たちはもっとしたたかで、美しさの裏に毒を含んでいるのではないか。もちろんそうした「リアリティ」や「人間の弱さや愚かさ」を描く作品があってもいい。

だけど全てのエンタテインメントがそうでなくたっていい。時に人は嘘と知りつつ心地よい世界で癒やされたい時がある。この作品は現実世界に疲れた人々が望む「こうであってほしい」で満ちている。「主人公は必死で活躍しない」し「葛藤も対立もほぼない」し「ドラマチックな展開もない」し「涙も笑いも(あまり)ない」しグルメうんちくもないが、読者に愛され続けている。「特別なことはしない」からこそ生まれる独特な世界観。これも1つの巧みな技術である。

出典: 仲村みなみ著『サブカル総合研究所~マンガとアニメと、ときどきラノベ~』(月刊シナリオ教室2018年8月号)より

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

※【要ブックマーク】漫画やアニメには創作のヒントがいっぱい!
今まで掲載したこちらのブログをまとめた記事「漫画・アニメのストーリーを書くには」はこちらからご覧ください。

次回は11月5日に更新予定

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