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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

『みかん・絵日記』に学ぶ/ 感動的な物語 を作るには

アニメや漫画にはシナリオ創作に役立つヒントが満載。魅力的なキャラクターとはどんなものなのか。設定だけで面白いと思わせるにはどうしたらいいのか。その答えは話題のアニメや漫画にある!シナリオ・センターでマンガ原作講座やSFファンタジー講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』『サブカル総合研究所~マンガとアニメと、ときどきラノベ~』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
今回取り上げるのは『みかん・絵日記』。このマンガについて仲村講師は、「よくある設定」「よくある出来事」なのに、感情移入できる感動的な物語になっているのは、登場人物たちの葛藤がクライマックスぎりぎりまで描かれているからなのでは、と分析しています。すごく悪いヤツが出てこなくても、ショッキングな事件がなくても、人の心を動かすことができる設定とはどういうものか?
「感動的な物語を作りたい!」というかたは是非、マンガ『みかん・絵日記』と仲村講師のコラムを参考にしてみてください。

マンガ『みかん・絵日記』(白泉社)/安孫子三和

注目ポイントは設定
お父さん、お母さん、小学生の吐夢(トム)。そんな草凪家に住み着いた1匹の猫はなんと人間の言葉を話す猫だったのです!優しい気持ちになれるハートフルストーリー。

もしも猫が気持ちを伝えられたら

捨てられた猫を引き取って育てていた猫好きな奥さんがいた。奥さんが外出するときは門の外まで見送りに出る猫たちの姿は愛らしく「見送り猫」の姿は近所でも評判だった。その奥さんが隣県に新居を建てて引っ越すことになった。ご近所さんたちはもちろん猫も連れていくはずと思っていた。 

ところが猫は置き去りにされたのである。引っ越し当日は雨。門の前でいつものように見送る猫たちには目もくれず奥さんは新しい家へと去っていってしまった。いくらなんでも猫が可哀想…と抗議したご近所さんに「もともと野良だったんだから、ひとりでも生きていけるわよ」と笑ったそうである。

涙ながらにこの話をした友達をなだめながら私は思った。もしも猫が「みかん」のように喋れて、気持ちを伝えられたら、奥さんの心は動いただろうか、と。

「よくある設定・出来事」も、葛藤させ続けることで感動的なドラマに

この作品、家族旅行にみかんを連れて行くか否かとか、はっきり言ってどのエピソードも「よくある話」が多い。しかも基本的に善意の人ばかりなので、ショッキングな出来事もない。なのに感情移入できるし涙腺の弱い私はすぐに泣いてしまう。それって登場人物たちの葛藤がクライマックスぎりぎりまで描かれていて「ああ、そうなんだよねえ、わかるわかる」と思えるからなんだと思う。

たとえば単行本第6巻には、近所の猫嫌いの老人が2匹の捨て猫を拾うエピソードがある。老人は飼い主が見つかるまで預かるだけだと言う。草凪家の人もご近所さんも、誰もが「可哀想」と思いながらも様々な事情や理由で「自分が飼う」と言い出せない。

元は野良猫だったみかんも心配で仕方ないが、所詮自分は扶養家族の身、「こいつらも飼ってください」とは言い出せない。誰もが誰かの気持ちを思いやり、だからこそエゴを出せない。そんな葛藤の中、それぞれが思う。

「大切な者たちはもう二度と悲しませたくないじゃないか」
「誰も欲しがらずいらないからって捨てちゃえるもんなの?」
「よぶんなものをかかえてる気の重さからもやっと解放されるわな。(中略)めんどうな事は楽しい事でもあったのに」

なんら奇をてらわない、非常にありがちな、だが葛藤を積み上げた末のとても感動的なクライマックスの老人のモノローグはここでは書かない。

どうぞ自分の目で、心で、作者のメッセージをかみしめてほしい。人間だけがこの世で一番偉い、わけじゃないのだ。あ、全体のタッチはほんわか軽いコメディタッチでするっと読めます。軽みの中に深いテーマが隠れていて、うまいんだな、これが。

出典: 仲村みなみ著『マンガから盗めっ!』(月刊シナリオ教室2007年11月号)より
※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください

※【要ブックマーク】漫画やアニメには創作のヒントがいっぱい!今まで掲載したこちらのブログをまとめた記事「漫画・アニメのストーリーを書くには」はこちらからご覧ください。

次回は9月10日に更新予定

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