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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

映画『 夢みるように眠りたい 』デジタル修復作業に参加してみた

修復作業をした箇所は、リマスター版で使うらしい…

林海象監督の『 夢みるように眠りたい 』デジタル版!

シナリオ・センターの新井です。

いよいよ林海象監督の『 夢みるように眠りたい  』のデジタルリマスター版が完成間近です。修復プロジェクトに参加された方もいらっしゃるかと思います。
>>修復プロジェクトについてはこちら
Help restore the damaged print of JPN director Hayashi Kaizo’s acclaimed debut film /「私立探偵 濱マイク」シリーズ等を手がける林監督の幻のデビュー作「夢みるように眠りたい」フィルム修復

もちろん、シナリオ・センターも参加しました。¥105,000 以上のプレッジ『林監督と巡るロケ地ツアー』で参加。その中にある『修復体験+修復スタッフとしてエンディング・ロールにクレジット表記 』で参加させて頂きました。オリジナル版も含めると、今回で2回『夢みるように眠りたい 』に関わることになりました。デジタル版のクレジット表記、どうなるんだろう……(笑)

4月26日、ちょっと肌寒い金曜日、正直いうと「まぁこんな感じでやりますよ~」という説明を簡単に受け、修復現場を見て、ちょっと修復してみるくらいの感じなんだろうなぁと、勝手に思っておりました。

そんな気分で、小学生の社会科見学の気分でIMAGICA東京映像センターに到着。

デジタル修復って、すごい!

まず「デジタル修復ってなんぞや」というのを、すっごい簡単に言えば、オリジナルの16mmフィルムをデジタルにするってこと……です。もうね、バカみたいな説明ですみません。難しい話は、IMAGICAさんの下の資料をご覧ください。

基本的にオープンになっていない場所に入って、『フィルム検査・補修』『フィルムスキャン』の段階で、専門家の説明を聞いて、実際のフィルムも見て……と「これ、IMAGICAさん、かなり本気で参加者に伝えようとしているぞ……」と、社会科見学気分の自分を叱りたくなりました。

だって、皆さんかなりきちんと説明してくれるし、実際の作業を見せてくれるし、至れり尽くせり。

ついにデジタル修復の現場へ

うすっ暗いデジタル修復の現場へ。
当日の参加者6人を、2人1組にして、実際に修復します。横に1名専門のスタッフの方がついてくれます。贅沢です。

まず、デジタル修復ってどんなことをするのか、教えてくれます。

・フィルムについたゴミや傷をデジタル上で修復
よく古い映像などを見ると、白いチラチラしたものが写ると思います。下の動画は、参考に。こういう、チラチラ写るのは、ほこりや傷だそうです。
こういうものが写らないように、デジタル上で処理します。

・シーンが切り替わるときのカメラの揺れを修正

・映像の上下のモヤモヤを修正
これ、言葉でいうと難しいのですが、上下の余分な部分を修正します。

 

で、この作業を「軽くやるのかなぁ」と思っていたら、ガッツリ1時間半くらいやりました。なんせ、実際にデジタルリマスター版で使う2シーンの修正を、参加者がするわけです。つまり、新井が修正した部分が使われるわけです。もちろん、最終的にはプロの方がやりますが、「基本、私たちは確認程度ですから」と、優しいのか突き放しているのかわからない一言。

もう、社会科見学気分はどこへやら。気持ちは修復士。『修復士』という言葉があるか、わからないですが……責任をひしひしと感じます。しかも、佐野史郎さんのアップのシーン。これは、傷やほこりを残すわけにはいきません。

うすっ暗い部屋の中で、真剣に作業します。
画面を凝視。こんなに佐野史郎さんの顔を見ることが、人生の中であるかなってくらいじっくり見ます。それこそ、穴が空くくらい。仕事より疲れる。でも、楽しい。

「もう15年くらい、これやってます。やばいですよね」

私たち二人を担当してくださった方は、15年くらいデジタル修復の仕事をされているそうです。このうすっ暗い部屋の中で。なので、くだらないこと聞いてしまいました。

「二日酔いの日とか、眠くなりませんか?」
「なりますよ。実際、なります」

「目、めっちゃ疲れないですか?」
「う~ん。実はそれほど疲れないです」

ここから、プロの世界。ずっと画面を見て、ほこりや傷、ずれがないかを見ているはずなのに、なぜ目が疲れないのかというと、画面を全体をぼんやりとみて、作業をするそうです。その方がちゃんと気づくそうです。だから、目が疲れることはない、と。15年やらないと、わからない世界ですね。

林海象監督もいらして、得した気分

思った以上に、本格的な作業を体験させてもらいまいた。しかも、自分が修復した箇所が実際に皆さんの目に触れると思うと、なんかワクワクします。そして、デジタル修復された作品を見る眼が変わるなぁと思いました。

何事も経験をすると、学びがありますね。
林監督も「僕も初めて見たからね。修復作業。すごいですよ」とおっしゃっていました。

 

この凄い作業、是非機会があれば、皆さんに参加してもらいたいです。中高生とかにも、いいかも。映画人口の底上げになりそうですし。次代を担う林海象監督を生み出すべくIMAGICAさんに、一肌脱いでもらいたいですね。

シナリオ・センターの新井でした。

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