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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

働きながら 脚本家を目指す /平成30年度橋田賞新人脚本賞受賞者コメント

シナリオ・センターには、仕事をしながら通学・通信で基礎講座やゼミを受講し、脚本家を目指しているかたが沢山いらっしゃいます。

平成30年度橋田賞新人脚本賞で、グランプリにあたる入選作を受賞された元通信作家集団 いとう菜のはさん(受賞作『蜘蛛の糸』)と、佳作を受賞された大阪作家集団 三谷武史さん(受賞作『52歳のエレジー』)も働きながら脚本家を目指し、今回の受賞に至りました。

今回の応募総数は145篇(前回は104篇)。第一次審査では9篇が通過。第二次・三次審査を経て、最終選考で入選作1篇、佳作1篇を選出。嬉しいことに今回はシナリオ・センター出身・所属のお2人が受賞となりました。

平成30年度橋田賞新人脚本賞の贈賞は第27回橋田賞の贈賞とともに実施。そのときのお2人の受賞スピーチとともに受賞作に対する想いなどもお聞きしましたのでコメントをご紹介します。

橋田賞新人脚本賞は応募時の年齢制限がありません。
脚本家志望者の中には、「年齢的に無理かな…」「仕事をしながらじゃ無理かな…」「忙しいから無理かな…」等々、色々な事情で悩まれているかたがいらっしゃるかと思いますが、こちらのコメントをご覧いただき、ぜひ次回挑戦してみてください。

なお、お2人の受賞作は『月刊シナリオ教室2019年8月号』(7/26発行)に掲載。併せてご覧ください。

入選作『蜘蛛の糸』いとう菜のはさんコメント
「満員電車に揺られているすべての人の人生にドラマがある」

=受賞スピーチ=
〇いとうさん:橋田賞受賞者のみなさまとは違い、こんな眩しい場所に慣れておりませんのでちょっとクラクラしております。

私は普段、満員電車に揺られて会社勤めをしながら脚本を書いております。 地方で書いているんですが、沢山のプロデューサーのかたから「この仕事をするなら東京にいないとダメだよ」と言われましたし、それを実感する機会も何度もございました。

ただ、それができなかったのはシングルマザーで2人の子どもを育てておりまして、なかなか環境を変えたり、経済的な事情もあったり、いろいろなことで脚本だけに専念するという選択肢がもてずに、でも頑張って書いておりました。

そんな私ならではの物語を書きたい、と頑張って続けておりましたので、今回の受賞は本当に、背中を押していただいたということで感謝しております。

俳優部や演出部やいろいろな部署が1つのものをつくる映像という世界が大好きです。
その大本になる脚本というものを、これからもオリジナルの視点で書き続けていきたいと思いますので、この栄誉ある賞を誇りに精進してまいりたいと思います。

=いとうさんにご質問=
――受賞作の脚本を拝見しまして、題名にある“蜘蛛の糸”のシーンがとても印象的でした。
〇いとうさん:子どものころ、1匹の蜘蛛が1本の糸からあの放射線状の蜘蛛の巣を張っていくところを、ずーーーーっと見ていたことがあります。とても神秘的な光景として頭に残っていたのだと思います。

ごく短いストーリーの素案と、あの光景が結びついたところからシナリオが動き出したような気がします。

――『蜘蛛の糸』を書かれた際に、特に心掛けたところはどんな部分でしょうか?
〇いとうさん:観客に「2人のろう者の物語である」とミスリードさせる展開にしたかったので、「そうではなかった」とわかるタイミングをどこに持ってくるか、を試行錯誤した覚えがあります。手話のシーンが続きすぎないようにするためにも、遅すぎない段階で口話に切り替えたかったので…。

――シナリオ・センターには、コンクールでの受賞を目指している生徒さんが沢山いらっしゃいます。
いとうさんはこれまで函館港イルミナシオン映画祭や伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞など色々なコンクールで受賞されていますが、応募作を書く際、シナリオ・センターで学んだことで役に立っていることはありますか?
〇いとうさん:私の作品はいつもそうですが、大きな事件やカラクリ、どんでん返しなどで見せるものと違い、心の機微を描いていくので画が単調になりやすく、演出しにくいと思います。

そこで、無意識のうちに使っているのが、シナリオ・センターで学んだリトマス、シャレード、小道具といったテクニックです。

これは課題をこなしていくうちに自然に身につくものですが、どんな題材の、どこを面白がって書けるか、というのは日ごろのアンテナの張り方と、人生経験のストックだと思っています。

満員電車に揺られているすべての人の人生に、ドラマがあります。普遍的な日常の中の小さな奇跡を、これからも私なりの目線で描いていきたいと思います。

佳作『52歳のエレジー』三谷武史さん
「私が書いた“音符”も、“音”になるために生まれてきたはず」

=受賞スピーチ=
〇三谷さん:本日は大きな賞をいただきましてありがとうございます。
いとうさんは既に脚本家としてお仕事をされておりますけれども、私はまったくの素人でございまして、今ですね、完全に夢の世界にいるような心もちでございます。

しかしながら、これが現実のことであるならば、夢というのは叶うこともあるんだということになろうかと思います。であればですね、私の夢ももう一歩先までですね、叶っちゃうかもしれない!と欲深い私は思ったりもするわけです。その“夢”というのは何かと申しますと、要するに脚本の映像化でございます。

脚本というのは、いわば楽譜のようなものでございまして、楽譜は演奏されることを前提に書かれるものであろうと思います。私が書きました“音符”もですね、音になるために生まれてきたはずであったろうと思います。

どうやったらこの音符が音になるのか、いうようなことをですね、この後のパーティーでもですね、ご相談させていただければと思ったりしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

=三谷さんにご質問=
――『52歳のエレジー』を書こうと思ったのはなぜですか?

また、作中の「誰かを特別扱いしたら、それはもう行政じゃない」というセリフが大変印象的でした。このセリフに込めた想いもぜひ教えてください。
〇三谷さん:親の実家が、滋賀県の彦根にあります。彦根と言えば井伊家。その中でも一番有名なのが井伊直弼ということになります。

井伊直弼という人物は、あまり良く言われなくて、司馬遼太郎などは「政治家ですらない」とまで言ってるほどなのですが、たぶん唯一、肯定的に描かれているのが船橋聖一の『花の生涯』です。単純な身びいきで、この小説がとても好きな私は、作中でも触れているように、箱根の関所の話を書きたいと思うようになりました。

ただ、そのためにはかなりの資料をキッチリ読み込んでいかねばならないわけです。怠惰な私は、そこで頑張るより、元小説家志望の地方公務員が、これをモチーフに小説を書くというお話の方が面白いかな、と考えた次第です。

「誰かを特別扱いしたら、それはもう行政じゃない」についてですが、これは、昨今、世間で取りざたされた行政を巡る問題に関して、多くの人の批判を要約すれば、この言葉になるかな、と考えたものです。

――今回、どんなところを特に心掛けましたか?
〇三谷さん:小説の中の世界と現実の世界を如何にリンクさせるか、です。
関連を持たせつつ、その上で、どちらの舞台にも、きっちりとした世界観を与える、というところに腐心しました。

――三谷さんはこれまで、シナリオS1グランプリで3度受賞されていますが、こういったコンクールへの応募作を書く際、「ゼミの課題である20枚シナリオを書いていたときから、これはかたく守っています!」ということはありますか?
〇三谷さん:ストーリーに人物を従属させてはいけない。なぜならストーリーは人物が紡ぐものだから、ということでしょうか。私はこの言葉を部屋の壁に張り出し、それを眺めながらシナリオを書いています、というのはウソですが(^-^; かたく守りたいな、と思っています。

※前回の平成29年度橋田賞新人脚本賞も、シナリオ・センターのかたが佳作を受賞されています!
こちらのブログ「第26回橋田賞 新人脚本賞受賞 菊地勝利さん」をご覧ください。

※いとうさん・三谷さんに続け!
脚本コンクールいろいろあります。 こちらのブログ「主なシナリオ公募コンクール・脚本賞一覧」で、どんなコンクールがあるのかチェックしてみてください。

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