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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

新しい風

明日への想い

シナリオ・センター代表の小林です。昨日は、初夏の爽やかな風を受けながら136期シナリオ作家養成講座の説明会を行いました。
天気も良いのに、わざわざ説明会においでいただき、何かを表現したいと思われる方がたくさんいらっしゃることを実感し、そのパワーの凄さに圧倒さながらお話をさせていただきました。
いつも説明会で、ちょっとした設定のシナリオを5分ほどで書いていただき、周りの方と見せ合っていただきます。
同じ設定、同じ登場人物でも、みんな違うシナリオを書かれて、創作とは誰一人同じではないこと、唯一無二の存在である自分自身のものでしかないことを実感していただけたかと思います。
見せあいっこしたとたんに、固い雰囲気が一気に崩れて、知らない同士が急に仲良く笑いあったり、お話されたりします。
説明会の中で、私の一番好きな瞬間です。
人間を描くのがドラマですから、なによりも他人との触れ合いが大事だと思うからです。
ほぼ90%の方にお申込みいただき、俄然こちらのやる気も漲っています。もちろん、今日から参加者皆さんのご質問のお応えしていきます。
5月11日の開講日が楽しみです。

マジカルグランマ

やる気満々どんどん突っ走っていくかっこいいおばあちゃんのお話です。
柚木麻子さんの新刊が出ました。
「マジカルグランマ」(朝日新聞出版刊)
一言でいえば、まあ、とてつもなく面白い。

元女優の正子さん。監督と結婚してすぐに引退して主婦になり、金持ちの義父母を看取りました。女癖の悪いカッコつけばかりの夫に嫌気をさし、離婚したいのですが、離婚してくれない夫と仕方なく同じ敷地内の別々の家に暮らしています。もう4年くらいほとんど口もきいていません。
75歳を目前に、正子をかわいがってくれている大女優の紀子ねえちゃんの勧めで、グレイヘアにしたとたん、スマホのCM仕事が舞い込み「日本のおばあちゃんの顔」となるほど有名になります。
ところが、有名監督の夫の突然の死で仮面夫婦とわかり、一気に正子は世間からそしられ、CMからも降ろされてしまいます。
しかたなく、市から文化財に指定されている73坪の大豪邸の立つ230坪の敷地を売ろうとするのですが、解体に1000万かかり、かつ夫は2000万の借金があったのです。
売ることもできない。そこから正子の生き方は180度か変わります。
監督のツイッターに魅せられて出てきた正子の家に転がり込む田舎娘の杏奈、正子の庭から得る食材でいろいろなものを作ってくれる隣に住む明美さん、2歳になる真美ちゃん、自律神経失調症で無職の武さんの家族、奥さんを亡くして廃品回収まがいのことをしている夫の幼馴染野口さん、映画館を経営していた大親友の陽子さん、大女優なのに80歳過ぎてハリウッドでアクション映画に出演している北条紀子こと紀子ねえちゃん、LGBTの息子とその相手清野さんなどなど、個性的な面々を助けられながら、自分の家をお化け屋敷のテーマパーク「東京ホラーハウス」にすることを思いつき・・・。

 柚木さんの小説の面白さは、登場人物のキャラクターはもちろんのこと、色々な伏線の張り方が最高で、そこにつながった時の面白さは格別です。
私の一番共感したところは、登場人物が一見社会的には欠けているといわれる人達で、実はその事情も含めて素敵な魅力ある人間だということを描いていることです。 LGBT、#MeToo、独居老人、SNS、現代の社会問題も柚木さんの視点は優しく切り込んでいきます。
私は、次から次へとアイデアを形にしていき、人を巻き込んでいく正子さんのパワー、大女優にもかかわらず80過ぎてもハリウッド映画に挑戦するために英会話を学び、体力を作っている紀子ねえさんのエネルギーに、私もそう生きていきたいと憧れます。

老人を描いた内館牧子さんの「すぐ死ぬんだから」の主人公ハナさんも70過ぎて夫に先立たれたことでよりパワフルになった女性でしたが、正子さんは、内館さんの主人公のハナさんとは、まったく違った魅力でパワフルです。
年齢的なものもあるかもしれせんが、同じような題材でありながら作者の視点が違うと全く違うお話になります。これこそが創作の醍醐味です。
でも、共通しているのはどちらも世間が欲しているマジカルグランマ(理想のおばあちゃん)にはならない、なりたくないこと。
これぞ、これからのマジカルグランマ・理想のおばあちゃんでしょう。私もなるぞ~!!
老人の皆さん、今更若者にこびへつらうことなく、社会に迎合することなくしたたかに生きていきましょう。(笑)

柚木さんのエンターテイメントパワー炸裂の一作です。
ドラマになったら、社会的な問題もさりげなく取りあげながら笑いに包みこんで、めちゃくちゃパワフルで奇想天外な楽しいエンターテイメントドラマになることでしょう。 登場人物の絶妙なセリフのやり取りは、岡田惠和さんに脚本をお願いしたい。もう、キャストの人選、私できました。(笑)

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