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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

第42回日本アカデミー賞レポート/映画業界 に入りたくなるコメント集

©日本アカデミー賞協会

映画業界 に入りたくなるスタッフコメント集/第42回日本アカデミー賞レポート

3/1に開催された第42回日本アカデミー賞授賞式。
授賞式では、既に発表されていた各部門の優秀賞の中から、最優秀賞が発表されました。

最優秀賞を受賞された方々は皆さん、映画愛あふれる素晴らしいスピーチをされていました。
ただ残念なことに、制作スタッフの方々の受賞コメントは、テレビではほとんど報道されませんでした。

この授賞式では、普段は“裏方”である技術者の皆さんにもスポットライトが当たります。
どんな想いで映画をつくり、今回の受賞をどう感じているのか、気になりますよね?

そこで今回は、最優秀賞を受賞された制作スタッフ陣のコメントをご紹介。
このコメントを読むと、「映画業界っていいなぁ」と感じると思いますよ。

まずは、シナリオ・センター出身の上田慎一郎監督の受賞コメントから。

上田慎一郎監督 最優秀編集賞 ほか個人・作品あわせて多数受賞
(『カメラを止めるな!』)
「映画を撮ることが目的じゃなくて、映画監督になることが目的になっていたときがあった」

―「最優秀編集賞」受賞スピーチ―
〇上田監督:まさか編集賞をいただけるとは本当に思っていなかったので、一応考えてきたスピーチがいま、ぶっとんでしまったんですけども…。

この作品は仕上げの段階を除けば、僕の自宅でほとんど自分1人で編集をやりました。
7年前に買ったMac Proひとつで、まな板2個分くらいのスペースで編集をした作品です。

その作品が300館以上の映画館にかかり、このような評価をしていただいて、最新の機材やスタジオというのも勿論必要だとは思うんですけれども、編集っていうのは人なんだな、というか、人の粘りとか閃きなんだな、ということを改めていま信じられました。

7年前にMac Proを買ったとき、仲間たちと一緒にお金を出しあって買ったんですけれども、その仲間たちに「ありがとう!」と伝えたいです。

―「優秀監督賞」受賞スピーチ―
〇上田監督:この映画が自分にとって劇場用映画の1本目になるんですけれども、1本目がこの映画で良かったなと思っております。

この映画を撮る前に実はちょっと監督として迷っている時期があって…。
中学校の頃からカメラを回して自主映画を撮り始めたんですけれども、そこから大人になって、映画を撮るということが目的じゃなくて、映画監督になることが目的になっちゃっていたときがあって…。

そうじゃなくて、もう一度自分が本当に撮りたいものだけを撮ろうと思って撮ったのが『カメラを止めるな!』です。

それがこういう賞をいただけたり、沢山のかたに楽しんでいただけて、本当に自分の「好き」ということを信じることがこんなに信用できるものなのかということを改めて感じました。本当にありがとうございます。

―「話題賞 作品部門」受賞スピーチ―
※市橋浩治プロデューサー(アスミック)とともに壇上でスピーチされました。市橋プロデューサーのコメントもご紹介します。

〇市橋プロデューサー:「一般のかたから投票で」ということで日本アカデミー賞の中で唯一いただける賞を『カメラを止めるな!』でいただいたというのは、本当にこの作品らしい受賞かなと思っています。

皆様もご存じのように300万円という製作費から始まってですね、新宿K’s cinemaと池袋シネマ・ロサの2館から、最終375館ということで、本当に日本の映画界まだまだ夢があるなというふうに思っていますし、同じインディペンデント映画をやっている仲間たちも勇気をもらえたのではないかなと思っています。

今日、監督・キャスト・技術スタッフ含めてですね、この会場に来たことを本当に嬉しく思います。映画を観ていただいた皆さま、本当にありがとうございました。

〇上田監督:一般のかたからの投票で決まる賞ということで、お客さまに選んでいただいて本当に嬉しいです。

まさか、一昨年の夏、汗まみれ・血まみれで走り回っていたみんなと、この場所に一緒に立てて、本当に誇りに思います。

この映画の生みの親は僕たちかもしれませんけど、育ての親はファンの皆さまだと思っています。

今日この場に、ここにいるメンバー以外にも僕の家族だったり、みんなの家族だったり、ファンのかたも駆けつけてくれています。あと、テレビの前に応援してくれているファンのかたもいっぱいいると思います。その全員でこの賞を受け取りたいと思います。

※You Tube
上田慎一郎
映画「カメラを止めるな!」特報より

是枝裕和監督 最優秀脚本賞/監督賞 ほか個人・作品あわせて多数受賞
(『万引き家族』)
「脚本賞は希林さんと一緒にもらった賞かなという風に思っております」

―「最優秀脚本賞」受賞スピーチ―
〇是枝監督:いまの僕の映画を作るスタイルは脚本が完成して撮影に入るわけではないので、撮影しながら脚本を役者さんと一緒に、スタッフと一緒に作って行くという作業が、端から見ているとハラハラされるかもしれませんが、とても楽しくて。

今回はこの場にはいらっしゃいませんが樹木希林さんにプロットの段階から読んでいただいて。
「あなたがやりたいと思っていることはこういうことよね。珍しくあなたが肉体を撮ろうとしているので、私は入れ歯をはずして、髪を伸ばして、参加をするわ」と言っていただいて。

希林さんは、それだけじゃなくて随所で、色々なカタチで、僕が書いていないセリフを現場でフッと口にされて、それをキッカケに僕はまたその希林さんのセリフを見返しながら、脚本を書いていく、というそういう共同作業を一緒にやって作った映画だったので、今回の脚本賞は僕の名前の受賞ではありますけれども、希林さんと一緒にもらった賞かなという風に思っております。

―「最優秀監督賞」受賞スピーチ―
〇是枝監督:今日実は、午前中に新宿区の小学校によばれて、小学校の4~6年生を前にして30分くらいですけれども、お話をしてきたんですがそのときに、体育館で並んだ子どもたちから手が挙がって、「監督って何をする仕事ですか?」って聞かれて。

「あぁ、監督って何する仕事なんだろうな」っていうのが子どもに分かるように説明するのってすごく難しくて。

撮影の現場に行って技術のスタッフ、今日来てくれている撮影の近藤(龍人)さんとか照明の藤井(勇)さんとか音楽の細野(晴臣)さんとか、ちゃんと手を動かせるというか、“動かす手”を持っているかたと比べると、監督の仕事って本当に曖昧で、何がいい監督なんだろうかっていうのが、1本ずつ映画を撮るたびにやっぱり自分に問いかけざるを得なくて。きっとこれはずっと続いていくんだろうなというふうに思っているんですけれども。

こういうカタチでスタッフが評価されて、キャストが評価されている中でここに立たせていただいて、本当に幸せな職業だなというふうに思っております。今日はありがとうございます。

【また、是枝監督は「日本アカデミー賞に提言を」という要望に対して】

〇是枝監督: いろいろな技術スタッフの方たちをこの会場によんでいただいてとても嬉しいです。

前向きな提言を1つだけさしていただくとするとですね、衣装という部門が日本アカデミー賞にはなくてですね。

僕だけではないと思いますけれでも、いろいろな作品で、やはり映るものの中でとても大事な部門だと思っているので、次回からというわけにはいかないかもしれませんが、「衣装・デザイン」という部門をぜひ新しく作っていただければと思います。

【司会の西田敏行さんから「メイクアップもないですよね」という声があり、】

〇是枝監督:そうですね、「メイクアップ・ヘアスタイリング」もぜひ一緒に部門を増やしていただけるのであれば。(最優秀賞の)副賞をちょっと減らしていただいても大丈夫だと思うので(笑)。

近藤龍人さん 藤井勇さん 最優秀撮影賞・照明賞受賞 (『万引き家族』)
「はじめまして、トム・クルーズです」

※撮影賞・照明賞は、同一作品から選ばれます。

〇近藤さん(撮影):立派な賞をいただきまして本当に嬉しく思っております。
自分が携わった作品、スタッフでチカラを合わせて作った作品が、これだけ多くのかたに観ていただけたということを、本当に嬉しく思っております。

〇藤井さん(照明):はじめまして、トム・クルーズです(笑)。
あまり真面目なことは言うなと言われているので。
現場を抜けて、来ました。終わったらまた現場に戻ります。
シュークリームを50個ほど差し入れして帰りたいと思います。ありがとうございました。

細野晴臣さん 最優秀音楽賞受賞 (『万引き家族』)
「やっと光を与えていただいたという気持ちで感謝でいっぱい」

※発表時には、プレゼンテーターの鈴木慶一さん(昨年『アウトレイジ 最終章』で最優秀音楽賞受賞)が、「さて今年は、いろいろ予想はしましたが、最優秀音楽賞は……、わっ!おっ!『万引き家族』細野晴臣さんです!50年ほど前からの友人!マエストロ細野!おめでとうございます!」と祝福。

〇細野さん:びっくりしました。どうもありがとうございます。

制作当時は、もう、1人でスタジオに籠って、本当に地味に、地味な音楽を作っていたんですけど、公開されたらあれよあれよと、ついにカンヌでパルム・ドール賞とって、びっくりしまして、すごいことになってるなと。

他人事のように拍手喝采してたんですよね、指をくわえて(と仕草もつけて)。

で結局、こういう受賞をいただけて、やっと光を与えていただいたという気持ちで感謝でいっぱいです。どうもありがとうございました。

※You Tube
ギャガ公式チャンネル
【公式】『万引き家族』大ヒット上映中!/本予告より

今村力さん 最優秀美術賞受賞 (『孤狼の血』)
「55年やってまいりました」

〇今村さん:私がこの業界に入ったのは、1965年。先のオリンピックの翌年。正月からこの商売を始めたわけですけど、その後、松竹の大船撮影所、東映の東京撮影所などで、いま現在までそれぞれの撮影所でいろいろご注文賜りながら55年やってまいりました。

そして、今日こうやって初めてアカデミーの最優秀賞という賞をいただきまして、本当に長く続けてきたということに皆さまの支えがあったということを感謝しております。

私が入った当時、映画界はかなり坂道転がるような状況だったんですが、60年代70年代、東映のいわゆるヤクザ映画あるいは実録映画と評されるものを助手時代にかなりの本数やらせていただきました。そこで鍛えられて、ここまでやってこれて、さらにこのような『孤狼の血』という東映の作品でこのような賞をいただいたということが、今回の喜びでございます。

浦田和治さん 最優秀録音賞受賞 (『孤狼の血』)
「いまは劇映画がいっぱいあって本当に幸せ」

〇浦田さん:わたくしが映画界に入ったのが1975年。映画は本当に斜陽で劇映画なんていう現場はなかなかなかったんですよ。

いまはこんなに劇映画がいっぱいあって本当に幸せだし、映画を目指す人もどんどん録音に入ってきてほしい、撮影とかに行かないで(笑)。

本当に今日は嬉しいです。

※You Tube
東映映画チャンネル
映画『孤狼の血』予告編より

会場を沸かせた、司会・西田敏行さんと木村大作監督の見事な掛け合い

*

これもまたあまり報道されませんでしたが、司会の西田敏行さんと『散り椿』で優秀撮影賞を受賞された木村大作監督との掛け合いは見事でした。
優秀監督賞や優秀作品賞について「なんで俺がいねーんだろうなって…」「もういたたまれないよ~」という木村監督に、西田さんがあの柔らかな口調で「僕は心の中では最優秀作品賞だと思ってますよ。票はいれてませんけど」と返し、会場全体が笑いに包まれました。

授賞式ではこういった“笑い”だけでなく、これまでの日本映画界を支えてきた役者・制作スタッフの方々に贈られる協会特別賞・会長功労賞、また故人に贈られる会長特別賞、そして2018年にご逝去された“映画人”それぞれの功績をVTRで振り返る「追悼・特別追悼」も行われ、「邦画ってステキだな」と再認識できる場でもありました。

脚本家志望者や監督志望者のかたは特に、今回の受賞作品や、これまでの邦画を沢山観て、創作のヒントをぜひ見つけてください。

第42回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞受賞者&優秀脚本賞受賞者リスト

最優秀脚本賞受賞

・是枝裕和さん(『万引き家族』)
是枝さんのプロフィールと主な映画作品はこちらの映画.comのサイトからご覧ください。 
『万引き家族』公式サイトはこちらから。 

優秀脚本賞受賞

・池上純哉さん(『孤狼の血』)
池上さんのプロフィールと主な映画作品はこちらの映画.comのサイトからご覧ください。 
『孤狼の血』公式サイトはこちらから。 

・上田慎一郎さん(『カメラを止めるな!』)※シナリオ・センター出身

弊社インタビュー記事「筆を止めるな!/映画『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督」はこちらからご覧ください。 
プロフィールと主な映画作品はこちらの映画.comのサイトから。 
『カメラを止めるな!』公式サイトはこちらから。 

・那須真知子さん(『北の桜守』)※シナリオ・センター出身
那須さんのプロフィールと主な映画作品はこちらの映画.comのサイトからご覧ください。 
『北の桜守』公式サイトはこちらから。 
※You Tube
東映映画チャンネル
映画『北の桜守』 本予告より

・林民夫さん(『空飛ぶタイヤ』)
林さんのプロフィールと主な映画作品はこちらの映画.comのサイトからご覧ください。 
『空飛ぶタイヤ』公式サイトはこちらから。  
※You Tube
松竹チャンネル/SHOCHIKUch
映画『空飛ぶタイヤ』予告編

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