menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

シナリオのヒントはここにある!
シナリオTIPS

シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

『 鋼の錬金術師 』に学ぶ/重い内容だからこそ面白く伝えるコツ

マンガにはシナリオ創作に役立つヒントが満載。魅力的なキャラクターとはどんなものなのか。設定だけで面白いと思わせるにはどうしたらいいのか。その答えはマンガにある!シナリオ・センターにてマンガ原作講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
今回取り上げるのは、映画化もされた『鋼の錬金術師』。今年2017年12月1日より公開中のこの映画、脚本を担当されたのは出身ライターの宮本武史さん!テレビでも映画のCMがされてますよね。CMを見ただけでは、内容が重いものとは感じませんよね。そこで今回は、重いテーマだからこそ、面白く伝えるコツを『鋼の錬金術師』から盗んでいきましょう!

『鋼の錬金術師』荒川弘(スクウェア・エニックス)

注目ポイントは発想
亡き母を錬金術で蘇らせようとして失敗したエドとアルの兄弟。エドは片足とアルを失うが、右腕を代償にアルの魂を錬成、鎧に定着させた。命の再生という「禁忌の罪」を背負った二人の贖罪の旅がはじまる。

“等価交換”という言葉をインプットさせた『鋼の錬金術師』

食事でもデザートでも必ず「ね、ね、半分ずつ交換しない?」と言いだす友達がいて困る。

この前は、きつねうどんのお揚げとてんぷらうどんのえび天を半分ずつ、昨日はタルトといちごショートを半分ずつ交換させられた。「これって等価交換って言うんだよね」だって。そりゃ、あなたにとってはね。でも私は違うのよ。生クリームが苦手だし、今日はきつねうどんが食べたい気分なのっ。でもなぜか断れぬ。私は案外小心者である。

まあ、このように(どのようにだ?)ごく普通の奥さまにまで「等価交換」という言葉をインプットさせたのが「鋼の錬金術師」である。

掲載誌はスクウェアエニックスの「コミックガンガン」。知らないでしょ。でも、マイナー雑誌(失礼)だからこそ大手じゃなかなか出来ない「冒険」ができて、結果、こーんなメガヒットが作れたのかも。

「定番」をあえて外してみる面白さ

スクウェアエニックスは二大超有名RPG「ドラクエ」のエニックスと「FF」のスクウェアが合併した会社。そこのコミック誌だから、企画段階からゲーム化を視野に入れているはずだ。

RPGは、無垢な主人公がスキルや経験値を積んでどんどん強くなり、最終決戦でラスボス(敵キャラのボス)を倒す。そして失った何かを取り戻したり、世界の平和を守る…というパターンが圧倒的に多い。

少年マンガもそう。題材や設定は違っても、作りとしてはほぼ同じ路線。「キミは可能性には限界はなく努力すれば夢は叶うんだよ」と語りかける。

だが「鋼の錬金術師」は違う。主人公の旅は「無垢な少年の夢と冒険の旅」ではなく「人体錬成の罪を背負った贖罪の旅」である。

作者は幼い主人公たちに「残酷な現実」と「人間の限界」をこれでもかと突きつける。さらに軍の思惑や民族の抗争、人ならざる存在もからませる。多くの犠牲が払われ二人は傷つく。だが決して立ち止まらない。自らの罪から逃げずに、向き合うために。

辛くても立ち止まらないこと。現実から目を背けないこと。自分の弱さや限界を知ること。作者はその大切さを繰り返し説く。「世界は残酷で、努力では解決しない事もある。それでも自分の足で立ち、歩み続けて」と。

ヘビーな内容だからこそ「面白く」する

「主人公はイケメンor好青年」という定番を破って、エドは背が低くガキっぽい風貌。

「小さい」と言う言葉に自動的に反応してキレる。シリアスになりすぎず、おちゃらけすぎないギャグの配分が絶妙です。

重いテーマだからこそ「眉間に皺を寄せて」描きすぎないことが「面白く伝える」コツ。ぜひ読んでみて。

笑った後で、しみじみ「命」と「信頼」について考えさせてくれるから。

出典:仲村みなみ著『マンガから盗めっ!』(月刊シナリオ教室2006年1月号)より

※【要ブックマーク】漫画やアニメには創作のヒントがいっぱい!今まで掲載したこちらのブログをまとめた記事「漫画・アニメのストーリーを書くには」はこちらからご覧ください。

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

“だれでも最初は基礎講座から”~基礎講座コースについて~

シナリオ・センターの基礎講座では、魅力的なドラマを作るための技術を学べます。

映像シナリオの技術は、テレビドラマや映画だけでなく小説や漫画原作など、人間を描くすべての「創作」に応用できます。

まずはこちらの基礎講座で、書くための“土台”を作りましょう。

■シナリオ作家養成講座(6ヶ月)  >>詳細はこちら

■シナリオ8週間講座(2ヶ月)  >>詳細はこちら

■シナリオ通信講座 基礎科(6ヶ月)  >>詳細はこちら

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ