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『 僕だけがいない街 』に学ぶ/主人公に感情移入させる描き方

マンガにはシナリオ創作に役立つヒントが満載。魅力的なキャラクターとはどんなものなのか。設定だけで面白いと思わせるにはどうしたらいいのか。その答えはマンガにある!シナリオ・センターにてマンガ原作講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
主人公がずっと受け身で、ピンチに陥っても誰かが助けてくれる、という主人公では感情移入できませんよね。主人公に感情移入させる描き方を、マンガ『僕だけがいない街』から学んでいきましょう。

「僕だけがいない街」三部けい(角川書店)

注目ポイントは主人公のキャラクターと構成
何事にも一歩踏み込めない男・藤沼悟はある日、特殊能力に目覚める。それは「事件の直前」に何度もタイムスリップしてしまうというものであった。

主人公の姿にこそ人は感情移入していける

色々な方の企画やシナリオを拝見していて、良く遭遇するのが「受け身で、最も関心があるのは自分の心の中」といういわゆる草食系、内向的で低体温な主人公。主人公は時代の空気感を色濃く反映するものなので、それ自体は悪いことじゃない。

だが。主人公がずーっと受け身で、ピンチに陥っても危機感はあまりなく、誰かが助けてくれる。そして「こんな僕(私)のままでいていいんだよね」というモノローグで終わる…という作品は、ちょっとよろしくない気がする。なぜって主人公がちっとも一生懸命になってないから。

内向的でも人とうまくコミュニケーションがとれなくてもいい。そんな自分を歯がゆく思い、その人なりに必死になる。自分のダメさに苛立ちながらも諦めずにがんばる…。

そういう主人公の姿にこそ人は感情移入していけるのではないかしらん。……というわけで。今月ご紹介するのはこの作品。イマドキの主人公の、第一級サスペンスである。

※YouTube
moviewalkerkmtg 映画『僕だけがいない街』本予告より

『あの時こうしていれば……』。
過去の後悔と未来への希望が主人公を動かす

28歳の藤沼悟は売れない漫画家。編集者には「ストーリーは悪くない。だがあなたの作品には作者の顔が見えない」と言われ続けている。心の奥底まで踏み込んで書いていないから読者に伝わらないのだと。

作家にとって致命的な言葉。だが悟は踏み込むのが怖い。自分の心に踏み込んでそこに「何も無い」ことを確認するのが怖いのだ。

そんな悟には不思議な能力がある。身近に事件が起きる(あるいは起きそうになる)と、その直前にタイムスリップ。悟が事件の原因を取り除くまでそれが続く。

悟はそれを「再上映(リバイバル)」と名づけており、何故そんな能力が備わったのか全くわからず悶々としている。正義感から助けているわけではなく、本当はそういうことに係わるのも面倒なのだ。

だが、ある日「再上映」が原因で交通事故に遭った悟の看病のため、北海道から母がやってきたことから、悟の運命は劇的に変化する。悟の周囲で起こる不穏な出来事、蘇る過去の記憶、そして繰り返される「再上映」…。何かを知っているらしい母親、その母親を狙う怪しい人影…。

バラバラだったジグソーパズルのピースひとつひとつが繋がって形を成すように、それらの出来事は18年前に起きた連続児童殺人事件へとつながっていく。被害者は悟のクラスメイトたち。

そして犯人は悟の知り合い。事件はすでに解決していたのではなかったのか?こうして悟の日常は次第に非日常の世界へ移行していく。

先の読めない展開や伏線の張り方も絶妙。ぜひドキドキハラハラしながら悟に感情移入して欲しい。

出典:仲村みなみ著『マンガから盗めっ!』(月刊シナリオ教室2014年7月号)より

※【要ブックマーク】漫画やアニメには創作のヒントがいっぱい!これまで掲載したこちらのブログをまとめた記事「漫画・アニメのストーリーを書くには」はこちらからご覧ください。

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

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