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『東京DOGS』に学ぶ脚本勉強法/主人公の キャラクターを強く 出す

「そこそこ面白い」から「飛躍的に面白い」シナリオにするシナリオの書き方を、シナリオ・センター講師浅田直亮著『シナリオパラダイス 人気ドラマが教えてくれるシナリオの書き方』(言視舎)からご紹介。
今回は、テレビドラマ『東京DOGS』の脚本を題材に、主人公のキャラクターを強く出すポイントを解説いたします。「主人公より2番目の人物の方が主人公のようになってしまう…」「主人公のからクターをしっかり描くには枚数が足りない…」というお悩みも解決です!

主人公のキャラクターはラウンドで描く

こんにちは、エンゼル浅田です。あなたのシナリオをパラダイスに導きます。

主人公をラウンドキャラクターで描いていますか?

ラウンドキャラクターって何だか分からない人もいるかもしれません。一番分かりやすいのは藤田まことさんが演じた『はぐれ刑事純情派』の主人公・安浦吉之助です。

まず職場が描かれます。安浦は刑事です。警視庁山手中央警察署刑事課をはじめ捜査に関わるさまざまな場所での主人公の姿が描かれます。ここがドラマのメインになります。

しかし、刑事としての主人公だけが描かれているわけではありません。

たとえば、家庭。二人の娘と暮らす父親としての姿が描かれます。娘とのやりとりが刑事として事件解決のヒントになる時もありますが、ほとんどは関係ありません。

もう1つは行きつけの店。眞野あずささん演じるママがいるバーです。長いシーンではありませんが、毎回必ず描かれます。これも、まったくと言っていいほど事件や捜査とは関係がありません。

刑事ものとしてのストーリーと関係なくても家庭や行きつけの店での姿を描くことで、観客や視聴者に自分と同じように生活している身近さや、娘にやりこめられたり美人に鼻の下を伸ばしている主人公に親近感を感じてもらい感情移入しやすくなります。

このように、たとえば職場、家庭、行きつけの店といった生活を丸ごと描いているのがラウンドキャラクターです。

逆に『最高の離婚』はホームドラマでありラブストーリーですが、4人それぞれの職場も描かれています。

さらに瑛太さん演じる主人公と尾野真千子さん演じる主人公の妻は、生まれ育った実家も描かれていて、特に主人公の実家は金魚カフェを営んでおり行きつけの店の代わりになっています。

主人公をラウンドキャラクターにするためには、
ストーリーからはみ出すようなシーンを描くこと

20枚シナリオを書いていて主人公より2番目の人物の方が主人公のようになったりしませんか?

実際にゼミで「人物表の2番目の人物のほうが主人公っぽく感じました」なんて感想を言われたこともあると思います。

基本的には主人公のキャラクター、特に性格を、より際立たせることが一番の解決策なんですが、2番目や3番目の人物の方が強烈な個性の持ち主という場合だってあります。

そんな時でも、主人公をラウンドキャラクターで描いていれば、観客や視聴者に(ゼミの仲間にも)主人公を主人公らしく感じてもらうことができ、ちゃんと主人公に感情移入してもらうことができるのです。

いやいや、20枚シナリオで主人公をラウンドキャラクターに描くには枚数が足りません、まして、ストーリーと関係ないシーンなんて尚更ですという方がいらっしゃるかもしれません。

どうして枚数が足りなくなるのでしょう?ストーリーを書こうとしているからです。しかもストーリーを結末まで書こうとするから枚数が足りなくなるのです。

毎回のように言っているので耳にタコだと思いますが、ストーリーを書いても面白いシナリオにはなりません。面白いストーリーなんて、まったくないわけではありませんが、まず浮ばないでしょう。

逆に、ストーリーを考えると、つい、まとめよう、まとめようとしてしまいます。むしろ、ストーリーからはみ出そう、はみ出そうとするのならいいのですが、なかなか、そのようには考えられません。

その結果、破綻もなく、きれいにまとまっているんだけれど、ちっとも面白くないシナリオになりがちです。

そういう意味でも、主人公をラウンドキャラクターにするために、ストーリーからはみ出すようなシーンを描くことがオススメなのです。

『東京DOGS』の生真面目で融通のきかない主人公のキャラクター

今回取り上げるのは『東京DOGS』です。

小栗旬さん演じる主人公・高倉奏と水嶋ヒロさん演じる工藤マルオは警視庁特殊捜査課の刑事として麻薬シンジケートの日本人ボスを追う一方、吉高由里子さん演じる松永由岐は日本人ボスと何らかの関係があると思われるのですが記憶喪失になっており、由岐が記憶を取り戻すのを手伝いつつ由岐の身を守るため同じマンションで生活し始め…というストーリー。

これだけ聞けば特に個性があるわけではないかもしれません。

むしろ、ストーリーだけ聞けば、二人組バディという刑事ものパターンに、ややベタな設定の記憶喪失の女性をからめてラブストーリーの要素を持たせているといえるでしょう。

しかし、脚本が、あの『勇者ヨシヒコ』シリーズの福田雄一さんと聞けば、お!となる方も多いと思います。

生真面目で融通のきかない主人公をはじめ、登場人物たちの個性あふれるキャラクターが生き生きと描かれていて、特に主人公とマルオの、たとえば、どっちが大人かをディズニーランドかディズニーシーかで競い合う口ゲンカのやりとりが、まさに『勇者ヨシヒコ』の下らないセリフのやりとりの面白さそのままです。

そして、主人公と、田中好子さん演じる母親とのやりとりが、やはり下らなくて面白いのです。

必ず出てくる主人公の家族

『東京DOGS』は刑事ものです。なので当たり前ですが、刑事としての主人公がメインに描かれます。

さらに、主人公とマルオ、由岐が生活するマンションのシーンも描かれます。主人公が自分の部屋で1人でいるところも描かれます。

さらにさらに、主人公が捜査中に、それも肝心なところで母親から電話がかかってくるのです。

たとえば、第1話では拉致された由岐を助けに突入しようとすると携帯がバイブします。「ねえ、今夜みんなで流しそうめんしようと思ってるんだけど」「今そういう…」「流すしかけがね、男手がないと難しいのよ」「そんな本格的にやる必要あるのかな」「カリン(主人公の妹)がね、流したい、流したいって」みたいな会話があって、結局、事件を解決後、主人公は実家に帰って竹を組んで流しそうめんのしかけを作ります。

第6話では「ママね、病気みたいなのよ」と電話をしてきます。

主人公が心配すると「韓流スターに夢中になっちゃったの」「お隣の山下さんに言われちゃったの、もう病気ねって」「ぺ・ドンチャン、最高なのよ。ソウルの貴公子って呼ばれてるの。あとコン・バンユウって人も最高!」と言うのです。

主人公は呆れながらも、カレンダーやうちわなどの韓流グッズを買って実家に帰るのです。

すると妹の彼氏の中谷クンが『冬のソナタ』のぺ・ヨンジュンの真似をして「日本のみなさん、愛してます」と現われたりして、もう下らなさ満載です。

この母親と電話でやりとりするシーンと実家に帰って母親や妹や妹の彼氏が出てくるシーンは毎回、必ず描かれます。もちろん、ストーリーとは、まったく関係がありません。

ストーリーと関係がなくても刑事としての顔とは違った主人公のキャラクターが描き出されていますし、何より面白い!

ストーリーばかり考えていたら、こんなシーンは生まれません。むしろストーリーからはみ出しているからこその面白さだと思います。

もう1つ、この母親の電話でのやりとりや主人公の実家のシーンは主人公の秘密になっています。

マルオにも由岐にも、警視庁特殊捜査課の誰も知りません。

第8話で母親と妹と妹の彼氏が警視庁に差し入れに来て、最終話では実家にマルオと由岐が現れるまでは、主人公と母親はじめ家族しか知らないのです。

たとえば、いつも通る道に交番があったとします。制服のお巡りさんがいて、何となく顔を覚えています。ある日、コンビニへ行ったら、そのお巡りさんが私服でいて、周りを伺いながらエロ本を立ち読みしているのを見かけたら、次の日、交番を通りかかるとき、そのお巡りさんを見たくてたまらなくなります。そのお巡りさんがいたら気持ちは釘付けになります。

これを、お巡りさんとエロ本の法則といいます。視聴者を主人公に釘付けにする、とっておきの手なのです。

みなさんも、主人公をラウンドキャラクターとして描いてストーリーからはみ出すようなシーンを考えてみてください。それが主人公の秘密の顔だったら極上です。

ほらね、主人公が生き生きとしてきて、主人公らしくなったでしょ?

これで、あなたもパラダイス!

出典:浅田直亮 著『シナリオパラダイス 人気ドラマが教えてくれるシナリオの書き方』(言視舎)P59より

シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

 

こちらのコーナー、次回は11月の第3土曜日に更新いたします

ドラマ『東京DOGS』データ

2009年10月~12月(10回)
月曜9時枠 フジテレビ
脚本:福田雄一
演出:成田岳・石井祐介
プロデューサー:鹿内植
キャスト:小栗旬・水嶋ヒロ・吉高由里子他
平均視聴率:15.8% 最高視聴率:18.7%(初回)

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