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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

小説もドラマもキャラクターが地に足が着いていてこそ魅力が生まれる

光二郎分解日記~相棒は浪人生~(講談社文庫刊)

地に足の着いた

シナリオ・センター代表の小林です。鹿児島で16年ぶりの大きな地震、九州の雨はまだ止まず、心配はどこまでも続きます。
どうか心落とさず、お身体に気をつけながら雨の上がる日を待ってください。
「やまない雨はない、明けない夜はない」といいますもの。
それにしても、自然の脅威にこんなにもさらされ続けても尚、人間の力を信じて原発は動き続けているのですね。

 

出身ライターの大山淳子さん著「分解日記 光二郎備忘ファイル」が文庫化になり、改題して「光二郎分解日記~相棒は浪人生~」(講談社文庫刊)としてでました。
この「光二郎分解日記」はシリーズ化になり、来月第二弾が出るそうです。

大山淳子さんは、シナリオライターを目指して城戸賞入選、函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリを獲られる実力派でしたが、「猫弁 死体の身代金」でTBS講談社第3回ドラマ原作大賞をとり、小説家デビューの方が先になってしまいました。
その後「猫弁」がTBSでドラマ化され、脚本も担当されましたが、「猫弁」がベストセラーになったおかげで、小説の依頼が殺到。 今では、小説がメインとなっていらっしゃいます。
でも、大山さんはシナリオも描きたいというお気持ちは失わず、ドラマや映画にも意欲を持っていらっしゃいます。
大山さんの小説の面白さは定評があり、猫弁もシリーズ化されて、猫弁全集も作られたほどです。

「どうしたら、こんな設定が生まれ、考えつくのであろうか?面白すぎる!
大山さんどうか教えてほしい―どうしてこんなにすごい創造力を生み出せるのか?
けれど、創造力は凄すぎるが、決して想像力、妄想力に頼っていない。
大山さんの描くミステリーは“地に足の着いたミステリー”なのだ。
光二郎ならきっと言うであろう言葉や行動、登場人物たちの会話、描写がすべて腑に落ちる。
物語を展開させるために、急に雨を降らせたり、物が落ちてきたりしない。やたらと男女が恋ばかりしていない。ベタついた、干渉過多の人間関係もない。
(登場人物の名前略)ひとりひとりに生活があり、その人生の深さを感じさせてくれる。ささやかな日常が描かれ、営みがある。だから大山作品が好きなのだ。だから、愛おしいのだ。」(一部掲載)と解説に相原透さん。

登場人物の魅力こそ

何故、こんなに引用させていただいたかというと、まさに大山作品を語っていることと、これこそ小説家を目指す人もシナリオライターを目指す人も、最も必要な部分だからです。
もちろん、ミステリーとしてのストーリー、アイデアも大事なのですが、根本は登場人物なのです。
登場人物が魅力的であればあるほど、小説ならシリーズ化されますし、ドラマ化したくなるのです。

第一にキャラクターとよく申し上げますが、では、人物の魅力的というのはどういうことなのでしょう。
まさにここなのですね。
大山さんの作品は、常に登場人物に寄り添っています。登場人物すべてに血が通っているのです。
小説の中の人物がすぐ隣で動いていても、生活していてもおかしくない、そんな大山作品だからこその魅力をご堪能の上、分析してみてください。
きっと、シナリオ・センターで口を酸っぱくして言っているキャラクターがおわかりになると思います。
楽しみながら、お勉強されてはいかがでしょう。

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