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映画『ブゴニア』『木挽町のあだ討ち』
脚本を楽しむ 見どころ・感想

脚本家でもあり小説家でもあるシナリオ・センターの柏田道夫講師が、公開されている最新映画や、DVDで観られる名作や話題作について、いわゆる感想レビューではなく、作劇法のポイントに焦点を当てて語ります。

脚本家・演出家などクリエーター志望者だけでなく、「映画が好きで、シナリオにも興味がある」というかたも、大いに参考にしてください。

映画から学べることがこんなにあるんだと実感していただけると思います。
そして、普通にただ観るよりも、勉強になってかつ何倍も面白く観れますよ。

-柏田道夫の「映画のここを見ろ!」その107-
『ブゴニア』「誘拐もの」の新機軸! 新しいアイデアはいくらでも生まれる

話題作の『ブゴニア』を取り上げます。

この映画はかなり変です。ジャンルとしては、公式ホームページには〝前代未聞の誘拐サスペンス!〟とあって、確かにそうなのですが、それだけではなくていろいろな世界観や、ジャンルまたぎ、深いテーマ性を含んでいます。

それもそのはず、製作・監督は『ロブスター』『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』などの、一筋縄ではいかない作品を作っているヨルゴス・ランティモス。製作はホラーファンを震撼させた『ヘレデタリー 継承』『ミッドサマー』監督のアリ・アスターや、傑作スリラー&ホームドラマ『パラサイト 半地下の家族』の製作陣とのこと。

主人公の製薬会社CEOのミシェルを演じるのは、ランティモス監督とコンビを組んでいるエマ・ストーン。前作の『哀れなるものたち』でアカデミー賞主演女優賞をとっています。彼女を誘拐する陰謀論者のテディは『シビル・ウォー アメリカ最後の日』で、インパクトを残したジェシー・プレモンス。テディに引っ張られて犯行を手伝うドンは新人のエイダン・デルビス。

主要人物は、ほぼこの三人だけ(脇には彼らと関わりある警官とミシェルの秘書くらい)。この布陣でありがちなミステリー作品になるはずがない。

という当たり前でない不思議な作品なのですが、皆さんにはできるだけ、これ以上の情報、予備知識を入れないで見てほしい。

筆者も「ランティモス監督+エマ・ストーンの新作か……」という以上の前情報以外、どんな内容なのか、まったく知らずに見ました。それなりに映画館通いをしているのですが、この予告編とも何故か出会わず、奇妙なポスターだけしか見ていなかった。
で、本当に心底「驚愕!」でした。

しかもこの映画は韓国映画の『地球を守れ!』のリメイクだとか! そんな元々の映画があったこともまったく知らなかった! 韓国映画恐るべし。

ですので、このコラムでも、ネタバレはしないようにしますので。

ただ、述べていい点として、まず奇妙なタイトルの意味ですが、なんでも古代ギリシャ語で、「牡牛の死骸からミツバチが生まれて旅立つ」という意味なのだとか。テディはミシェルが社長の製薬会社の配送センターで働きながら養蜂家でもあり、映画のトップシーンは、ミツバチが花から蜜をとるという自然のサイクルからです。

そこから本筋へと入っていくのですが、ともあれ絶妙に練り込まれた脚本の妙、噛み合わないけれど、以後の展開へと繋がるセリフを追いかけてほしい。

で、見終わってからまさに牛みたいに、内容だったり、各シーンやセリフに含まれた意味(意図)を“反芻”してください。

さらにキリスト教的な味つけや解釈、意味合いといったことを、詳しく解説して下さっているYouTuberが複数いらっしゃいますので、そちらを。

そうした解説とは違う観点からの今回の「ここを見ろ!」ですが、「誘拐もの」を例とした新しいアイデアについてです。

年に一度、「ミステリー講座」をやっているのですが、ひとくちに「ミステリー」といっても、さまざまなジャンルがあります。王道の「推理もの」や「刑事もの」から「サイコサスペンス」「密室トリック」「トラベルミステリー」、さらには犯罪別に、強盗ものの「ケーパーもの」詐欺師などの「コンゲーム」というように。その中のひとつがまさに「誘拐もの」。

さて「誘拐もの」というと、皆さんはどんな作品を思い浮かべますか?

王道の名作だと黒澤明監督の『天国と地獄』。誘拐犯と捜査する警察側の息詰まる攻防が描かれました。ただ、この作品の切り口としての新しさは(原作がエド・マクベイン『キングの身代金』とあるように)富豪の息子と間違えて、運転手の子を誘拐してしまった、というところでしょうか。

あるいは天藤真原作の『大誘拐』。和歌山の山林王の老女を誘拐したところ、逆に彼女が誘拐犯たちのリーダーになってしまう。

さらにシナリオ・センター大阪校の大先輩、森下直さんが城戸賞を受賞した『誘拐』。これまでなかった斬新さは、冒頭で身代金を運ぶ姿をテレビ中継させる、という逆転の発想でした。

このように「誘拐もの」ひとつとっても、アイデアのネタは尽きない。

そしてこの『ブゴニア』。なるほど、こういう手もあったのか! と思わせる造りになっています。しかも本作は、よくあるミステリー、サスペンスとは違う、ある意味哲学的な、深いテーマ性が秘められている。そうしたアプローチ法としても、じっくりと感じとってください。

▼これまでの全コラムはこちらでお読みいただけます。
名作・話題作に学ぶ!シナリオを面白くするコツ/映画を観ながら創作の勉強もできる記事一覧

▼ギャガ公式チャンネル
映画『ブゴニア』本予告 | 2026年2月13日(金)全国公開

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-柏田道夫の「映画のここを見ろ!」その108-
『木挽町のあだ討ち』時代劇ミステリー、謎解き構造の「扇状型回想法」

現在も公開が続いている『国宝』に続いて、歌舞伎の世界を取り入れた話題作『木挽町のあだ討ち』を取り上げます。

『国宝』は現代の物語ですが、『木挽町のあだ討ち』は江戸時代の真ん中あたりの文化年間、芝居が上演されていた木挽町を舞台とした時代劇です。

原作は第169回直木三十五賞と第36回山本周五郎賞をダブル受賞した永井紗耶子さんの同名小説。これを『グレースの履歴』で、第42回向田邦子賞を受賞した源孝志さんによる脚本・監督作で、絢爛たる時代劇映画に仕上げています。

本コラムでは時代劇作品としては、
底辺の職業、汚穢(おわい)屋の若者たちの青春と恋を描いた第71回『せかいのおきく』
時代劇+タイムトラベルものの第90回『侍タイムスリッパー』
北斎と滝沢馬琴の創作と、進行するファンタジー物語の第92回『八犬伝』
そして実在した北斎の娘応為の生き様をヴィビットに描いた第104回『おーい、応為』などを取り上げました。

このラインナップを改めて眺めると、確かに時代劇なのですが、かなり切り口なり、特殊な設定による時代物です。

いわゆる王道(チャンバラや歴史的な出来事をメインとした時代スペクタクルなど)の時代劇はあまり取り上げていませんでした。もっとも『木挽町の仇討ち』も手法としては変則形なのですが。

ともあれ、かつては(私の少年時代みたいに)プログラムピクチャーとして常時公開されていたり、テレビで当たり前のように放映されていたまさに王道時代劇は、すっかり影を潜めてしまい、リバイバル上映や配信、再放送でしか見られなくなってしまいました。

が、再ブームのきざしも伺えます。

かねてより「時代劇はファンタジー」と述べているのですが、基本的なこと(最低限の時代考証や常識的なこと)さえ抑えていれば、あとは何でもアリ、自由に人物たちを動かして、現代物ではできない物語が作れます。

さて『木挽町のあだ討ち』も、時代劇らしいおもしろさに満ちています。
今回の「ここを見ろ!」は、まさにそうした作り、構成の妙について。

原作小説は、ひと言も話さない男に向けて、木挽町の芝居小屋前にて、衆目の中で遂げられた「木挽町の仇討ち」について、目撃者である芝居関係者が語っていく、という構成になっています。

映画は【起】では、森田座で上演されていた「仮名手本忠臣蔵」十一段目の千秋楽から、続いて広場で行われた遠山藩士、伊納菊之助(長尾謙杜)が作兵衛(北村一輝)を討ち取り、首級を挙げる顛末。

そこから【承】となり、一年半後に(原作では無言の聴き手だった)加瀬総一郎(柄本祐)が、江戸に現れ、それぞれの関係者に聴き取りをする構成になっています。

つまり総一郎が探偵役となり、事件である仇討ちの真相を探っていく。

まず見てほしいのは、この事件や真犯人を解明していく探偵物、謎の提示と解明を物語の芯とするミステリー構造です。

もうひとつは、次第に事件の全貌、その裏に隠されていた真相を紐解いていく、という展開にするための「扇状型回想法」としている点。

映像の手段である「回想」は実は難しい手法で、安易に使わないように、と基礎講座などではクギを刺します。

その場合の多くは、いわゆる進行している現在の中に、過去の場面を挿入する「直線回想法」です。

これに対して構成の手法として、現代から入り、過去の物語を語り、現代に戻る「サンドイッチ型回想法」。

そして現代を起点として、過去を描き、また現代に戻って、という現代と過去を交互に展開させるのが「扇状型回想法」。黒澤明監督『羅生門』や、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』、あるいは『ゴッドファーザー PART II』も、現在を進行させつつ、過去の逸話がそれなりに描かれる構成でした。

「直線回想法」に比べると、「扇状型回想法」の多くは、過去の逸話が主体となるケースが多い。

ただ、現在と過去の割合が比較的に同程度に描かれる作品もあり(私は「クロスオーバー型」と勝手に呼んでいる)、第二次大戦の二つの時期を交互に描いた『イングリッシュ・ペイシェント』などが好例です。
この構成は、現代パーツと過去パーツが、分断される危険性と背中合わせで、実はとても難しい。現代を淀みなく進行させつつ、過去のそれぞれの回想を説明ではなく入れていかなくていけない。

観客に説明と感じさせない綿密な計算が必要となるのですが、これをミステリーを解き明かすという手法で、絶妙なバランスで展開させていくのが『木挽町のあだ討ち』。「回想法」を安易に使っていない、巧みなテクニックをシナリオと合わせて注目してください。

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