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映画『コート・スティーリング』『HELP/復讐島』
シナリオを楽しむ 見どころ・感想

脚本家でもあり小説家でもあるシナリオ・センターの柏田道夫講師が、公開されている最新映画や、DVDで観られる名作や話題作について、いわゆる感想レビューではなく、作劇法のポイントに焦点を当てて語ります。脚本家・演出家などクリエーター志望者だけでなく、「映画が好きで、シナリオにも興味がある」というかたも、大いに参考にしてください。映画から学べることがこんなにあるんだと実感していただけると思います。そして、普通にただ観るよりも、勉強になってかつ何倍も面白く観れますよ。

-柏田道夫の「映画のここを見ろ!」その105-
『コート・スティーリング』ジェイソン・ステイサムではない主人公の奮闘劇

▼ソニー・ピクチャーズ 映画
映画『コート・スティーリング』2026年1月9日(金)緊急公開決定

ちょっと間が空いてしまいましたが、久しぶりの「映画のここを見ろ!」。
公開されている『コート・スティーリング』です。
あまり話題になっていない(気のする)アメリカ映画ですが、とてもよく出来たおもしろいアクション映画です。

主演は人気上昇中の『エルヴィス』などのオースティン・バトラーですが、日本ではまだ知る人ぞ知るという若手ですし、この原題(“盗塁失敗”という意味で“チャンスをつかもうとして失敗する”ということも示す)のままなのがまず地味で憶えられない。何かもっと内容なりジャンルを示しつつ、憶えやすくて訴求効果のある邦題をつけてほしい。
しかもキャッチがご覧のように「マフィアも猫も、バッチこい。」。うーん、なんだかなあという印象だし、これで「見たい!」とは観客は思わないかと。

予告編を見ると、いかにも巻き込まれ型で、猫がきっかけでマフィアと戦う主人公のアクションのようですが、どうしてどうして、ですし、どうなるんだ!? という勢い、興味で引っ張る痛快作です。

それもそのはず、監督はミッキー・ロークの破滅的な戦い方と生き様を描く『レスラー』、異色ホラーであり、サクセスストーリーともいえる『ブラック・スワン』、ホームドラマでありながら、人間ドラマとしてもグサリとくる『ザ・ホエール』といった印象に刻まれる映画を撮っているダーレン・アロノフスキー。

ちなみに、原作・脚本はチャーリー・ヒューストンで、アメリカの新進ミステリー作家。主人公のハンクはシリーズになっているとか。

で、今回の「ここを見ろ!」ですが、アクションだけど、やはり大切なのはキャラクターだというところです。できればあまり情報を得ずに見てほしいので、ネタバレはしないようにします。

まず、物語の基本型のひとつである「巻き込まれ型」について。

対比となるもうひとつの型は「サクセス・ストーリー」で、こちらの場合は、主人公が自らの意志とかで、目標があって、それに向かって奮闘する物語。

これに対して「巻き込まれ型」は、人物が平穏な生活を送っていたら、予期せぬトラブルに巻き込まれて、どんどんひどい状況になってしまう。そのトラブルを回避するために必死に戦わざるを得なくなる物語です。

さらに、そのトラブルがさらなるトラブルを生んで、どんどん悪化していって、というスタイルが「スクリューボール」ものです。

過去では96回に、アカデミー賞の主要部門を独占した『ANORA アノーラ』を取り上げました。通常は「スクリューボール・コメディ」で、恋愛ものを差すのですが、次から次へ事態が悪化して、と展開する物語です。

もうひとつ、今回キャラターの造りとして対比したいのが、第41回で取り上げた『ドント・ブリーズ2』のいわゆる「ナーメテーター」手法です。

近年、この手法が流行で、例えば同時期に公開している(こちらは本作以上に訴求効果が高くて目立っている)『ワーキングマン』。主演がジェイソン・ステイサムで、昨年の『ビーキーパー』と同じ監督作というだけで、内容が察せられます。ステイサム扮する主人公は、建築現場で働く民間人だけど、実は特殊部隊員の過去があって……という設定だけを見ても、いわゆるナーメテーター映画だと。

ジェイソン・スタイサムありきの企画でしょうし、観客は彼が秘めている能力をどう発揮して、強敵を次々とぶっ倒してカタルシスを与えてくれるか、と期待して見るわけです。その期待を満たす設定、局面、展開を作る。

これに対し『コート・スティーリング』の主人公ハンクは、才能ありながらも大リーガーになりそこねた(挫折)男で、能力といえば野球練習場でずば抜けたスイングを発揮するくらい。その男がこれでもかこれでもかと酷い目に遭う。考えてみると、多くの人間はトラブルや巨悪と遭遇しても、ステイサムみたいに反撃なんてできません。

じゃあ、どのように対応すればいいのか? 前半部分(だけでもなく)のハンクなんて、観客は見ていてじれったい、いらつくかもしれません。

でも、彼なりに必死に解決策を模索するし、次第にその姿が愛おしくなっていきます。ハンクはジェイソン・ステイサムではない! 物語の都合で、秘めていた特殊能力を発揮したりしない。でも彼なりの方法で、迫ってくる危機や敵に対していきます。この切実さ、必死さ。

まさに造りこんだキャラターがストーリーを生み出していく。その展開の妙、見事な脚本の構造(小道具の鍵の使い方と猫の名演技も)を見てください。

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-柏田道夫の「映画のここを見ろ!」その106-
『HELP/復讐島』「空間限定」と「人物の欲望」で予想外の物語が生まれる

▼20世紀スタジオ 公式チャンネル
映画『HELP/復讐島』日本版予告編|1月30日(金)劇場公開!

公開中のそれなりにエグいサバイバル映画『HELP/復讐島』です。

前回の『コート・スティーリング』は、地味な原題のままで、訴求効果が薄いと述べましたが、こちらの邦題はインパクトがあり(過ぎかもですが)、内容も示してします。

原題は『Send Help』で、“助けを求める”といった意味合いで、SNSのスラッグ、“ここから救い出してほしい”といったニュアンスもあるとか。

ともあれ日本人にも分かりやすい「HELP」に、日本版の限定空間型ホラーの「復讐島」をミックスさせたところがミソでしょうか。

監督はマニアックファンの多いサム・ライミ。近年は『スパイダーマン』シリーズや『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』などのメジャー監督ですが、何といっても私らホラーファンには、超低予算で画期的、度肝を抜いた『死霊のはらわた』シリーズのカルトムービー監督。

本作はそれなりに製作費はかかっていますが、テイストとしては原点回帰の印象です。脚本は『13日の金曜日』(2009年)などのダミアン・シャノンとマーク・スウィフト。

冴えないけれど高い能力を秘めた主人公の会社員リンダ役はレイチェル・マクアダムス。傑作恋愛ファンタジー『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』の可憐さ、『スポット・ライト 世紀のスクープ』のかっこよさが記憶に残っています。

けれども第一幕、若社長のブラッドリー(ディラン・オブライエン)を中心とした男性社員たちから、さまざまに虐げられ、踏みつけられるリンダは、あのレイチェルとは思えないほどのブスっぷり(ごめんなさい、そう造型・描写されているので)。

そのリンダたちが乗る、タイに向かうプライベートジェットが事故に遭い、生きて無人島に辿りついたのは、リンダとブラッドリーの二人だけ。

その後は予告編通りで、立場が逆転したリンダが、パワハラクソ上司だったブラッドリー社長を支配し、復讐を果たしていく。

後半にオイオイとツッコミたくなるほどの意外性に満ちた展開となり、その受け取り方は人それぞれかもしれません。それも含めて見て考えてほしい。

さて今回の「ここを見ろ!」は、“シチュエーションの造りとキャラクターの欲望がストーリーを生み出す”ということです。

「復讐島」という邦題が示していますが、近年邦画でヒットして流行したのが「空間限定型」のホラーです。『犬鳴村』『樹海村』『牛首村』などの“恐怖の村”シリーズ。主人公たちが、悪意ある住民たちのいるこうした村に来て、ひたすら酷い恐ろしい目に遭う。

ちなみに、この“恐怖の村”スタイルは、今ではすっかり手垢がついているので、皆さんはマネしないように。

ただしそれもやりようで、この『HELP/復讐島』は、もうひとつの昨今の流行、パワハラなどの“ハラスメントへの逆襲”をプラスしている点。これによって今まであまりなかった「空間限定」ものにしています。

2幕以降、それまで徹底的に虐げられていた弱い立場だったリンダが、特殊な設定(シチュエーション)となることで逆転する。そのおもしろさ、痛快さ。

さて、それだけでなく、ここからさらに物語として発展するのですが、ネタバレはしません。

ただ、その重要なポイントとなっているのが、もうひとつの“キャラクターによる欲望”なのです。

シナリオ・センター創設者 新井一先生の『シナリオの技術』に、研修科の20枚シナリオの「復讐」「背信」「誘惑」「死」「宿命」「不安」といった課題の解説に、人物の〝欲望をはっきりさせること〟と書かれています。

“どうしても復讐したいという欲望が強ければ強いほど、その感情は持続されます。”
“あらゆるドラマを展開させて行くのに不可欠な要素です。”とも。

人物造形で主人公や主要人物に、どのような“欲望”を与えて、それを持続させていけるか? 意外とそれを忘れていませんか?

この映画のリンダの欲望、さらにはそのリンダに支配されてしまったブラッドリーの欲望、それが漂流した無人島という「限定空間」で、果てしなくぶつかり合うことで、こんなにおもしろいストーリーが生み出されていく。

述べたように、若干(かなり?)エグいシーンもありますので、苦手と思う方もいるでしょう。でも、舞台設定を限定しつつ、人物もほぼ二人に絞りこむことで、こんなにおもしろい物語ができるという見本でもあります。ぜひぜひご覧ください。

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