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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

世の中は

新人女警(朝日文庫)

モンタージュ

シナリオ・センター代表の小林です。日本中暑い毎日です。どこにも逃げ場がありません。
ニュースを見ていたら、お年寄りの60%がエアコンをつけないとか。
私は、家では28度設定ですが、寝る時も起きるまで消さず、1日中つけています。
それでも、何か動くと汗が出る、エアコンなしでいるなんて正気の沙汰ではないと思っちゃいます。熱中症になる方が怖いです。
電気代とか考えちゃうけれど、命には代えられないしね・・・。
身体によい温度は25度、寝る時は26度だそうです。

命と言えばもうすぐ夏休み。給食がないと困る子どもがいます。
こんな暑い夏を満足に食べられないのでは体力が持たないのではと心配です。
子どもに夏休みも給食を出す方法はないのかなぁと思います。
子どもだけだと思っていたら、なんと給食がないと困るのは子供だけではないのですね。5人に2人の親が子どものために自分の食事を減らしているのだそうです。
日本はこんな貧しい国だったのでしょうか。
朝ドラの「あんぱん」は戦後すぐの話しですが、今もなお同じように食べるものに困っている子どもがいるというのはどういうことでしょう。

この国の大臣たちが一流ホテルの朝食をふんぞり返って、ぱくつきながら、ろくでもない国策を練っているらしい姿を見ると、シナリオの講義「モンタージュ」の例を思い出してしまいます。
「贅沢極まる王様が豪華な食事を食べ散らかして、捨ててしまう」シーンを出して、次のシーンでは「貧しい5人家族が4粒の豆を取り合いして食べている」シーンに繋ぎます。
モンタージュは、映像で気持ちを表す技法で「こうした世の中があっていいものだろうか」と、見ている人に思わせる方法です。
今の世の中、「おかしいぞ」と疑問に思わなくてはいけないですよね。

新人女警

出身作家の吉川英梨さんの新刊が出ました。
「新人女警」(朝日文庫刊)
八王子が舞台の警察ものです。新しいヒロインが生まれました。宮武エミ、20歳の新人女性警官です。
吉川さんは、男性社会の際たるところ、警察、水上警察、海上保安庁とか厳しい職場で働く女性を描くのがとてもうまい作家です。
「原麻希」シリーズの原麻希は、私が一番好きな主人公ですが、どの主人公も男性社会に抗いながら活躍していく強烈な魅力の持ち主です。
「新人女警」の主人公宮武エミは、新人というだけでなく、今までのヒロインとちょっと違います。
実は11年前、親友が巻き込まれ一家惨殺された事件の目撃者でもあるのです。
この11年前の事件を解決したくて警察官になったエミ、彼女の捜査で迷宮入りだった11年前の事件が動き出します。
主人公のエミは、今までの主人公と違い、若く、事件の当事者ということもあり、常に迷い、悩み、苦しみながら真相に向かっていきます。
解説でも「八王子度」が高いと書いてありますが、舞台となる八王子をとても大事に描いていて、地理的なだけでなく、エミの上司は八王子の歴史や知識が凄くて、この八王子の描き方がまたエミや上司の源田のキャラクターの魅力を構築し、事件の鍵にもなっています。

閑話休題。
実は、戦争の話しをほとんどしなかった新井一が、唯一戦争の話しをしてくれたが、最後の駐屯地八王子でのことでした。
終戦が分かった時に、上官たちは残った物資を全部持って先に逃げ、上官たちの村人たちに対する今までの横暴などから、何も知らされずにいた一兵卒たちは、村人から石もて追われたのだそうです。苦い思い出の地になったようです。
小説の中にも、地下飛行場を作るために掘削された浅川地下壕がでてきます。

地元の八王子祭やいちょう祭りなど、交番勤務の大変さも事件と絡ませながらうまく描かれていて、さすがだなぁと。
ここでは書けませんが、今までにないラストに、つらい話だけにホッとさせられました。
この女警宮武エミも、他のシリーズ同様シリーズになること間違いない魅力的なキャラクターです。

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