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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

猫は抱くもの

シナリオ・センター代表の小林です。昨日は、土曜日の代休をいただきました。代休が山ほど貯まっているのですが、なかなか休むことができず、やっと休んだら、どどどどどどーっと悪霊のようなものが押し寄せてきて、身体中のあちこちから悲鳴が・・・寄る年波には勝てません。
でも、一日寝たら元気になる私・・・まだまだやりまっせ!今日ももはや3つの打ち合わせをこなしました。 

 猫は抱くもの

お休みをいただいたので、失礼ながら寝ながら読ませていただきました。すみません。
面白くって、気持がよくって、あっという間に読み終えてしまいました。
心がホッコリするお話なので、おかげさまですごーく幸せな時間を過ごすことができ、本当に頭も心も体も休んだ感じです。 

そんな頭も心も体も休めてくれた本は、「猫は抱くもの」(キノブックス刊)
あの「猫弁」の大山淳子さんの最新作です。
1話から5話まで、なんと猫の視点、人間の視点、サギの視点(詐欺ではありません、白鷲です)で描かれ、それが一つの世界を浮き彫りして大きな猫と人間の愛情の世界へと導いていきます。 

タイトルの「猫は抱くもの」はキイロの飼い主のゴッホというニックネームの画家が「猫は描くものではなく、抱くものだ」というセリフからうまれたもの。
ゴッホの深い愛情を感じながらも、不細工ゆえに誰からも拾ってもらえなかったキイロは、拾ってくれたゴッホに自分を描いてもらいたかったのですけれどね。猫の気持ちが切ない。 

すべての猫に名前がついているわけではないのです。猫に拾われた子猫には名前がないのです。人間に飼われないと名前がないのです。野良猫には名前はないのです。なんだかとても悲しい。存在しているのに名前がないなんて。
子猫は、お話ができなくなったなっちゃんと出会い、初めてルノアールという名前をもらいます。
なっちゃんは、子猫と出会い、ルノアールの「猫を抱くこども」を思いだし、「ルノアール」と声を取り戻します。
子猫もなっちゃんもお互い必要だったのです。
 

自分を人間と勘違いしてしまった猫から始まり、猫、人間、サギの視点から描くと、同じことが違って見えながら大きく線を結びます。
とてもうまい描写法だと思いました。猫と人間だけでなく、その間をひどく客観的にみるサギの存在がすごい。
白鷲の立ち姿、ねこすて橋、猫の集会・・・目に浮かぶようで、さすが映像描写にすぐれた大山さんならではと思いました。

本当に癒される本です。猫好きの方ではなく動物って苦手という方にも読んで欲しい。ちょっと切なくて、ホッコリ温かいそんなお話です。

私は傍らで寝そべるはる(猫ではありませんが())の体温を感じながら、体が、心が、ほのかにほのかに暖まるのを感じました。

大山さんから本と一緒にお手紙をいただきました。
「シナリオ・センターでは20枚シナリオが大ブレークしているみたいですね。友人たちから聞いています。
20枚シナリオはわたしに書く楽しさを教えてくれました。
私は地味な生活を送ってきたので、シナリオ・センターにいた時代がまさに青春!でした」

嬉しいお言葉です。だから、私は元気でいられる。ありがとうございます。 

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