代受苦
シナリオ・センター代表の小林です。昨年の暮れ亡くなった友人が京都の青蓮院に納骨されたので、彼の行きつけの小料理屋さんの女将さんが偲ぶ会を提案してくださり、京都まで行ってきました。
京都は大混雑のニュースばかり見ていたので、心配しながら行きましたが、さほどのことなく、それほど中国の方が来ないと空いちゃうものなのかとびっくり。
せっかく京都へいったので、335年ぶりの御開帳という十一面観音様に会いに岩倉大雲寺へも足を延ばしました。
335年ぶりの御開帳とでさぞかしの人出と思ったら、なんと私たちだけ。
あまり知られていないお寺さんとはいえ、これまたびっくり。おかげさまでゆっくり対面していられました。
ここの十一面観音様は度重なる戦火で頭頂部を焼失されて、正確に言えば十一面ではないのですが、衆生に変って頭に苦を受けてくださるという脳の病平癒の仏様です。
請願は「代受苦」、代わりに苦を受けてくださるということなのですね。ありがたく拝顔させていただきました。
そんな御仏とはかけ離れているのが、人間です。
輸出可能な装備品を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型に限り、殺傷力の高い護衛艦などは「国際共同開発」などの条件を満たさなければ輸出できないという5類型の撤廃をするのだそうです。
なんで、戦争を放棄した日本で武器を作っているのかということにも疑問がありますが、それをよその国に輸出して、誰かを殺すのかと思うとぞっとします。
タモリの言う新しい戦前って本当になりそうです。
流行語大賞
『昭和100年』というメモリアルな年の流行語大賞は、『働いて働いて働いて働いて働いてまいります』
選者の室井滋さんが「『トランプ関税』や『古古古米』や『卒業証書19・2秒』私達国民の生活に余裕がなくなって来ているのが浮きぼりになった。来年は誰もが笑顔で話したくなる流行語がもっともっと登場しますように。」と締めくくっていましたがまさに・・・。
2025年って、ろくでもなかった。本当に不愉快な流行語大賞。
『働いて働いて働いて働いて働いてまいります』の高市首相の発言に、賛否両論ありましたが、就任の時の前置きが「全世代総力結集、全員参加で、頑張らなきゃ立て直せない。全員に馬車馬のように働いていただきます」と呼びかけている上に、「私自身も、ワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて、働いて、働いて、働いて、働いて、まいります」
とおっしゃったのですから、どうみても「下々働け!」とといっているんですよね。
最近、日本語の乱れというか、言葉の使い方に神経質になってしまいます。
過労死などを問われて急にみんなに働けと言っているわけではないと言い訳をしましたが、もう消えない。「台湾有事」も「そんなことよりも」の発言もそうですね。
言葉はもっと考えて丁寧に出さなければいけません。まして、頂点に立つ人の言葉ですから。
セリフというのは難しく、それだけで人の感情を表すことができるのですが、シナリオ的に言う「うまいセリフ」は「セリフ」そのものではなく、シーンから生まれるものなのです。
とすれば、会見で言ったお上に発言は、どう言い訳してもこじつけても「国民はワークライフバランスなんて考えずに働け!」と言っているんですね。
「セリフ」というのはシーンの中で生きるのです。
ただ「セリフ」が単独で独り歩きするのではありません。
だからこそ場を大事に、言葉を選ばなくてはいけないないのです。
さりげなく言っている言葉にも、ドラマではシーンの中すべてに意味があるように、実生活でも同じなんですね。
そして、セリフは引っ込められない。戻せない。
案外、セリフって安易に書いてしまいがちですが、言葉ひとつひとつを紡ぐことによって、シーンが活きてくる、いやいいシーンだからこそ生きるセリフ・・・どちらもありですが、登場人物のキャラクターにあったセリフ、そのシーンだから生きるセリフを考えてください。
セリフ一つで、本当の想いか嘘かわかりますから。














