民間と政治家
シナリオ・センター代表の小林です。シナリオ・センターの夏休みも終わりましたが、猛暑は続いております。
1週間のお休みは、あれもこれもと思いつつ、従姉妹のお葬式やお見舞いなどに明け暮れ、毎日暑いという言葉だけが飛び交いながら、終わってしまいました。
KADOKAWA前会長角川歴彦氏に検察が懲役3年を求刑しましたけれど、このオリンピック汚職にしても民間は罪にしようとしても森前首相はスルーっておかしくないですか。
裏金だって荻生田議員の秘書は罪に問われるけれど、大元は秘書がやったことでスルーする。
日本の検察は未だに政治家が怖いのでしょうか。
裏金って、秘書が私腹を肥やすためにやったわけではないのですよね?秘書が使い込んだというならわかるけれど、事務所のためにやったとしたら、そりゃ責任者が問われるでしょう。
政治家の世界は、自分が責任を取らないことが当たり前、そんな風潮をゼッタイ切らないとだめです。国がよくなるはずがない。
そういえば、石破首相が終戦記念日に13年ぶりに式辞で「反省」をしたと言って、自民党では総スカン。特に裏金議員たちが辞めさせたがっている。だけど国民の支持は上がったとのこと。54%が辞める必要がないって。
石破さんを退陣させるにしても、まずは選挙に負けたのは、裏金のせいですから裏金議員が責任取って辞めるのが筋ではないですか。
当り前のことが当たり前に通らない世界を見て見ないふりするのはもうやめなくてはいけません。
研辰の討たれ
夏休みの唯一の息抜きが歌舞伎鑑賞でした。
夜の部「野田版 研辰の討たれ」を観てきました。
その前の舞踊「越後獅子」もなかなかの見ごたえで若手が育っているなぁと感じました。
歌舞伎の役者さんたちが、映画「国宝」に刺激されているという話もあり、外からの刺激ってすごく大事なのかもしれません。「国宝」の吉沢亮さんや横浜流星さんがわずか1年半であそこまでできるとは・・・というのが驚きだったようですが、歌舞伎役者さんはめちゃめちゃすごいです。
直ぐに代役ができるほどちゃんと驚くほど他人の芸を見ているのですから。しかも演目の稽古時間はそれほど長くないのだそうです。
でも、それがすぐできるのは、子どもの頃から稽古に稽古を重ねて、身体が覚えるほどの基本ができているからなのですね。
基本は、すべてを制します。
「野田版 研辰の討たれ」は、野田秀樹さんが、亡くなった勘三郎さんの要請で脚色したもの。2001年初演も拝見しました。
歌舞伎に新風を送ろうと、勘三郎さんは串田和美さんと組んでコクーン歌舞伎や中村座を作っていますが、新作にも積極的でした。渡辺えり子さんや三谷幸喜さんも書いています。
2001年に観劇したときの衝撃は忘れられません。
歌舞伎と野田芝居がこれほど面白く融合するというのもそうですが、勘三郎さんはじめ歌舞伎の名優の方々がやけにイキイキと演じていらしたのが驚きでした。
今回は、研辰を勘九郎さんが演じました。勘九郎さんは、勘三郎さんが亡くなってから「ほぼ勘三郎さん」と私は思ってしまうほど。
野田秀樹さんは「父のほうが・・・」とか思いながら見る人が多いだろうけれど・・・とおっしゃっていました。
確かに新作の方が古典と違って型がないので比較しやすいですけれど、でも、歌舞伎って伝承芸ですから当たり前です。
勘三郎さんを彷彿させるのは、勘九郎さんの芸の力でもあります。
でも、古典はいざ知らず、野田版では、父上を越えたと思いました。弟の七之助さんも美しく見事でした。七之助さんは玉三郎さんにそっくりになった気がします。
私は、仁左衛門丈の推しなのですけれど、これから勘九郎・七之助兄弟の推しにもなろうかなぁと思っちゃいました。
芸って、すべて基本なのです。基本ができていないと何もできないし、うまくならない。
勘三郎さんが常におっしゃっていた「型を知って型を壊すは型破り、型を知らずして型を壊すは型なし」
基本の技術の習得の大切さは、歌舞伎でもシナリオでも同じです。