8月の空
シナリオ・センター代表の小林です。2日ぶりに津波注意報が解除されました。テレビで津波の情報がずーっと流れているのを見ると、どうしても東日本大震災を思い出します。
私ですらちょっとドキドキしたのですから、震災に遭われた方は、また怖い思いをされたのではないかと思うと心が痛みます。自然の脅威の前では本当に人間は無力で、小さな存在です。
それなのに、人間では御しきれない原発をまたまた作る気になるという神経がわかりません。核燃料デブリの取り出しですらできないのに、一体何を思っているのでしょう。
目の前にはお金しか見えていないのでしょうか。
故郷を捨てざるを得なくなった方々がどれだけいらっしゃると思っているのでしょうか。
8月を前にしてよく言えるなと、他人の気持ちに添う気持ちのないトップがあまりにも多い世の中にため息しか出ない毎日です。
8月を前にして、ノーベル賞委員会のフリードネス委員長が、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員と「被爆者の声、耳傾け継承を」と講演されました。
また、戦後80年経ち多く被爆者の方々が鬼籍に入られ、このままでは被爆の継承が危ぶまれると、初めて「全国で被爆の実相を広げる行動を」と原水爆禁止日本協議会(原水協)と原水爆禁止日本国民会議(原水禁)が、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の3団体が共同アピールをしました。
被爆者の方々のアピールを、私たち日本人全員がしっかり受け止め、後世へ継承していかなくてならないと改めて思います。
なのに、核を持とうとか原子力潜水艦を配備しようとか平気で声高に言う人がお上の一員になったことに腹立ちが止まりません。
創作
今日は、7月シナリオ8週間講座の開講です。
この暑さなので、やる気が出ないかもと心配していましたが、たくさんの方が受講してくださり、心配は霧散しました。
創作の楽しさを実感してくださったら嬉しいと思っています。
最近、AIを使っていいかどうかという質問があります。
シナリオ・センターも私もAIを使用することは否定していませんし、上手にお使いいただければと思っています。
私も、どんなものかと思って使ってみるとなかなかの優れモノだということは分かりました。
とはいえ、間違っていることも多く、当たり前のことですが、すべてをうのみにすることはできないとも思っています。
橋田壽賀子さんの生誕100年記念でAI橋田寿賀子を創り、ドラマを創るという試みをされていました。
橋田さんのシナリオをAIに何百本も読み込ませたそうですが、プロデューサーの石井ふく子さんは心がないとおっしゃったとか。
そこで何が足りないのかと考えたところ誤謬がなかったと。これを考えたのは人間ですが。(笑)
誤謬とは間違えや誤りのことですが、人間は常に間違えや誤りの塊でもあるので、そこが描けないとドラマは深くならないということだったのでしょうか。
AI橋田壽賀子さんをお創りになった山崎プロデューサーが「AIは伴走者」とおっしゃっていました。あくまで創作者ではないけれど、伴走者としてうまく使いこなしてみたいものです。
人間である私たちは、常に試行錯誤をしながら生きています。
これこそが正義だとか正解だというものがないからこそ、ドラマが、小説が面白いのです。
私は、アニメ映画「平家物語犬王」を見て、急に平家物語に興味を持ち、原作の古川日出男さんを読み、吉川英治さんの「新平家物語」、今村翔吾さんの「茜歌」などを読んだのですが、みんな違うんですね。
作家の見方によって、同じ人を描いてもみんな違う、平清盛も知盛も、源頼朝も義経も。
これが作家の目なんですね。
史実の中でもこれだけ違って面白いのですから、オリジナルという創作の面白さはいかばかりかと思うのです。
これから始める方も、始められている方も、ご自分の頭で、心で描く物語つくりを楽しんでいただきたいと思います。