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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

創り手

中村仲蔵 プログラムから

ショートドラマ

シナリオ・センター代表の小林です。今日もまた寒くて雨です。
この寒暖差の激しさで血流が低下して筋肉が縮まってぎっくり腰の方が増えているそうです。くれぐれもお気をつけください。
かく言う私も、股関節が昨日から急に痛くなって「ヤバ!」と思いながら過ごしています。
トレーニングもテニスもマッサージもしているのに、「一体なんでだ!」と連れ合いに言ったら、いとも軽く「過重じゃないの」と優しいお言葉。さもありなん。(涙)

月刊VIDEOSALON3月号に「ショートドラマでもドラマチックにできる」シナリオづくりの考え方が掲載されています。
「シナリオ・センター式物語のつくり方」(日本実業出版)の新井一樹が、ショートドラマ」づくりをビデオグラファーに伝授しました。
最近は、ショートドラマを描くだけえなく創る方も増えています。
シナリオを描くだけでなく自分で撮ることができるようになったことは、楽しいことだと思います。
橋田壽賀子新人脚本賞もショートシナリオの募集がありました。
橋田壽賀子さんのもつ世界は、イメージとしては長いものの方が向いているように思いますが、ショートドラマにもなるのです。
人とのふれあいをどう色濃くショートドラマとして表現できるかというテクニックも必要になってきますね。
ショートドラマに特化して、どこをドラマチックにすればいいのかをこの雑誌では書いています。
ショートドラマを作りたい方には必読です。

脚本がすべて

昨日は、「中村仲蔵~歌舞伎王国 下剋上異聞~」を観に行ってきました。
私は、「中村仲蔵」の話になぜか魅せられます。最初に「中村仲蔵」の話を知ったのはまだ若かれし頃、先代の林家正蔵師匠の落語だったような気がします。なんかすごい話だなぁと思いました。
江戸の歌舞伎界は究極の階級社会、その中から最下層の稲荷町役者があっという間に名題まで上り詰めるのですが、まあ、葛藤・相克・対立が明確に描かれるめちゃくちゃ面白い話なのです。

で、最近では志の輔師匠の「中村仲蔵」を2度聞きました。
「仮名手本忠臣蔵」で忠臣蔵には関係のない弁当幕と呼ばれる五幕目。
追いはぎした上、猪と間違えられて鉄砲で撃たれて死んでしまう斧定九郎役で、仲蔵が今までにない定九郎を作り出世する話ですが、泣けるのです。
ここへもってくるまでの志の輔師匠の構成が見事、上手いんです。
で、お芝居ではこの仲蔵を藤原竜也さんが演じます。
なにしろ、脚本は源孝志さんです。
源さんは、中村勘九郎さんでドラマ「忠臣蔵協詩局NO5 中村仲蔵出世階段」(NHK)も創っていらして、とても面白かったので、舞台ではどんな切り口でと楽しみにしていました。

ドラマでは、仲蔵は三味線引きの奥さんがいたのですが、舞台ではいません。
仲蔵が自死しようとしたのを助ける武士、斧定九郎のモデルになる武士とのかかわり以外は、歌舞伎社会での話だけに絞って「やりてえ芝居ができねえなら、死んだ方がマシだ」という仲蔵をとりまく、実力を認めてくれる団十郎、それゆえ生まれる師匠、稲荷町役者、ライバルたちとの対立、葛藤を見事に描いていて素晴らしいお芝居でした。
中村いてふさんの歌舞伎指導もきちんとできていて、脇には花組芝居の方も多く周りの支え方も半端じゃない故にどの役も江戸歌舞伎の面々に見えました。
これは、すべての役のキャラクターがしっかりできているからなのですね。
散々いじめ足を引っ張った稲荷町仲間が、仲蔵が名題になったことで自分達も希望が持て、仲蔵を支える側になる変化もライバルたちの変化も見事でした。

中村仲蔵は実在の歌舞伎役者ですが、脚本によってこれほど変わり、それぞれ魅力的になるのだと感心しました。
落語、講談、ドラマ、舞台という媒体も創作する人も違うと、こうも変わるのだということ、これこそ脚本家冥利に尽きると思います。
「脚本創作は、面白れぇわ。」ってさ。

 

 

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