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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

視点

シナリオ誌10月号

運慶

シナリオ・センター代表の小林です。東京も今日は雨。
台風は、九州・沖縄に接近していますから、くれぐれも気を付けてください。

そんなことしか言えない、なにもできない自分にイラつきます。
私ですらイラつくのですから、お上は、いつもイラついているのかなあ、ホントは。何一つまともなことができない自分たちに。
イラついてほしいなぁ。保身に忙しくって、他人のことなど考えるなんて、無理だろうけど、でも、一人でも二人でもイラついてほしい。
そうであれば、まだ日本は、立ち直れるような気がするのですけれど。

そうそう、三谷幸喜さんのドラマ「鎌倉殿の13人」で、先週の回で、義時が運慶に言われるんです。
セリフは正確に覚えてはいないので、違っていたらごめんなさい。三谷さん。
「お前、悪い顔になったなぁ」
ドキッとする義時に、「でも、迷っている、それが救いだ」
それまではバカがつくほどストレートにいい人だった義時、頼朝が死んで、それでは鎌倉幕府を支えられないことがわかって、邪魔なものは排除するようになる、非情に。
人って、一人の中に色々なものがあっていつも葛藤している、でもね、非情な人になってもキャラクターはぶれないんです、本質は。そこがぶれちゃうとドラマになりません。

だから、信じられないけど信じたいのです。お上は、きっと聞く耳を持ちたいと思った気持ちは本気だったと。
ただ、保身に走る周りの声を聞きすぎて難聴になっちゃったから、民の声が聴こえないだけだと。
きっと一緒に走るのをやめたら、息も整って聴こえるようになると・・・。う~、性善説すぎるか。(笑)

政治家になると、誰もがみんな悪い顔になっていく気がします。
私たちみんなで運慶になりましょう。

シナリオ

シナリオ誌10月号に映画「ハケンアニメ」のシナリオが掲載されています。
出身ライターの政池洋佑さんが脚本を描かれていて、原作は辻村深月さん。
シナリオ誌で政池さんが2016年から書き始めたと書いていらしていて、じっくりと練り上げて作られたことがわかりました。
もう上映しているところは全国でも1,2館しかないのですけれど、ご覧になれなかった方は、シナリオを読んでみるというのはありだと思います。
政池さんも「月刊シナリオ」に掲載されたことで、まだ映画を観ていない人や、映画を別の視点で見たい人に作品を届けられる事は非常に嬉しい」と。
この映画、最初は入りが悪かったようで、出身ライターの加藤正人さんがいい映画なのに観客が少ないとFBでつぶやいていらして、加藤さんが面白いとおっしゃっているのなら見てみなくちゃと・・・。
で、こうした「見るべき映画だよ」という口コミで、どんどん人気が上がったようで、本当に良かったと胸をなでおろしました。
アニメづくりという熱いお仕事映画で、ちょっとあるある感あり、物作りへ賭ける、創作者としての魅力がたっぷりで、琴線にふれる部分が多々ありました。
シナリオを読むと、なるほどと再認識できます。

最新の月刊シナリオ教室9月号には、柏田道夫・五十嵐匠脚本「島守の塔」が掲載されており、また二人が「島守の塔」のインタビューを受けています。
私は、公開すぐに映画を拝見しましたが、沖縄戦という史実、様々な視点で見られるのだろうなと思いました。
戦争経験者と未経験者、沖縄と本土、老齢者と若者、男と女、それぞれ視点も想いも感覚も違うと思います。
なんでもそうですが、描き方ひとつで、見せ方ひとつで変わりますから、善も悪になり、悪も善になりうるのです。
映画は、長くても2時間半くらいで描き切らなければいけないので、どこを描くとより観客の心に届くのかと考えます。
なので、史実であっても全部は描けませんし、視点も脚本家・監督によって変わります。
だから面白いのだと思います。

人間はとくに一筋縄ではいきません。
だから、ドラマではキャラクターをしっかりと作ることが大事なのです。
こういうことが起きたら、こういうことに遭遇したら、その人はどう変化するのか。
「ドラマは変化である」のですが、キャラクターがぶれると、それはいい変化にはならないのです。

ちょうどいいので、映画を観る、シナリオを読む、原作を読むなど、トライしてみてください。
「島守の塔」は、シナリオを片手にご覧になってはいかがでしょう。

新井一は、
「起が悪いとわからない。
承が悪いとつまらない。
転が悪いとなにをいっているかわからない。
結が悪いと後味が悪い」
と言っています。
頭の片隅に入れておいてくださいね。

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