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シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

育てるもの

一億人のシナリオ

マイナスから

シナリオ・センター代表の小林です。6月は、じめじめすっきりしない天気というのが、子供の頃から私の脳に定着しているせいか、イマイチ頭も体も心もすっきりしない自分がいます。
晴雨兼用の傘のように、気持ちも「何があってもOK!」と対処できるようになりたいと思うのです。
晴れが続くと雨が嬉しいし、雨が続くと晴れが嬉しいというのは、人間の感覚として当たり前のことだと思うのですが、なぜか、マイナス面に心は行きがちですから。

昨日は、シナリオS1グランプリの授賞式でしたが、コンクールは受賞者の方より圧倒的に落選者の方が多いわけです。
だから、一握りの喜びの陰に泣いている、悔しがっている人がいっぱいいる、受賞者の方だって、グランプリじゃないことに悔しい想いをされている。
自分の持った悲しい、悔しい、腹立たしい、うらやましいという負の部分は、実はドラマ作りに創作づくりに必要なものではないかと思います。
ドラマは、ずーっと楽しい幸せな話など誰も見たくないし、葛藤と対立があって変化する、成長するからこそ面白くなる。アンチから出るといいといわれるのはそういうことですから。
自分のマイナス面を含めて、活かせるって創作ならではですよね。
コンクールに落ちても落ちても描いていけば、自分の持っているものが見えてくるはず。
そうしたらシメタモノ、今度はそこを描けばいいのですから。

シナリオの技術

私は、この日記でしばしば怒ることが多いのですが、私がいつも怒る、歯向かう相手は決まっていて、ゼッタイ権力や自分より上の人。
自分より弱い者にかみつくのは、できるだけ避けているつもりです。
私の生き方なのですが、「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」シナリオ・センターのポリシー、新井一の生き方と同じです。
新井は、戦争中、魚河岸で働いていて、軍部が配給を横流ししていることを新聞社にリークして「事変惑乱罪」という罪で捕まりました。最終的には、裁判で争うと軍部の横流しがかえってわかってしまうので、徴兵されて、うやむやにされてしまいましたが。
私は、そこまで強くないので、ごまめの歯ぎしりのようなものですが、でも、声は出さないとだめだと思っています。
日本人は民族性なのでしょうか「NO!」を言うことをはばかります。
ですが、無謀な戦いのために、多くの日本人が犠牲になった第二次世界大戦。「鬼畜米英」を叫び続け、最後は竹槍で戦おうとした日本人は、アメリカ軍に占領されたとたん「ギブミー!!」となる変わり身の早さもあります。
変わり身の早さは時として必要なことですが、考えずに流れに乗るだけではいけません。
だから「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」のです。
自分の心で想い、自分の頭で考え、自分の言葉で伝えることができるようになるのが、シナリオの技術だからです。
世界中がキナ臭い今こそ、ちゃんと自分を持ち、自分の表現をすることがどれだけ大事なことなのかと思います。
自分が何をやっても・・・と思わずに、人はみんな違うのですから、私はどう思うとちゃんといわなければわかってはもらえません。
反対も賛成もあるのは当たり前。だからこそ、言葉を尽くす、表現を磨いていかなくてはなりません。
シナリオは自分の想いだけを言うのではなく、アクション・リアクションの芸術ですから、他者の想いもくみ取ります。
シナリオの技術は、他人とのコミュニケーションをも豊かにします。
あなたの気持ちを、伝えてください。

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