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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

初冬

来年を見据えて

シナリオ・センター代表の小林です。新たなオミクロン株が世界中を騒がせており、日本も少しずつ怪しい雰囲気になってきました。
折角、ちょっと収まりをみせてきて、ほっとしたのもつかの間、コロナのしぶとさに人間は勝てるのでしょうか。
3回目のワクチン接種、新たなワクチンの開発承認、治療薬の開発、まだまだ終わりが見えません。

あっという間に12月になり、今月も風のようにさっと過ぎていってしまいそうですね。
あわただしい中で、自分を見失わないようにしていきたいです。
このコロナのおかげ(?)で、シナリオ・センターだけではありませんが、生き残るためには、様変わりせざるを得なくなりました。
先日、月刊シナリオ教室の新年号の「新年のご挨拶」を書きました。
ご挨拶は「文化・芸術がこれからの新たな道しるべになる」という内容なのですが、具体的な話をしているわけではありません。
それを具現化するための方策を練りながら、良い方向に様変わりするためには何が必要かということをずーっとこの2年間模索し続けていたように思います。
受講生の皆さんが楽しく創作に励める体制づくりから、試行錯誤しながら変えていきました。
ゼミ教室は、久しぶりにおいでになる方がびっくりするほど、オンラインと通学のハイブリッド化に、変化しています。
ですが、形だけでなくこれらの新しいシステムを上手に利用して、ゼミが盛り上がるためのオンラインと通学とのふれあい方とか、添削の仕方、講師のありようなども変化が必要だと思っています。
形だけ作っても魂がこもらないと意味がありませんものね。

是非とも、受講生の皆さんの忌憚のないご意見ご希望をお聞かせいただいて、新たな一歩を踏み出したいと思っています。
シナリオ・センター事務局までご意見ご希望をお寄せいただければ嬉しいです。

継承

吉右衛門丈が亡くなられた。人間国宝で文化功労者の歌舞伎界の重鎮ですが、歌舞伎を知らない方でも4半世紀続いた「鬼平犯科帳」(CX)の長谷川平蔵といえばおわかりでしょう。
昭和・平成時代を支えてきた方々の年齢を思うと仕方がないとは思いますが、吉右衛門丈はまだ77歳、早すぎます。
折しも、吉田修一さんの小説「国宝」を読んで、歌舞伎役者のすごさを感じていたところだったので、人間国宝で、芸術院会員、文化功労者の吉右衛門さんがいかにご苦労され、研鑽を積んできたのかと思うと胸が詰まります。
吉右衛門さんは、歌舞伎を広めるために香川県の「こんぴら歌舞伎」などの実現に尽力しただけでなく、後進の指導にも積極的で、70過ぎてから初役をやるなどと精力的に後進に背中を見せてきた方でもあります。

文化功労者になられた時に「いかにグローバル時代とは申せ、まずは己を知り、自国の文化を知ることから始めなければ、真の国際感覚は成りゆきません。
その点、歌舞伎はいいですよ。お芝居を観るだけで日本的な人情や文化がわかり、外国の方はもちろん日本人が日本を知るためにも格好の総合芸術……と、多分に我田引水ですが(笑)。
例えば時の流れを少しだけ巻き戻していただき、二時間を一刻と数えていたころのゆったりした時空に身を置いてご覧下されば、人としてのあり方やこの国の国柄など様々なものが見えてくるのではないでしょうか。」と仰っていました。

新井一は、よく世阿弥の「風姿花伝」から、シナリオは「新しきこと、珍しきこと、面白きこと」が必要だと説いていました。その通りなのですが、それには吉右衛門丈のおっしゃる「まずは己を知り、自国の文化を知ることから始めなければ」というのも大事なことだと思います。
過去を知ることで、そこから「新しきこと、珍しきこと、面白きこと」が生まれるのだと思います。
歌舞伎は伝承芸ですので、ある意味「見よう見まね」から、それぞれの演者なりの解釈で新たな役作りをしていくのでしょう。弁慶や大蔵卿、俊寛など吉右衛門丈の当たり役も先代を受け継ぎ、より昇華させていったもの、次世代の方はまた吉右衛門丈の芸を引き継いでいく、それが伝統文化というものかもしれません。
創作も同じで、吉右衛門丈のおっしゃるとおり、己を知るためには他を知らなくてはいけないので、他人の作品を見聞きすることとか、自国の文化を知ることが作品を深くするのだと思います。

毎年ご町内ということで、私の町会は、吉右衛門丈の「秀山祭」を見せていただき、手ぬぐいなど吉右衛門グッズをいただいていました。もう、宝物!使えない!ああ、もう一度、吉右衛門丈の俊寛が見たかった。

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