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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

伝える力

葛の葉狐(玄光社刊)

はやっ!

シナリオ・センター代表の小林です。11月になっちゃいました。
晩秋らしい気持ちになっています。なんだぁ、昨日の選挙結果は・・・わびしい。
出身ライターの上代勉さんもおしゃっていましたが、不愉快なのは、与野党が拮抗できなかった結果よりも、投票率の低さです。
せっかく投票権を持っているのに、日本の半分の人が活かそうとしないって、どういうことでしょう。
戦後3番目の低い水準だとか。結構、芸能人の方たちも呼び掛けたりして、話題になっていたのに・・・。
政治に関心を持って欲しいわけではありません。
若い方は、民主主義の中で生まれたから、当たり前すぎて民主主義が崩壊するなどと想像できないのかもしれませんね。
でも、油断したらすぐに壊れるんです。簡単に壊れるんです。香港を見ればわかると思います。
コロナ禍で、いろいろな社会の不具合を感じたはずなのに、なぜ動かないのか、なぜ声を上げないのか、グレタさんのいらだつ気持ちがよくわかりました。

11月5日まで、港区後援で、浜松町フードドライブプロジェクトが「愛の缶詰大作戦~おうちに眠っている缶詰を集めています」というプロジェクトを行っています。
フードドライブというのはアメリカが発祥で、家で余っている食料を地域の施設やフードバンクに寄付する活動です。
フードバンクは、破損品、過剰在庫など流通に出せない食品を企業などから寄付していただき、必要としている施設、団体、困窮世帯に無償で提供する活動のことで、港区でもいくつかの拠点があります。
この運動は食品ロスをなくすこと、困窮者に食料を配れるという一石二鳥の運動だと私は思っています。

本来、困窮者などが出る国の施策こそが問題なのですが、困窮者に対して今度の選挙でもあまり問題になっていないのが現実。税金をたくさん払う人にしか顔を向けていない気がします。
だったら、仕方がない。国が何もしないことに腹立てているばかりでは、腹は満たされないので、みんなで助け合っていきましょう。
回収場所は、ポンテせとうみ店内、アトレ竹芝、港区観光インフォメーションセンター、港区エコプラザ、芝パークホテル、文化放送2階ロビーで行っていますので、是非ともお力を貸してください。

ツイッターで弁護士さんがガンジーの言葉を載せていました。なるほど。
「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。
そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」(byガンジー)

葛の葉狐

自分の表現を持つことができる、伝えることができるというのは素晴らしいことです。
いかにたくさんの人に伝わるように、伝えることが大事かということは、この選挙もそうですが、日常でもよくわかります。創作はもちろんです。
『プロになって「誤解されないように書こう」と思うようになりました。そして「自分の思っていることというのはそもそも伝わらないものなのだ」ということを学びました。』とおっしゃるのは出身ライターの坂口理子さん。
「かぐや姫の物語」(ジブリ作品)を書かれた後、ミソ帳倶楽部でお話されたときの言葉です。

その坂口理子さんが、絵本「葛の葉狐~安倍晴明母の物語」(玄光社刊)を書かれました。
映画「かぐや姫の物語」もそうですが、妖しの話は、より伝わりやすくしないと面白く感じてもらえません。
坂口さんのうまさは、説明をしないで、物語の世界へ違和感なく引っ張っていくテクニックです。

阿倍保名は、白狐を助けたために、追ってきた侍たちに打ち据えられ、瀕死の重傷をおってしまいます。
気がつくと、森の奥の一軒家で葛の葉という娘の家に助けられ、養生をしていました。
いくつか月日がたち、二人の間にかわいらしい男の子が生まれます。
そして、更に時がたち、幸せに暮らしていたのですが、童子が7歳になったとき、狐になった姿を見られてしまいます。
葛の葉は、保名が助けた白狐でした。もう狐の姿を見られた葛の葉は一緒に暮らすことはできません。
そして、後を追って信田の森へ行く父と子に、すべてのものの声を聴きとることができる水晶のような玉と竜宮の護符が入ったあらゆる世界のことが知ることができる金色の小箱を授けます。
童子は成長し、安倍晴明としてあらゆる天変地異から人々を守る陰陽師となるのです。

お話自体は簡単ですが、大谷リュウジさんの幻想的な絵と坂口さんの語り口がマッチして、心洗うような素敵な本になっています。
絵本だからでしょうか。ひとつ一つの言葉がとても吟味されています。
坂口さんは、映画、テレビの脚本から、戯曲(舞台脚本)、小説と幅広く活躍されていらっしゃいますが、どのジャンルも登場人物、すべてのキャラクターへの愛を感じます。
坂口理子さんの作家の目は、尽きることのない人間愛なのかと思います。

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