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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

春の息吹

小説・シナリオ二刀流 奥義(言視舎刊)

世上物騒我身息災

シナリオ・センター代表の小林です。松江、京都、千葉とどんどん開花が始まって、今年は全国的に桜の開花は早いそうです。
私事で恐縮ですが、私の母は、すべての延命治療を拒否して、22年前の4月4日に桜が潔く散るように静かに世を去りました。その日は桜が満開でした。
それ以来、桜というと母の潔い死に方と桜の潔い散り方を重ねて、桜を愛でてきました。
特に家の周りは桜の名所が多く、皇居のお堀に映る桜は天下一品ですから、子供の頃から桜の季節はうきうきしていました。
ですが、今では桜というと「桜を観る会」を思い出し、散った後の汚さのイメージなってしまいました。
なんて悲しいことでしょう。桜が気の毒。
それでも、桜は健気に咲いて、草花の芽吹きはどんなときでも心を和ましてくれます。
春の良さというのは、新しい息吹がたくさん感じられることだと思います。
新しい息吹は必要ですが、古~い体質の人の寝息をうかがうような人は消えてほしいものです。
東京コロナ感染者409人、下げ止まりどころか増えていますが、さて、どうするのでしょうか、お上たちは。
「世上物騒我身息災」ということわざがあります。
世の中でどんなことが起っても、我が身が安全ならよいとする利己的なことを言うそうですが、そんな人ばかりが世の中を牛耳っているようにみえます。
下々はそれに気がつき、声をあげなくてはいけないと思う春です。

シナリオで学ぶ小説のスキル

昨日、脚本と小説の2足の草鞋を履く宇山佳佑さんのご本をご紹介しました。
読んでいただけましたでしょうか。
脚本家が小説を書くことが多くなっています。
出身ライターでも「超高速!参勤交代」の土橋章宏さんや「猫弁」の大山淳子さん、「今度生まれたら」の内館牧子さんをはじめたくさんいらっしゃいます。
「そうか、シナリオが描けるなら小説もうまく書けるのか」と思われる方々が多いかと思います。

ドラマ誌の4月号に、映画「武士の家計簿」、「二宮金次郎」でおなじみの柏田講師がその疑問に応えています。
柏田講師は、脚本だけでなく「武士の料理帖」「矢立屋新平太版木帳」「猫でござる」「しぐれ茶漬け」等など時代小説をたくさん書かれており、センターの「小説講座」も担当しています。

ドラマ誌では「シナリオが書ければ、小説も書ける」と題して、シナリオの技術が小説を書く時に役にたつ理由を話しています。
柏田講師に許可をいただいて、ちょっと抜粋して、シナリオを勉強しているといいという観点でまとめてみました。

シナリオを勉強していると
①構成を勉強しているので、起承転結であったり、伏線やどうやって話を盛り上げていくかが身についているので有利。
②エンタメ系の小説で売れている作家の小説は、文章を読んで映像が浮かびます。
つまらない小説は理屈で書かれていたりします。
シナリオライターは、常に映像でイメージしますから、イメージを司る右脳で考えているので、これが武器になります。
③キャラクターの造詣が決め手になって大事に描きます。

ですが、ですが・・・ここが問題です。
シナリオと小説の違いをしっかりとわかっていないと、どちらも虻蜂とらずになります。
①シナリオはすべて三人称表現(三人称多視点)ですが、小説は基本的に1視点を守らなくては、わけがわからなくなります。
②小説では、主人公の見た目で何が見えるのか、何を感じているのかなどを文章で表現しなくてはなりません。
③シナリオは、セリフは人物指定がしてあるので、誰のセリフかわかります。
小説は、セリフを誰がしゃべっているのか、地の文である程度補足して、的確に書いていかないと読んでいる人はわからなくなってしまいます。

簡単に、シナリオ学んでいると優位な点と小説を志すならここはわかっておかなくてはいけなところを箇条書きでまとめたのでお役立て下さい。
もちろん、ちゃんとドラマ誌4月号をお読みになることをお勧めします。
4月号には、内館牧子さんの「小さな神たちの祭り」のシナリオも掲載されています。一冊で二度美味しい。(笑)

小説で売れるものにしようと思ったら、シナリオと同じでアイデアの新しさ、それと調べることも必要です。
なので、ある程度の読書量、小説をたくさん読んでいることが大事ですし、アンテナを広く張り巡らせることも必要です。
シナリオを勉強すると色々なメディアで物語を創るテクニックが磨かれますから、どちらも目指してほしいとは思います。
とはいえ、誰でもができることではありません。
「シナリオがだめなら小説があるさ」ではなく、二足の草鞋をきちんと履くには、二倍、いや何倍もの努力が最低必要ですから、覚悟を決めて臨んでくださいね。

ついでに、柏田講師の「ミステリーの作り方・書き方講座~入門編・応用編~」を開講します。
4/28・5/12の2回。配信&通学で。詳しくは公式ホームページをご覧ください。

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