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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

すべては人

小学生だって負けない

人が動く

シナリオ・センター代表の小林です。
今日は1月の寒さとかで、日々今年一番の寒さが更新されていきます。
神宮外苑の銀杏も例年より早く葉を落とし、黄色いじゅうたんを敷き詰めはじめました。
今日の東京感染者500名。またまた増えてきました。
ほかの国と違って何十万人も感染しているわけではないから大丈夫といわれますが、なんだって最初の1歩は、1からで多くならないとは限らないのです。

東京都医師会の尾崎会長が、切羽詰まって直接国民へ呼びかけ始めました。
「政府の動きが鈍いのでお願いです。
現時点での感染者数を減らすのには、人の移動を止めることが有効とされています。効果は2週間後からでしょうか。
時間はありません。
医療崩壊を防ぎ、医療関係者の方に少しでも安らげる年末年始が来るように、皆さんの周りの方にぜひ呼びかけていただけないでしょうか。
制度を止めないのであれば、私たちで止めましょう。
Go to キャンペーンの参加、新年を迎えるまでの一時停止のお願いを。」
ニュースにも良く出て解説してくださっているインターパーク倉持呼吸器内科院長の倉持仁さんは、
「政府や政治家は今が日本国にとって、戦後75年のうち最大の危機だと言う認識を持ってください。
持てない人は政治家とかやめた方が良いね。それだし、次絶対選ばれないよ」と。

医療従事者の方々は、相当切れはじめていますね。
逼迫した医療体制に目を向けないと、医療従事者の皆さんに逃げられても仕方がないです。
ありがとうと形ばかりのお礼に高価なブルーインパレスを飛ばすよりも、誰も使わないアベノマスクばらまくよりも、医療体制をしっかりと作って、昼夜なく患者と向き合ってくださっている方々へ、ちゃんと働きに見合う給与とありがとうを最大限に表すだけのボーナスを差し上げてほしいです。
政治家さんたちが、本当に医療従事者の方々に想いを持っているなら、自分たち国会議員の歳費1ケ月分でもいい、医療従事者へ寄付してはいかがなもんでしょう。政党助成金は全部ください。
これから起こりうることを、政治家たちが考えていることを、私たちは想像して、国民はもっともっと怒るべきだと思います。
気持ちを表そうと調べると、あまりに寄付するところが多いのに気がつきます。
でも、やれる間はやらないと。それだけ困っていらっしゃる人が増えているということですから。

人を描く

NHKの朝ドラ、出身ライター清水友佳子さん、嶋田うれ葉さんが描かれていた「エール」が高視聴率、大評判の裡に終わり、今週から出身ライター八津弘幸さんの「おちょやん」が始まりました。
大阪のお母ちゃんと呼ばれた女優浪花千栄子さんをモデルにしたお話です。
今で言ったら親の虐待ともとれる子供時代から始まりましたが、主人公のキャラクターが見事です。
これから、この主人公がどんな風に成長していくのか楽しみに見ていきましょう。

過日「新井一賞授賞式」で鼎談をしてくださった清水有生さんと岡田恵和さんのドラマも進行中です。
清水有生さん脚本「さくらの親子丼」シリーズ3作目(CX)
主人公は1シリーズ目からさくら役を真矢みきさんが演じています。
虐待、育児放棄、親の失踪など様々な事情で家族と過ごせない子供たちが一時的に避難する子どもシェルター「第2ハチドリの家」が舞台です。
弁護士の桃子さんが主宰している子どもシェルターに、食事スタッフとしてこどもたちと寝食を共にしているさくら、親との色々な事情でここしか行き場のない子供たちがからんで事件を起こしていきます。
いわば、親から逃げてきた子どもたちを助けるお話しなので、このシェルターの人たちはいい人であるはずですね。
もちろん、主人公さくらも主宰の弁護士桃子たち登場人物も志の高いいい人なのですが、ただいい人ではない、このキャラクター作りが素晴らしいんです。
主人公さくらをみても、子どもたちのために一生懸命なのだけれど、いつも悩んでしまうし、時には素敵な男性にトキメキもするし、酔っ払いもするし、桃子と衝突もする・・・実はどこにでもいるようなおばさんキャラなのです。
本来とても深い厳しいテーマに向きあっているドラマなのですが、このキャラクターたちが正義感を振り回すことなく悩み、ぶつかりながら解決へと奔走している姿が共感を呼ぶのだと思います。

岡田恵和さん脚本「姉ちゃんの恋人」(CX)
両親を亡くし、進学を諦め一人で3人の弟の面倒を見る明るく健気な主人公桃子をとりまく素敵に楽しくやさしい家族と仲間たち。
岡田ワールドらしい優しい心暖まるドラマなのですが、すべての登場人物の綿密なキャラクターづくりが、このドラマを最高に面白くしているのだということがわかります。
桃子を蔭で支えてくれる叔父さん菊雄さんは、保護司です。
保護司として多くの前科のある人たちを支えてきて、桃子の恋人になる真人の担当として彼のことを大好きで信じて見守っています。担当した人たちが幸せな結婚にたどり着いたり、恋人ができたりすることを心から祝福していました。
が、いざ自分の姪が相手だと知ると、真人を大好きなのに、しんじているのにどうしても心から喜べない・・・そんな自分に戸惑い、姪の幸せを思い葛藤します。
本音と建て前、誰もが持つ葛藤でしょう。人間らしいでしょ。こういう人たちが登場人物なのです。

なにを言いたいかもうおわかりでしょう。
「さくらの親子丼」「姉ちゃんの恋人」どちらも一筋縄ではいかないドラマです。
小道具、シャレードの使い方も、抜群にうまい。
でも、なによりもキャラクターが一面ではないが故に、作者本位でないが故に、人物が魅力的になり、物語が面白くなるということが、如実にわかります。
ドラマを楽しむだけでなく、人物の二面性、ストーリーは作るのではなく動くのだというドラマの作り方、小道具など映像で見せるテクニック、参考にしていただきたいです。
清水さんと岡田さん、描き方、見せ方は違うけれど、作家の目とはこういうものだということが凄くわかります。

シナリオ・センター通信基礎科に10歳の小学生のお嬢さんが受講しています。
入学の動機は、岡田恵和さんの「最後から二番目の恋」を見て、脚本家になりたいと思われたとか。
え~、何歳で見たの? しかも「最後から二番目の恋」?大人のドラマですけど・・・。(^_-)-☆
いい感性をお持ちです。きっと素敵な大人になってくれると思います。

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