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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

発想の仕方

できることから

シナリオ・センター代表の小林です。秋深しになってきました。
もう10月も今週で終わり、あまりに遮二無二過ごしてきた今年は、なんだか気がつかないうちに時が経っているという感じです。
今日の東京感染者102名。ヨーロッパ、アメリカは感染者が記録的に増えています。
フランスでは過去最大になり、スペンは非常事態宣言を出しています。イタリアは夜間外出禁止を出したら、給付金出せという反対デモになったりと、どうしたらいいのでしょう。
コロナに振り回されっぱなしの地球、日本はこのまま粛々と進んでいくのか・・・わからないままの来年のスケジュール作りは頭が痛いです。

今年はうれしい話題がほとんどなかったのですが、「核兵器禁止条約」が発効されることになったことは、本当に嬉しい。
もちろん、核保有国やNATO加盟国は賛成していないし、核の傘に元にある日本は、唯一の被爆国でありながら動かない。
問題は山積だけれど、それでも、広島、長崎への原爆投下から75年、「全廃こそが核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法だ」と前文でうたう「核兵器禁止条約」。核兵器の使用は全面的に違法とする国際法が発効されることは意義深いというべきかと思います。
それにしても、被爆国の日本がこうも動かないのは、何故?やり方はいくらでもあるでしょうに。かたくなにできないと思わず、発想を、視点をかえてみましょうよ。
原爆で亡くなった多くの被爆者の方々の苦しみ、今も被爆後遺症に苦しむ方々、遺伝性に悩む被爆二世、三世の方々の想いを、日本人全体が重く受け止めて、批准に賛成することが日本の生き方だと思うのですが。
でも、一歩前進した。第二の広島・長崎にならないよう世界中でしっかりと見守っていきたいです。
折しも、朝ドラの「エール」は、原爆の長崎を歌った「長崎の鐘」の作者と出逢い、新たな応援歌を作ることが自分の生きる道だと一歩踏み出した裕一さんのお話しでした。

発想法

どんな世の中でも、創作に限らず発想が大事です。
発想というと一から組み立てていくものと思いがちですが、そうではないのです。
新井一は、フォーマット自由な発想の基盤だと。
フォーマットというと、杓子定規的な、形式主義的な「こうでなければならない」というかんじで、自由な発想から遠いものに感じます。
でも、フォーマットにはもう一つの効用があると新井は言います。
「俳句はご存じのように、五七五という大変束縛した文字数によって表現される。しかもその上季語を入れなければならない。
そうした形式にはまらなければ俳句とは認めてくれない。こんな形式主義なものはない。しかし誰も形式主義とは言わない。
むしろその制限の中で、いかに広大に、奥深く表現するかを発想のよりどころにしている。
私たちのシナリオも形式から発想を促すことができる。
原稿用紙への書き方をやかましく言っているが、実は、読む人にわかってもらうだけでなく、もうひとつ発想を促すことが目的なのである。
柱を描くにしても、場所を具体的に考えことによって、さらに発想ができるのである。
発想という作業は抽象を具象にすることで、そのためには次の条件がある。
第一にセッパ(切羽)詰まることである。セッパ詰めることとは説明するまでもないが、時間で締め切りをおくことが考えられ、そのほか予算の制限とか、セット、ロケ、また俳優など考えなければならないことは、一応セッパの中に入る。
第二は、よりどころをつくることである。
オリジナルとは、いかにも白紙から始まるように考えがちだし、そのように伝えられているが、そんなことはない。
必ず何らかの土台があり、必要なのである。
作家は意識するにせよしないにせよ、下敷きといって土台をよりどころにしているのである。
私の知っている脚本家は「僕はモロッコだよ」(註:モロッコは戦前の名作映画)と言っていた。それもフォーマットかもしれない。
「発想ができない、自分には才能がない」と嘆く人が多い。
よく聞いてみると、実はその下敷きがないからだ。それでは発想のしようがない。
そこで、今からでも遅くはないから下敷きとなるような昔の名作を見てほしい。
そうすることによって今後きっといい発想ができるに違いない」

先日、出身ライターの柏原寛司さんは「鬼滅の刃のモトネタはジョン・フォードの捜索者(註:1956年公開の西部劇)だね」とFBでおっしゃっていらしたけれど、そういうことなのです。
名作と呼ばれるものを、片っ端から見ていく、読んでいくというのは、発想を養う大きな力になるのです。

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