menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

見聞を広める

注文の多い料理小説集

生きるための糧

シナリオ・センター代表の小林です。爽やかな初夏の雰囲気に、ひとときコロナ騒ぎの喧騒が消えるような気がします。
思いっきり深呼吸したい、大声をあげたい。
困ったことに、4月ドラマのプライム時間(19:00~23:00)は途中も含めて合計12本が延期、予定通り放送しているのは、「美食探偵」(NTV)、「警視庁・捜査一課長」(テレ朝)、「行列の女神」(テレ東)の3本だけなのだそうです。
今後いつ撮影ができるのか、できるようになったらなったで俳優さんやスタッフの方々も仕事が重なってしまう方もいらっしゃるだろうし、連ドラプロデューサーもきっと悩みに悩んでいらっしゃるでことでしょう。撮影できるとなったら誰もがいの一番にやりたいですものね。
こんな中でも、企画を制作の皆さんは進めていらっしゃるようで、ライターズバンクにもご依頼をいただけるのは本当に嬉しいです。
動きが取れない時期でやれることは、頭を使うことですから、面白い企画をみんなで創りあげて、解放された暁にはわっと出していきたいです。

シナリオ・センターの毎日は、事務作業をスムーズに動かして添削作品を素早くお返しできるようにすることが第一義なのですが、私の頭の中は今の状態をどう打破するか、今後どのようにしていくのか、先のことも考えねばならず、なけなしの頭には相当辛い日々です。(笑)
コロナがなければ、創立50周年の今年は、楽しいイベントいっぱい計画していて、締めは感謝祭パーティーで大盛り上がりって思っていたので、そんなことを思うと途端に気持ちが萎えてしまいます。
そのうえ、ニュースやツイッターなどを見るたびに暗い気持ちになるし、やり場のない怒りに包まれてしまうので、私は毎晩、岡田恵和さんの「ひよっこ」(NHK)の録画を見てから寝るようにしています。私の精神安定剤です。

今人気なのが、出身ライターあべ美佳さん脚本の「いいね!光源氏くん」(NHK総合)。NHK「夜ドラ」の最高視聴率を獲得しています。
光源氏くんは、ほっこりできる上に胸キュンつきという素敵なドラマ。
あべさんの軽快なテンポのシナリオが気持ちよく、毎週欠かさず見ています。
ほっこりできるドラマって本当にありがたい。
毎回言っていますけれど、文化芸術は生きるための糧です。

注文の多い料理小説集

出身の小説家柚木麻子さんが、朝日新聞で「仕事・家事・育児に加え・・・銃後より異常」(5/1掲載)と書いていらっしゃいました。
執筆中の作品は、明治・大正・昭和を通じて描く母校の創立者の生涯の物語なのだそうですが、かってない行き詰まりをみせていらっしゃるのだそうです。
それは、戦時中の日常があまりにも今の状況と似ていて、重ね合わせる度に喉の奥がウッとふさがれるせいなのだとか。一部抜粋させていただくと、
「非常時に最初に苦難を強いられるのは必ず子供やお年寄り、病人のケアを担う人々だ。
今回、日本が迎えている事態では、これまで同様のケア労働に加えて、少しでも活力をもって暮らそうとする個人の工夫さえ、経済を最優先させる国策の一部にのみ込まれている気がしてならない。
制限された暮らしの中でなんとかやりくりしようとしている私や周りの友達、まだ会ったことのない人々の必死の努力があって、生活が、国がかろうじて稼働しているのは、戦時下よりなお、異常な状態としかいいようがない。
個人の能力には限界がある。個人のくらしを救うのは当事者の精一杯の工夫ではなく、いつの時代も政治であるべきではないだろうか。」
本当にそうです。一人一人が頑張ることは大事ですが、それを当たり前とする前提で政治が行われるのは大間違いです。

息苦しい時には、本を読むことをお勧めします。
4月発売の「注文多い料理小説集」(文春文庫刊)
料理のお話を柚木麻子さん、伊吹有喜さん、井上荒野さん、坂井希久子さん、中村航さん、深緑野分さん、柴田よしきさん7人の作家のアンソロジーなのですが、柚木麻子さんが本領を発揮されています。
「エルゴと不倫鮨」
ええかっこしいの男どもをぎゃふんいわせる女性たちがめちゃくちゃ痛快で、美味しい料理もたくさん出てきて、ワインとワインに合う料理の含蓄の深さに思わず酔いしれてしまいます。
登場人物のキャラクターがまた魅力的で、男性諸君はちょっと反省する、女性の皆さんは留飲を落とす、素敵なお話です。

他の作家さんも、時代小説もありのそれぞれの作家性が色濃く出ているお話ばかりで楽しく読めます。
楽しいだけではなくて、柚木さん始めそれぞれの作家性に、なるほどこういう視点や切り口ってあるのだなぁと勉強にもなります。
イタリアの高校の校長先生が「この痛みはいつか、皆さんの財産になることでしょう。隔離された孤独な時間も、いつかは終わります。それは確かです。
本を読み、考えることで、この孤独な長い日々を無駄に失われた時間にせずに、有益で素晴らしい時間にしましょう」とメッセージを出されて、日本でも緊急出版されていますが、全くその通りで、自分の糧にしていこうではありませんか。引き出しをいっぱいにしましょう。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ