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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

今も昔も

桃鬼城奇譚(双葉文庫刊行)

東京大空襲

シナリオ・センター代表の小林です。今日3月10日は、東京大空襲の日です。
75年前、わずか1日でアメリカ軍の空爆で10万人の方が亡くなりました。
池上彰さんのテレビを見ていたら、75年も経つと、東京で暮らしている人ですら、全く「東京大空襲」を知らない人の方が多いとおっしゃていました。
そういえば、明治以降の近代史は、ちゃんと教わった覚えがないなと思いました。あまり触れたくない歴史なのでしょうか。
戦時下の日本政府は、日本中に「空襲は怖くない、逃げずに火を消せ」といっています。東京大空襲の後、東京都長官(都知事)は警視総監と連名で告諭を出しています。
「羅災者の救護は万全を期している。都民は空襲を恐れることなく、ますます一団結して奮って皇都庇護の大任を全うせよ」と。
歴史は繰り返す、歴史に学べ、などと色々いわれますが、「万全を期している」という言葉を聞くと「なにもできていない」と聞こえるのは、私の空耳でしょうか。
この戦争で亡くなった方々、そして遺された方々は、75年経とうと今でも心の中は風化されていません。
過日、千代田区で行ったシナリオで描く自分史講座でも、東京大空襲のことを遺したいという男性の方がいらっしゃいました。ご自分が燃えているのに、周り中が熱いので気がつかなかったというお話に、経験したことのない私たちは、その壮絶さに身の毛がよだつ思いでお聞きしました。
二度とこんな日が来ないことを心から祈ります。
明日は東日本大震災から9年目となります。

桃鬼城奇譚

御伽噺「桃太郎」も鬼の手に、いや鬼才の手にかかるとこうなります。しかも25年前に生まれた物語が、今文庫としてよみがえりました。
「桃鬼城奇譚」(双葉文庫刊)
柏田道夫講師が、25年前「歴史群像大賞」を受賞された作品で、同じくこの秋「二万三千日の幽霊」でオール読物推理小説大賞を受賞され、小説家としてデビューした処女作です。
25年前にも読ませていただいたのですが、その時は「桃鬼城伝奇」というタイトルでした。
桃太郎のお話はどなたも知っているお話ですが、「桃太郎」を下敷きに、読む手を止められないほどの面白さに感動したことを覚えています。
ですが、ストーリーは覚えていたものの、もう一度読ませていただいて、まあ、止まらない、止まらない、昨日、本をいただいたのに、もう読み終わっていることでおわかりになるかと思います。
エンタテイメントとはこういうことをいうのだなという見本のような小説です。
「桃太郎」は新井一のストーリー23の中でも言われているように、「七人の侍」や「ミッションインポッシブル」になったりしているストーリーの原型です。様々な特技を持ったキャラクターが敵に立ち向かうストーリーですね。
まさに、柏田さんの「桃太郎」になぞってのキャラクターが何よりも素晴らしい。
主人公の太郎丸はもちろん、狼十郎、雉姫、犬丸、小猿、大猿、馬之助らの仲間たち。桃乃木道政、桂の方、細川鉄心・・・まあ、濃いキャラクターが縦横無尽に動きまくります。
まるでそのシーンが目に見えるように書かれているので、映像として立ち上がってきます。
小説もいわゆるシーンの積み重ねだというのがよくわかります。シナリオを描いているからこそできるのかもしれません。
おどろおどろしくもスピーディに鮮やかな絵巻物のように描きながら、鬼を通して人としての生き方がさりげなく描かれ、ただ痛快なだけでなく、心の残る小説です。
これが映画になったら「キングダム」を超えるかも。是非とも映画化を望みます。
シナリオを志す方も、小説を志す方も読まれると勉強になります。
いつもながら筆力だけでなく、参考文献の多さ、読み取り方に感心してしまいます。だからこそ、ここまで描けるのですね。
時代小説は、たとえエンタテイメントでも歴史的なことは大事で、資料をきちんと読み取る必要があります。
単にWEBの情報だけに頼らず文献を漁ることは、時代小説のみならず、創作するものの要ではないかと思います。

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