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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

面白ければ

イダジョ!研修医編(ハルキ文庫刊)

新井一賞

シナリオ・センター代表の小林です。9日は新井一の本当の誕生日です。
実は戸籍上では、大正4年の1月1日。この時代の12月生まれは、戸籍上1月1日生まれになっていらっしゃる方が多いそうです。
昔は、ずいぶんといい加減でしたね。(笑)

来年は創立50周年。創立記念に向けての「新井一賞」の準備をしています。
今一番悩んでいるのが、どんな課題にするのがいいのか。
皆さんが描きたいなあと思うような、ちょっとおもしろいものが描けそうな、どなたもが挑戦したくなるような・・・講師・事務局全員でただいま試案中です。
来年には発表しますので、楽しみに、今から腕を磨いておいてくださいね。
20枚シナリオは、いつも申し上げているようにショートストーリーではありません。
ディテールです。どれだけ魅力的なシーンが描けるかです。
魅力的というのは、目が離せないほどのシーンが積み重なっていることです。20枚だったらワンシーンという手もあるかもしれません。
キャラクターをしっかりと、主人公に魅力づけも忘れてはいけません。
魅力ある人とはなんでしたっけ?そうです、二面性。憧れ性と共通性。
さ、新井一賞目指して、もう一度基本に立ち戻ってみましょう。

イダジョ!2か月連続刊行

作家集団史夏ゆみさんの「イダジョ!」(ハルキ文庫刊)が、第1弾、2弾と2カ月連続刊行となりました。
第1弾は「イダジョ!医大女子編 私は医者になる!」
医科大に入り、医者になるために必死に頑張る美南はじめ仲間との医療青春もの。
主人公の美南は、ごく普通のサラリーマンの娘なのに、超お金持ちの子息たちが通う聖コスマ&ダミアノ(CD)医科大学に入学。
美南は、子供の頃、おばあちゃんが急患で運ばれた先の病院が、真っ暗闇の中にオレンジ色の灯りを点していて、その暖かな色に安心した経験から、自分も人を安心させられるオレンジ色の灯を灯したいと思って医学の道を進んだという女子医学生。
そこで個性的な仲間や指導医たちに囲まれながら、女子という差別にあいながらも、年上の医者との恋愛も頑張りつつ、医者への道に進みます。
医者になろうとする女性の奮闘記です。

第2弾は「イダジョ!研修医編 一人前の医者になるのはもっと大変だ!!」
父親が倒れ、CD医科大の授業料を払えなくなった時に、美南を愛してくれる医者の景見が、奨学金をだしてくれる病院を紹介してくれて、なんとか医者になることができた美南。
美南は1年分の学費を出してもらったので、3年間その病院に拘束され、関東北部の山間にある北関東相互病院(通称キタソー)へ研修医として赴任。
だが、彼氏となった景見は、美南の奨学金貸与の条件に、アメリカ留学へいってしまった。
美南は頼る人もいない病院で、女子差別、技術不足を抱えながら、様々な困難に立ち向かっていきます。
そこには同じ研修医のぼんくらだけど優しい絵面、指導医の高橋、外科の弓座、レジデント(後期臨床研修医)で美南をいつもフォローしてくれる朝比奈などに助けられながら、患者の前で生存率を言わせようとする上司の医者に、きちんと抗議ができるほどの医者として成長していきます。
しかも、アメリカに単身赴任の景見と婚約中に、母にもなってしまいます。
一人で子育てをしなくてはならなくなった美南だが、戸脇院長が、美南と同じく人々の安心の灯りになりたいと思っていたことを知り、キタソーで一人頑張ることを決意して、レジデントとして後輩を向かい入れるのです。

この小説の面白さは、キャラクターがきちんとできているため、なにかの石を投げたら(リトマス)、そこに面白いようにキャラクターならではの展開ができることです。
キタソーでいつも美南のフォローをしてくれるレジデントの朝比奈は、実は美南が好き。でも、好きだからこそ、遠距離恋愛の美南を応援もしてくれる。
景見が帰国中にキタソーへ向かう途中、大きな交通事故と遭遇。てきぱきと怪我人を助けていく景見をみて、応援に来た朝比奈は挨拶にいき、美南が頑張っていることを話すのですが、その時に景見のひとこと。「あげないよ?」
朝比奈への気持ちがわかった景見の、朝比奈への信頼が出ている素晴らしいセリフに、美南への愛情もあふれている。これこそキャラクターが描けているからこそと思いました。
第2弾は、同期だけでなく新たな看護師や上司の医者、院長などのキャラクターも増えて、一人ひとりがみんな違ってそれぞれの個性を発揮しているのが、史夏さんの想像力の広さを物語っています。

きっと刊行される第3弾は、遠距離結婚と子育てと、そして医者として、女性として成長していく美南さんを見せてくれることでしょう。
「イダジョ!」はまた看護師と間違えられたりと、女医への世間からの差別、男性医師からの差別も見事に見せています。
現在の病院のあり方、仕事のあり方もさりげなく問うている小説でもあります。
2冊ご一緒に読まれて、美南の成長を楽しんでください。

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