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マンガから学ぶ脚本技術 /『昭和元禄落語心中』

マンガにはシナリオ創作に役立つヒントが満載。魅力的なキャラクターとはどんなものなのか。設定だけで面白いと思わせるにはどうしたらいいのか。その答えはマンガにある!シナリオ・センターにてマンガ原作講座やSFファンタジー講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
今回取り上げるのは『昭和元禄落語心中』。注目していただきたいのは、シンデレラ型ストーリー、サクセスストーリーと思いきや、いい意味で裏切られる「企画」だということ。“よくある話”にはならない企画を作る上での参考になります!

マンガ『昭和元禄落語心中』(講談社)/雲田はるこ
注目ポイントは企画

満期で出所の模範囚・元チンピラの与太郎。昭和最後の大名人・八雲がムショで演った「死神」が忘れられず生きる道は噺家と決め、弟子を取らない八雲師匠に泣きつくが……。

よくあるシンデレラ型/サクセスストーリーと思いきや

芸術やスポーツなど「究める系題材」の王道ストーリーラインは「未熟だが可能性を秘めた素人が師の教えを受け、一人前に成長していく」というもので、主人公はたいてい身の程知らずにもその世界のトップを目指す。

だが所詮初心者。ゆえにさまざまな葛藤や対立やらが立ちはだかり、そう簡単にめざす場所にはたどりつけず、読者はその悪戦苦闘ぶりに感情移入していく。

いわゆる「シンデレラ型」「サクセスストーリー」といわれる構造である。

だが、今回ご紹介する「昭和元禄落語心中」はそのつもりで読んでいくとかなり肩すかしを食らうと思う。

主人公はど素人で未熟きわまりないけれど、あっさり大名人と謳われる落語家・八雲の内弟子になっちゃうし、修業らしい修業をしたのかどうかもわからぬまま、いつのまにか高座にあがれるまでに成長(?)しちゃってるし。

でも、良いのだ。だってこの作品は「ど素人ががんばって一人前の落語家になる話」ではなく、「時代の流れの中で衰退・消滅してしまう「芸」を守り継ぐことの難しさや大切さを与太郎の目を通して描いていく作品」なのだから。

※You Tube
KING RECORDS
「昭和元禄落語心中」アニメ第一期“与太郎放浪篇”ダイジェスト映像

噺家ってェのは罪な商売ですな
立ち去るときはなにもかも一人で持っていっちまう

昭和50年代頃。満期出所した元チンピラの与太郎はその足で寄席を訪れ、八代目遊楽亭八雲に直談判する。

1年前に慰問で訪れた八雲が演じた「死神」を聞いて感動した、自分の居場所はここしかない、どうか弟子にしてください、と。

気むずかしいことで有名でこれまで内弟子を取らなかった八雲だったが、なぜか与太郎は付き人になることを許される。

八雲の家には20年前に亡くなった同門の遊楽亭助六の娘・小夏が養女として住んでいる。八雲と助六は当時の落語界のホープであり、良きライバルでもあった。

だが小夏は八雲を「親を殺した男」と憎んでおり、二人は犬猿の仲である。

生来の気の良さとまっすぐな気質で付き人から前座へと成長していく与太郎だったが、ある出来事から破門を言い渡される。

ここからドラマは大きく動く。八雲はこれまで語ることのなかった「助六との果たせなかった約束の話」を与太郎と小夏に語る。

この回想話は異常に長いが大変にドラマチック。

そしてこの後時は一気に進み、昭和末期から平成の初め。落語人気は下火で都内の寄席は1軒を残すのみ。与太郎も小夏も大きな変化を遂げており、そんな中、八雲はある重大な決意を固める……。

現在(2016年1月)のところ8巻まで既刊。これから与太郎の真の活躍が始まるはずだ。作品の全体像や企画意図を掴むためにも、ぜひ1巻から通して読んで欲しい。アニメ版も、実力派声優たちが渾身の仕事をしている。こちらもぜひ!

出典:仲村みなみ著『マンガから盗めっ!』(月刊シナリオ教室2016年3月号)より

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

※マンガ『昭和元禄落語心中』についてはこちらから。

※アニメ『昭和元禄落語心中』についてはこちらから。

※ドラマ『昭和元禄落語心中』についてはこちらから。

次回は12月4日に更新予定

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