 
			シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

シナリオ・センター代表の小林です。先週から、大阪校の開講がありでかけていました。帰りに、京都や奈良に脚を伸ばしたりするのですが、ちょうど4月から雛飾りめぐりができると聞いて、天王寺からちんちん電車に乗って堺へいってみました。

お雛飾りめぐりは、堺の七道でやっていました。普通のおうちに飾ってあるのですが、古い由緒ある町屋なので、その趣は抜群。お雛様もなんだか嬉しそうです。
 水野さんというお宅では、他の方から預かったというお雛様も含めて、8つくらい飾ってありました。お部屋が暗いので写真が撮れず残念でしたが、そのたくさんの雛人形にはそれぞれのご家庭の歴史が刻まれているようでした。
  
  
 
 平安時代に生まれたお雛様は無病息災を願うお祓いの手段だったようですが、江戸時代になると、位の高い女子はお雛様は嫁入り道具のひとつだったそうです。
 なにかあったとき身代わりになってもらうという意味があったようです。
 京都で料亭のお雛祭りに招かれたときに「御雛様というのは性教育の教材でもあった」というお話もお聴きしたことがあります。
 御雛様は、形や想いは変われど、時代時代で女の子を守ってくれたのでしょう。
 いくつかのおうちをまわってお雛様をみせていただきました。
合間に、もちろん食べ歩きが入ります。いや、食べ歩きの合間に雛飾りめぐり(?)ともあれ、堺の町はなかなか趣のある町でした。
 お茶と言えばお菓子ですから、堺の街にはこれから教科書にも載る(笑)老舗の和菓子屋さんがいっぱいあります。 くるみもち、天神餅、肉桂餅、堺和香、けしもち、バターせんべい、利休最中etcetc。嬉しくなって、事務局のおみやげにと各店を回って何種類も和菓子を買ってきました。そういうところだけはマメです。
堺は、観光に力を入れているようで、観光ボランテイィアがたくさんいて、何かと説明してくれます。ちょっと笑えたのは、千利休の井戸にいたおじさん「本当に、これを千利休が使ったかは不明なんだよね、ナイショだけど。堺には井戸がたくさんあるんだよ」
 オフレコだそうで(笑)?????? 
 
 ちょっと残念だったのは、妙國寺で説明してくれたおじさん。ここで説明しなければならないことが、
  ①日本で唯一の小堀遠州が創った大ソテツの枯山水の話
  ②織田信長が、安土城にソテツを持ち帰ったら、妙國寺に帰りたいと毎晩泣くので怒って切ったと ころ鮮血がほとばしりのた打ち回り、さすがの信長も仰天して、元の妙國寺に返したというソテツの話
  ③妙國寺にいた徳川家康が、本能寺の変を知って、無事の三河まで逃がした話
  ④堺事件、フランス兵を殺したかどで切腹させられた土佐藩11烈士の話
 があります。
どうも何が一番重要かわからないようで、ここで切腹した土佐藩11烈士の話しばかりするのですが、これはお寺の由来ではないし、江戸幕府が終わる頃の話なので、①~④の順番だと時代の流れとともにわかるし、歴史的にもお寺の重要さがわかると思うのですが。
 たぶん、このおじさんは切腹した人たちへお思い入れが強いのでしょうね。
 シナリオ書くときと同じだなあ・・・と思いました。
 観光客は、どんな説明を望んでいるか、何が一番大事なエピソードか、どのような構成にすれば効率よく楽しく聴いてくれるか・・・伝えるむずかしさを、ここでも感じたひとときでした。
「創造は過去と現在とを材料にしながら、新しい未来を発明する能力です」 (与謝野晶子)