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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

原之内菊子の憂鬱なインタビュー

シナリオ・センター代表の小林です。なんと、もうもう今日は2月です。昨日お正月を迎えたと思っていたのに、怒涛のように時が過ぎていきます。
身近な人をなくしたせいでしょうか。せっかく生きているのだから、丁寧に生きようと思います。 
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昨日、小説家であり脚本家の大山淳子さんが、著作をもっておいでくださいました。
ランチもご一緒させていただいて、久々にゆっくりお喋り三昧の楽しいひとときを過ごしました。

お持ちいただいた本は、2冊。
1冊はアンソロジーで、古今東西のプリンセスストーリーをモチーフに現代女性たちを6人の作家が描きました。
「リアルプリンセス」(ポプラ社刊)
「鉢かづき姫」、「踊る12人のお姫様」、「ラプンツェル」、「エンドウ豆の上に寝たお姫様」、「乙姫」を5人の作家が女性たちの心情の機微を描いています。

大山淳子さんは、「眠り姫」をモチーフに、美人でなんでもできる姉と会話下手で人との付き合いもできない妹のお話です。と書くと、ふーん!って思いません?
それが違うのです。 ただの正反対の姉妹の話ではありません。まず構成がすばらしい。キャラクターにしっかりと二面性が描かれているので、ラストがズドーンと衝撃的に心に落ちます。
大山淳子さんは2週間で書き上げたそうですが、すごい!この面白さをうまく伝えられないので読んでください。

もう1冊は「原之内菊子の輸鬱なインタビュー」(小学館刊)
大山さんは、20枚シナリオを描くのが、楽しくって楽しくって仕方がなかったそうで、このお話はなんと研修科の課題「魅力ある女」で書いたものだそうです。
さすがキャラクターがすばらしい。まさに「魅力ある女」です、主人公の菊子は。
彼女と目を合わせると誰もが隠し事が出来ず語ってしまうという特殊な能力をもっているのですが、本人は気が付かず、自分を否定している女性で、しかもお世辞にも美人と言えないおたふくそっくりの白くもったりとした味のある顔。小さな目、ふっくらしたほっぺた。東北出身32歳。
脇を固める
本が大好きで作者の誕生日も暗記している東大卒のお坊ちゃん桐谷、大阪人丸出しの凄腕編集者でありながら弱小出版社社長戸部内三と脇のキャラも濃い。
この3人が、菊子が聴きだしてしまう本音インタビューから事件に巻き込まれていくというサスペンスありの笑いあり涙ありの大エンタテイメント小説です。

様々な本のお話しがでてくるのですが、その博識もさることながら、本が、登場人物のいきざまとリンクして、深く語らずに心情を感じられ、また、さらっとなにげなく深いことを書かれているのが憎いです。
人間の機微を深く知り尽くしている大山淳子恐るべし!!

「新幹線の車窓から流れる景色を眺める。手前は緑鮮やかな田園。遠くに山脈が見える。近景はすばやく変化するが、遠景はゆっくりと変化する。人生においても、遠くにあるもののほうがよく見え、近くのことは見えていない。そんな気がした。」

 

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