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映画『ハムネット』『サンキュー・チャック』
シナリオを楽しむ 見どころ・感想

脚本家でもあり小説家でもあるシナリオ・センターの柏田道夫講師が、公開されている最新映画や、DVDで観られる名作や話題作について、いわゆる感想レビューではなく、作劇法のポイントに焦点を当てて語ります。脚本家・演出家などクリエーター志望者だけでなく、「映画が好きで、シナリオにも興味がある」というかたも、大いに参考にしてください。映画から学べることがこんなにあるんだと実感していただけると思います。そして、普通にただ観るよりも、勉強になってかつ何倍も面白く観れますよ。

-柏田道夫の「映画のここを見ろ!」その109-
『ハムネット』史実からフィクションを作る方法と「物語」の役割

話題の『ハムネット』です。
第98回アカデミー賞では作品賞ほか8部門にノミネートされ、ジェシー・バックリーが主演女優賞を獲得しました。

北アイルランドの作家マギー・オファーレル原作(共同脚本も)を、『ノマドランド』で、第93回アカデミー賞にて作品賞・監督賞を受賞したクロエ・ジャオが共同脚本と演出(監督)・製作総指揮を務めています。

『ノマドランド』については、このコラムの「その34」でも取り上げました。

それにしても、主役のアグネスを演じたジェシー・バックリーの素晴らしさ。たまたま私は、映画館で本作と『ザ・ブライド!』をハシゴしたのですが、主演のフランケンシュタインの怪物の花嫁役もジェシー!『俺たちに明日はない』を彷彿させるぶっとび逃避行恋愛物語でしたが、俳優(役者さん)って本当に凄い!こちらでも主演女優賞をあげたくなるほどの熱演、まるで別人でした。こちらもぜひご覧ください。

さて『ハムネット』ですが、イギリスの大劇作家ウィリアム・シェイクスピアの名作『ハムレット』と同意語だと冒頭の字幕で述べられます。

そのウィリアム・シェイクスピア(ポール・メスカル)が、イギリスの片田舎で、皮手袋商人の家に生まれ、子どもたちにラテン語を教えている。大作家になる前、鬱々とした日々で、8歳年上のアグネスと知り合い、彼女の妊娠を経て結ばれ、続いて男女の双子が生まれる。双子の男の子の名がハムネットだが、彼は11歳の時に流行っていたペストに感染して死んでしまう。その頃からウィリアムは単身でロンドンに出ていて、ハムネットの死の数年後に、まさに息子の名を冠した『ハムレット』を上演した。

シェイクスピアにまつわるこれら史実を踏まえつつ、映画は大作家誕生の物語ではなく、片田舎でつつましくも必死に暮らすアグネスを中心に描かれます。

さて、今回の「ここを見ろ!」のひとつ目は、まず史実を踏まえつつ、いかにフィクションを構築するか? そのアプローチについて。

前回の「その108」では日本の時代劇『木挽町のあだ討ち』を取り上げました。この中で“時代劇はファンタジーで、基本的なこと(最低限の時代考証や常識的なこと)さえ抑えていれば、あとは何でもアリ、自由に人物たちを動かして、現代物ではできない物語が作れる”と述べました。

この『ハムネット』もまさに時代劇。シェイクスピアが活躍したのは、1600年前後、日本ではまさに戦国時代から徳川幕府誕生の時代です。

で、シェイクスピア研究では、彼がロンドンに出る前に何をしていたのか、なぜ妻子を置いたままだったのか、息子の死後の数年でどうして同名の戯曲を書いたのか?といった謎があり、さらにはアグネスは悪妻だったという説、妻から逃避のためのロンドン行きだった、といった説もあるのだとか。

こうした歴史上の謎、不明なところにこそ、作家がフィクションを放り込む余地があります。それこそ日本のシェークスピア、近松門左衛門が唱えた「芸術は虚と実との微妙な境界にある」という“虚実皮膜論”です。

ちなみに、もう一作、見てほしい映画に『恋におちたシェイクスピア』があります。第71回アカデミー賞で最優秀作品賞や脚本賞、主演女優賞など7部門を受賞した名作です。

これはシェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を下敷きした名作誕生秘話となっています。ロンドン時代のシェイクスピアが体験したかもしれないラブストーリーで、まさにこれも史実を踏まえたifです。この映画の細かい分析は、拙著『エイタテイメンの書き方2』でしています。よかったら(※シナリオ・センター事務局でも販売しております)。

さて、もうひとつの「ここを見ろ!」は、本作の【起承転結】の【転】と【結】で明らかにされるテーマについて。

これは上記の「どうして息子の死後数年で、シェークスピアは同名の戯曲を上演したのか?」という疑問への解答ともなっています。

皆さんが作家になろうと思われた動機は何でしょう?
人それぞれでしょうが、共通する要素があるとすると「物語が好き」ということではないか?
なぜ好きなのか?

それはおそらく、人生においての節目節目(辛かったり悲しかったり絶望したりした時)に「物語によって救われた」「小説や映画やドラマやお芝居で感動した」といった経験があるからだと思います。

なぜ人は、物語を欲するのか?
そこから人々に「希望」や「夢」を与える物語を創りたい、という思いがあるから作家を目指すようになったのでは?

この映画は、主人公アグネスの思いと、「物語」をまさに体感するその場面こそが涙を誘います。すべての作家志望者こそ必見の感動作です。

▼これまでの全コラムはこちらでお読みいただけます。
名作・話題作に学ぶ!シナリオを面白くするコツ/映画を観ながら創作の勉強もできる記事一覧

▼PARCO Movie
祝!アカデミー賞®受賞【4月10日(金)公開】映画『ハムネット』90秒予告編

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-柏田道夫の「映画のここを見ろ!」その110-
『サンキュー・チャック』章立てを変える狙いと、見せ場が感動を呼ぶ

ちょっぴり変わった造りながら、観客に深い感動と余韻を与えるヒューマンドラマ映画の『サンキュー・チャック』を。

数々の小説が映画化されているスティーヴン・キングの『チャックの数奇な人生』を原作として、やはりキング原作の『ドクター・スリープ』などでメガホンをとったマイク・フラナガンが脚本・監督。

キングの映画作品といえば『キャリー』や『シャイニング』など、いわゆるホラーが筆頭にあがりますが、サスペンス・ホラーテイストを加えながらも、人間ドラマ色が濃い『スタンド・バイ・ミー』や『ショーシャンクの空に』といった感動作も思い出されます。今回の『サンキュー・チャック』も、こちらの系列に新たに加わって、心に残る作品になっていると思います。

さて、今回の「ここを見ろ!」は、いくつかあるのですが、まず“変わった造り”である構成について。

原作もまさにそうなっているとのことですが、物語が時系列通りに進まない。

まず、冒頭から「第3章 ありがとう チャック」とタイトルが出て、時系列としては一番最後のシークエンスから始まる。

こうした時系列のシークエンスを入れ替えるという構成は珍しくないのですが、実はかなりの計算が必要となる難しい手法です。いわゆる「回想」法ではなく、全体の章立て(ハコ書き)を練り込む必要が生じます。

昨年公開されたサスペンス・ミステリー映画『ストレンジ・ダーリン』が、似た構成になっていました。
赤い洋服の女性が必死に走っている短いプロローグから始まる。後半の見せ場をトップシーンにもってきて、という「張り手型」の入り方も近年の流行なのですが、この映画は「第1章から第6章までの全6章で構成されている」ということわり書きが出て、いきなり「第3章」のタイトルで、森の中でクルマで逃げる女性と、おいかけるピックアップトラックの男という場面に。男が女性に発砲し、一軒家に逃げこむ女性。そこから次は「第5章」に飛んで、ようやく物語の始まりの「第1章」となり、以後「第4章」「第2章」そして「第6章」と運ぶ。

この流れで、どうして追いかけっこになったのか、そして途中途中で示されていた伏線が回収されて、意外な結末へと進む、という構成でした。

『サンキュー・チャック』はもうちょっとシンプルで、かついわゆる「ハリウッド三幕方式」になっているのですが、まず第1幕の「第3章」で、世界のあちこちで起きている大災害と、ネットも繋がらなくなった現状、さらにそこに頻繁に現れている「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という広告が示される。

そして第2幕は「第2章」となって、会計士のチャックことチャールズ・クランツ(トム・ヒドルストン)のある出来事となり、第3幕は「第1章」で、チャックの少年時代からの数年の物語となります。

チャックの人生をどう描くか、という全体のストーリー性も注目点ですが、三つの章のそれぞれに【起承転結】があって、独立した物語としても成立する。

つまり、各シークエンスの構造をしっかり見てほしいのです。

そしてもうひとつの「ここを見ろ!」は、人物と各シーンをいかに作るか。

特にシークエンス内の「ここぞ!」という“見せ場”を、各シークエンスごとに、いかに配置するか?
そうしたシーンこそが感動を生む。

本作なら、第2章の最大の見せ場のダンスシーン! 
ミュージカルは、歌と踊りの場面で展開させるジャンルで、それはそれで大好きなのですが、本作のように、物語の要所に“見せ場”として入るダンスシーンの素晴らしさが心に刻まれています。

例えば、テリー・ギリアム監督『フィッシャー・キング』のグランドセントラル・ステーションの群舞シーン。マーク・ウェブ監督『(500)日のサマー』の主人公トムの喜びのあまり、街を歩きながらのダンスシーン。ちなみに、このダンスシーンにオマージュした大根仁監督の『モテキ』では、森山未來君がダンスを披露するシーンも楽しい。ぜひ見てみてください。

ともあれ、街角で大道芸のドラムから始まって、通りかかったチャックと、たまたま加わったジャニスのダンスシーンの素晴らしさ。さらに第3幕の少年チャックの学園パーティでのダンスシーンも、これぞまさに“見せ場”です。

このダンスシーンだけでなく、映画はまさに「語り口」で観客の心を掴む。余計な説明やまとめはいらない。テーマも結末も観客に預ける、そうした手法の妙を掴む上でもぜひご覧ください。

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映画『サンキュー、チャック』本予告【5月1日(金)全国ロードショー】

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