ありがとうございました
シナリオ・センター代表の小林です。ジェームス三木さんのお別れ会へ行ってきました。
今年6月14日に92歳で亡くなられたのですが、今でもお元気に手を挙げて挨拶をしてくださるような気がしてなりません。
渡辺謙さん、沢口靖子さん、大河を何度もご一緒された中村元チーフプロデューサー、お芝居をご一緒にされた歌舞伎座の安孫子正社長、作曲家の池辺晋一郎さん、長いお付き合いの脚本家柏原寛司さんを発起人に「ジェームス三木さんを送る会」が開催されました。
私も世話人の一人として、どのようにお送りしたら喜んでいただけるか、式進行や展示のレイアウトなどをお手伝いさせていただきました。
思えば15歳で出会ってから、なんと60年近いお付き合い。
もちろん、深いお付き合いは新井一ですが、新井没後はシナリオ・センターのために新井一賞はじめ、色々な形で陰になり日向になりお力添えをくださいました。
ある意味、どんどん年上の方が減っていく年齢の私にとっては(なんせ後期高齢者になりましたからね)最後の砦、甘えさせていただける方のおひとりでした。
どんな時でもウイットに富んだ会話で楽しませてくださり、下ネタもジェームス三木さんがお話しされるとフランス小話の様に聞こえるのはお人柄だったのでしょうか。
いつもお力添えの感謝をすると、必ず笑っておっしゃるのは「新井先生のおかげで脚本家になり、シナリオ・センターのおかげで女房を得て(奥様は生徒さんでした)、シナリオ・センターには足を向けて寝られないのよ。」
何をしてくださっても決して恩着せがましいことなく、失敗もおおらかに受け止めてくださいました。
それはシナリオ・センターにだけではなく、どなたに対しても同じようにやさしいのだということが、今日の会でもわかりました。
お話をされた渡辺謙さん、安孫子正さん、中村克史さん、北大路欣也さん、三田佳子さん、中村美津子さん、中村梅雀さん、里見浩太朗さん、どなたのお話しをお聴きしてもジェームス三木さんが相手を想ってお付き合いされてきたことが伝わってきました。
まさに「座元に(プロデューサー)深切、役者に深切、お客に深切」だったと言うお話しばかりでした。
想像力が溢れていらっしゃったからですね。きっと。
新井一が「他人のことを思いやれない人間は作家にはなれない」とよく言っていましたが、三木さんは作家の魂をお持ちだったのだとしみじみ思いました。
先日亡くなった仲代達矢さんは「死ぬまで戦争反対を言い続ける」とおっしゃっていた方ですが、ジェームス三木さんもまた戦争反対について熱く語る方でした。
「九条の会」にも入っていらして、憲法について、日本国憲法の原案を創ったGHQの内部事情を書いた「真珠の首飾り」を上演された時、こう語っていらっしゃいます。
「今の憲法は世界最高だと思っているが、マッカーサーの押しつけであることは否めない。
ただ押しつけだから改正するという主張には真っ向うから反対する。
憲法が押しつけなら、民主主義も基本的人権も押しつけなのだ。
憲法とは権力者を縛る縄のようなもの。それを権力者がみずからほどいてくれというのはなんだか胡散臭い。
日本国憲法の下70年(10年前におしゃっています)、戦争で外国人を一人も殺していない。
これほどの国際貢献はあるだろうか」
折しも大河ドラマ「独眼竜正宗」が再放送されています。
ジェームス三木さんのシナリオのうまさを是非とも堪能して欲しいと思います。
ジェームス三木さん、ありがとうございました。安らかにお眠りください。













