―
|
くだらない質問かもしれないんですが、スラムや路上生活者の中で、寝起きを共にするって、とまどったりしなかったんですか?
|
| 石井 |
まぁ最初はねぇ・・・
|
| ― |
私なんか、「絶対貧困〜世界最貧民の目線」で書かれていた、スラムのトイレのくだりを読んでいて、『うわぁ〜絶対こんなトイレじゃ無理だよ〜』とか思ったんですけど・・・
|
| 石井 |
まぁ僕が単なる大学生とかで、そこでしろって言われたら絶対やですよ。
でもまぁ、やるしかないじゃないですか。
はじめの取材のときなんて、全財産かけて行っているわけだし、
変な話、失敗したら帰ってこれないような状態で行っているわけです。
そんときに、うんこか小便かなんて、別にどうでもいいって言うか・・・
|
| ― |
あぁ〜確かに、そりゃそうですね。
|
| 石井 |
文章修業のときだってそうです。
ぼくは、大学の時に、一日3冊本読んでました。彼女も友達も全部切って・・・じいちゃんの葬式にも出てないですよ。その時書いてたんで・・・
で、そこまでやっていくと、『作家になれない』っていう選択肢はないわけです。
うんこするのを躊躇することで、何年も積み上げていたこと、全部捨てるわけにはいかないじゃないですか。
|
| ― |
なるほど〜
衛生的な面や危険な面が問題ではないという・・・
|
| 石井 |
そんなことより怖いのは、書けないってことですよね。
書けないければ必要とされません。それが現実ですから。
|
| ― |
書けないことの方が怖い・・・ですか〜
貧困地域に行った最初のきっかけは?
|
| 石井 |
大学一年の時に、友達がインド行くって言うから、単純にそこよりすごいとこ行ってやろうと思って、パキスタン行って、英語分かんないから『Yes,Yes』って言ってたら、アフガニスタンにいたっていう(笑)
で、そこで物乞いがいたんですよ。両手両足のない物乞いだったり、両手と両足が逆さにくっついているような物乞いだったり・・・
それ見た時に、これをドキュメントしたら、100%デビューできると思ったんです。なんだかよくわからないです。でも、100%そう思ったんです。
|
| ― |
石井さんの作品には、独特の視点があると思うんです。
ちょっとジャーナリズムとかとは違うような・・・
|

|
| 石井 |
う〜ん。僕は物語性が得意というか、人間ドラマが好きだったわけです。
そうなると、NGOとかジャーナリズム、ドキュメンタリーの視点とも少し違うんです。
ジャーナリズムって、こういう書き方しませんし・・・
僕はいろんな本を乱読するうちに、民俗学とか人類学とかが大好きだったんですよ。実際にそこで現地の人たちと暮らしてってやるでしょ?だったらその手法でやろうとおもって。
|
| ― |
なるほど〜
いまシナリオ・センターのライターズバンクに所属する生徒さんは、600名近くいるんですが、石井さんが持っているような、ガンガン突き進んでいくような感じが弱いような気がするんです。
※シナリオ・センターのライターズバンクとは、業界からオファーを登録者に紹介するシステムです。詳しくは、ライターズバンクについて
|
| 石井 |
僕は、どちらかというと、単純・・・なんですよね。
単純に自分のやりたいことを押し通しているというか・・・
俗っぽいというか・・・
赤ちゃん抱いてる物乞いがいたら、『どこで産むんだ』と思うわけです。
夫婦を見かけたら、『どこでセックスしてんだ』と思うわけです。
僕はそういうところに、興味がある。政治的な問題なんて、興味がない。
同じ時間、語学力を使うんなら、そういう人たちに『どこでセックスしてるんですか?』って聞きたい。
だって、そっちの方が楽しいじゃないですか。自分が。
その延長線上で、読者が何かを感じてくれればいいと思ってます。 受け取る側の自由なわけで、創る側が何かを決めることではないと思っているので・・・
|
| ― |
石井さんのそういう視点とか行動力っていうのは、ものすごくシナリオ・センターの生徒さんに参考になると思います。
シナリオ・センターでは、シナリオの技術、書くための技術を教えてるんですね。その部分については、うちにしかないノウハウがあって、40年間やってきました。ジェームス三木さんも内館牧子さんも、「ゲゲゲの女房」の山本むつみさんも、シナリオ・センターの出身ライターです。シナリオのコンクールだって、生徒さん達が受賞しますし。
なので、生徒さん達にシナリオの技術を教えることについては、自負を持っています。でも、そういう「勢い」というか、「突っ走る」というか、そういうものって教えられないんですよね。
|
| 石井 |
確かに教えられるもんじゃないっすよね。それこそ才能っていうか。根拠がない自信というのか、そこらへんの突っ走り度が大切というか。
また、まわりは突っ走っている人間の勢いというか、カリスマ性というか、そういうのに惹きつけられると思うんですよね。勢いって大切ですよ。
|
| ― |
そこらへんの話は、ライターズバンクに登録している方、これから創造者を目指している方には、是非とも聞いてもらいたいところです。
|