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脇役が主役を喰っちゃわないように!登場人物を描き分けるポイント

月刊ドラマ

■一口にキャラクターといっても、いろいろありますから

ドラマの登場人物には、主役、脇役、端役(チョイ役)と種類があります。ドラマや映画を見ていると、役者さんでなんとなくわかりますが、シナリオライターは主役はこう描いて、脇役はこう描いて・・・というのがあります。
主役、脇役を描き分けられないと、誰が主人公なのか、観ている方はわからなくなってしまいます。そうすると、登場人物に感情移入ができないので、「面白くない」と思われてしまいます。
シナリオ・センター出身ライターの岡田惠和さんが脚本を書かれている本日3/9・21時放送「泣くな、はらちゃん」を例に、登場人物の描き分け方について書いてみたいと思います。

 

■主役、脇役を描き分けるポイント

①主役は、円形人物

円形人物と言うのは、公私どの面から見ても、完全なキャラクターということです。「泣くな、はらちゃん」で言えば、長瀬智也さん演じるはらちゃん、麻生久美子さん演じる越前さんが主人公です。「泣くな、はらちゃん」はすべての物語が、この二人の主人公に影響を及ぼすものとして描かれます。薬師丸ひろ子さん演じるパートリーダーの過去も、そうですね(今日の放送が楽しみです)。

②脇役は、半円形人物

円形人物をちょうど半分にしたのが、半円形人物です。ある面だけ完全なキャラクターということです。「泣くな、はらちゃん」で言えば、丸山隆平さん演じる田中くんや忽那汐里さんが演じる清美さん、賀来賢人さん演じるマキヒロやあっくんは、半円形人物です。

半円形人物は、基本的に主人公との絡みの中で描かれます。清美さんとマキヒロの恋模様も描かれていますが、その二人の感情の変化やそこで生じる悩みなどは深く描かれません。むしろ、はらちゃんと越前さんの関係の難しさ(マンガの世界の人と現実世界の人)を表現する上で描かれます。清美さんが、神社で人知れず「でも恋をした~でも片思い♪」と歌おうとも、カメラが清美さんの部屋で清美さんが悩みながら曲作りをしているシーンなどまで話がおよぶことはありません。そうすると半円形ではなく、円形になってしまいます。はらちゃんと越前さんの物語が薄れてしまいます。

③端役は、扁平人物

扁平人物は、ある一点(状況)の時だけキャラクターを持つ人物です。「泣くな、はらちゃん」でいえば、小松和重さん演じるおまわりさんや甲本雅裕さん演じる笑いおじさんなどです。その状況で、完全なキャラクターです。笑いおじさんなんて、いいキャラクターですよね。でも、笑いおじさんがとうとうと身の上話をすることはありません。

 

■主役をイキイキと浮かび上がらせるために

ドラマの登場人物には、必ずキャラクターがあります。人物をしっかり描かなければいけませんが、すべての人物をはっきり描く必要はないわけです。脇役と端役は、あくまで主役を引き立てる役割です。主役の感情や行動をゆさぶるのが彼らの役割です。だから、主役との関わりの中では、キャラクターを発揮しますが、主役のように完全な円形で描く必要はありませんし、描いてもいけません。

 「泣くな、はらちゃん」では、脇役や端役がとても魅力的です。それでもはらちゃんと越前さんの物語がイキイキと浮かび上がるのは、脚本の岡田惠和さんが主役、脇役、端役をきちんと描き分けているからです。逆に言えば、描き分けることさえできれば、脇役が濃いキャラクターであっても、主役を喰ってしまうということにはならないということです。

 

■ドラマは感性だけでは作れない

「泣くな、はらちゃん」は、岡田惠和さんの世界観が爆発している、とても面白い作品です。岡田さんの感性の凄さを感じます。ですが、そこには、感性を発揮するための技術がしっかりとあるということです。感性と技術は相反するものではなく、相互に作用するものです。技術があるから感性が引き出されますし、感性が引き出されるから技術が磨かれるわけです。『人物の描き方』については、「シナリオ8週間講座」第4講で取り上げます。
技術を磨きながら感性を、感性を磨きながら技術を磨いて、魅力的なドラマを書いて下さい!

 4月シナリオ8週間講座 要項

期間 2013/4/5(金)~2013/5/31(金) 毎週金曜日(全8回・週1回:休5/3)
時間 昼の部 13:30~15:30  夜の部 18:30~20:30
定員 60名
会場 シナリオ・センター(地下鉄「表参道」下車徒歩5分)
アクセスはこちらからご確認ください。
受講料 入学金 1,000円 授業料 20,000円 (全期・教材費・税込)

>>詳しくは、こちらから

 

■この記事で参考にした情報

シナリオの基礎技術」(ダヴィッド社)新井一 p110 「人物の種類」より

泣くな、はらちゃん

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