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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

「アオギリにたくして」想像力を広げよう。

シナリオ・センター代表の小林です。今月の初めにご紹介した『アオギリにたくして』が16日朝日新聞の夕刊に大きく報道されました。

映画「アオギリにたくして」が完成したという紹介記事が社会面の半7段に渡って「平和の種まき 映画で継ぐ」と紹介されました。
平和の種まきといわれるのは、広島被爆体験の語り部沼田鈴子さんが、被爆したアオギリの苗を、原爆を忘れないようにと修学旅行に来た学校やカーネギー財団、京都の金閣寺などに送り続けていることをさしています。
前にも書かせていただいたように、この「アオギリにたくして」の原作は、出身ライターの中村柊斗さんが書かれ、徳間文庫から出版。
モデルとなった被爆体験の語り部沼田鈴子さんと30年近く親しくされていたシンガーソングライター中村里美さんがプロデュースされ、中村柊斗さんが脚本監督(写真)されて映画として「アオギリにたくして」が完成しました。 

アオギリにたくして 20130719d

「死ぬのは簡単だけど、生きて伝えなきゃ」

2013年6月、最後に沼田さんを訪ねた中村さんは、沼田さんにそういわれた。その年の3月、東日本大震災が起こり、福島の原発が爆発した。
「原発と原爆の違いはあっても、放射能が人体に影響するのは同じ」と沼田さんが危機感を持ち続けての言葉だった。(中村里美さんのコメントから)
その1ヵ月後、沼田さんは亡くなられ、その遺志を継ごうと、中村里美さんは映画作りへと邁進されたのだそうです。
渡辺裕之・原日出子夫妻、広島出身の風見しんごさん、原爆小頭症を支援する齊藤とも子さんなどの役者さんがその心意気を感じて出演され、資金は銀行からの融資では足らず、親族支援者から頭を下げてかき集めて、制作上映にこぎつけました。
来春の一般公開を目指して、この夏からは自主上映してくれる団体や海外制作ための寄付も募っているので、お力を貸しておいていただける方がいらしたら、手を挙げてください。

7月31日午後2時から東京中野のなかのZEROで、試写会があります。(中村さんへ要予約・問い合わせは03―3321―2808・中村さん070-5568-8204・info@musevoice.com
また、完成特別記念上映会(一般当日1500円)8月3日から9日午前10時モーニングショーを東京・渋谷のアップリンク(03-6825-5502)で、8月10日16:30大阪シアターセブンで行います。そのほか埼玉、広島、山梨で行われるとのこと。是非、見てください。 

広島の中で被爆者が被爆したことを隠さなければ就職も結婚もできなかったということに、衝撃を受けました。今もまったく変らないからです。
福島の原発から東京などへ移ってきた人達も同じ目にあっていますよね。
他人に対する想像力のなさに暗澹たる思いがします。
被爆者の方々がどんな思いで生きてこられたのか、一生目に焼きついて離れない原爆の瞬間、その経験の中でどのように立ち上がり、頑張られてきたのか・・・想像し、思いを馳せなければと思います。もちろん、東日本大震災もです。
身体の痛みは治っても、消したいと思っても心の痛みは消えません。その痛みを、同じように感じることはできなくても、想像することはできるはず。
想像力は、他人を想う心です。
上に立つものこそ、人の痛みに敏感であって欲しい。
今週の参議院選挙では、想像力のある政治家に一票を投じたいと思うのですが・・・。

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