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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

向田邦子のせりふ

シナリオ・センター代表の小林です。11月1日は、紅茶の日、点字の日、犬の日とか、まあ、すごくいっぱい記念日があるのですね。
NHKのあさイチで、紅茶の日として、美味しいティーバッグの入れ方を教えてくれました。
早速、お湯をいれたカップに、ティーバッグをいれ、1分蓋をして蒸らし、ぱちゃぱちゃさせずに、静かにゆらゆらさせながらとりだして飲む。
香りがふくよかに漂って、安いティーバッグだけれどなかなか美味しく飲めました。ダージリングとアッサムと普通の紅茶の三種類をミックスして入れるとこれまた美味しいらしいです。
私は、ワンワンの日が好きです。でも・・・11月11日でもよさそうな気が。(笑)
で、来年はシナリオ・センターも、ごろ合わせというかで47周年、シナ(47)リオの年になります。お楽しみに!!

シナリオ教室合本 

ちょっとわけあって、昔の「月刊シナリオ教室」をひっくり返していました。
創立当初から発行してきた「月刊シナリオ教室」なので、46年分、合本で保存しているものですら山のようで、埃とともに右往左往しています。
昔は、出身ライターもコンクール入選者もまだあまりいなかったせいでしょうか、業界の綺羅星のような有名先達の方々のインタビューや寄稿がとても多く、久々に目を通してみて、埋もれさせておくのはもったいないなあと心底思いました。
今回は、違う理由でひっくり返しているので、やり始めたら底なし沼に入り込んでしまいそうなので、泣く泣くストップしました。ふぅ~。

でも、ひとつだけ書いちゃいます。
私の大好きな向田邦子さんのセリフについて、「シナリオ作法考」(宝文社刊)で有名な鬼頭麟兵さんが分析して寄稿されていました。
30年も前の号ですが、向田さんのシナリオなども抜き書きしているので、ついつい読んでしまったのですが、読んでしまったら声を大にして言いたくなってしまいました。 

鬼頭さんが感心された向田さんが「想像と表現の世界」(二見書房刊)で書いていらしたものの抜粋です。
「『せりふ』というのは、どの一行をとっても、その人の全人格であって、視聴者が一行しか聞かなくても、その人のいった『せりふ』である、その一言に尽きると思います。(略)
それと、もうひとつ、こうありたいと私が思っていることがあります。
それは、ふつうせりふを書くとき、必ず役名を書いてからセリフを書くんですが、その役名を全部消しても、仮に十人いる役者さんがそれぞれ『ああ、これは自分のせりふだな』と気が付くような、そんなせりふを書きたいということです」

「この一言をいいたいと思ったら、その前をささやくようにする、ゆとりをいれる、むだをやる、遊びをいれるようにする。
低い山、低い山、低い山、そして高い山という具合です。(略)
菊一輪じゃないですけれど、聞かせたいセリフは一輪挿しです」

「セリフを書いていて、意外と気づかないのが、登場人物の精神年齢が全部同じになってしまう危険が常にあるということです。(略)
作者は常に三歳の幼児にもなれば、五十歳にもなれるという柔軟性を、なんらかのかたちで持ち続ける必要があります」
これほどまでに、細心の注意を払って、徹底的に技術を用いて、書かれていたのが向田さんのシナリオであり小説です。 だから、ひとつひとつのせりふが、ト書が心に刺さるのですね。

うまいセリフが書けない、ストーリーばかりに囚われている、登場人物が描かれていない等思う方、なかなかいいアイデアやストーリーなのに評価されないと思っている方は、一度向田邦子さんのシナリオを読まれてみるといいですね。
きっと、あなたにとって大事なものをみつけることができます。

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