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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

火垂るの墓もアメリカひじきも

シナリオ・センター代表の小林です。4時になるともう真っ暗です。つるべ落としだった秋の日は、すっかり冬の暗さにかわりました。表参道のイルミネーションは華やかでちょっと気持ちが温まります。寒いときは、「あったかいんだからぁ~」が欲しくなりますね。
火垂るの墓 ドロップ

水木しげるさんに次いで野坂昭如さんの訃報が届きました。
焼け跡闇市派の無頼の不良オヤジとして過ごした野坂さん、私の青春時代の憧れの悪オヤジでした。
黒メガネで「黒の舟歌」をお酒片手に歌っていましたっけ。
本当は、辛い想いで過ごした過去を引きずっているのに、悪ぶっている野坂さんは、シャイで粋なすてきなおじ様でした。
直木賞の「アメリカひじき」「火垂るの墓」は、違った切り口からどちらも戦争の悲惨さを訴え、胸がつぶれるような作品でした。

野坂さんを知らない若い方たちでも、小説を読んでいなくても、ジブリの高畑監督が映画にした名作「火垂るの墓」はご存知でしょう。
妹さんを戦争中餓死させた事実を描いて、見ているのもつらいアニメでした。
お母様を空襲で亡くされ、親戚から逃げ出して妹と二人で暮らし、妹さんを餓死させてしまいます。蛍の舞うシーンもさることながら、サクマドロップの缶をみると、ついあの場面が浮かぶほど強烈な印象でした。

野坂さん自身は、戦後、戦争孤児として、ひとり焼け跡闇市で暮らします。
戦後、食べ物のもなく、住むところもなく、たくさんの親を亡くした子供たちが自力で生きていました。そんな中の一人としての経験が小説「アメリカひじき」になったわけです。
私自身は「アメリカひじき」を読んだ時、どんなに頑張っても敗戦国日本。アメリカに見下され続ける日本人なのだと思わされたことを思い出します。

戦争の悲惨さを描いてきた野坂昭如さんや水木しげるさん、相次いで亡くなられてしまいました。
どなたかが「あっちへ(天国)へ行った方が楽しそうだ」という感想を述べていらっしゃったけれど、その気持ちもわかります。
きちんと戦争を見つめてこられた方々が去って行ってしまい、戦争で得した人や戦争を知らない人が声高に戦争準備に入ろうとしているような気がしてなりません。

野坂さんは「二度と子供が餓死しない世の中にしたい」とおっしゃり続けていました。
私自身、戦争の悲惨さは知りません。
ですが、ひとくくりに戦争の悲惨さというのではなく、色々な方が色々な形で味わわれた各々の辛い体験、悲しい想いを想像することが大切なのだと思います。
そして、私たちひとりひとりが歯止めをかけない限り、いつかどこかで同じような体験をすることになるのだということを肝に命じて過ごしていきたいと思います。

野坂さん、水木さん、安らかにお眠り下さい。過ちは二度と起こしません。合掌。

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